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松廼屋|論点解説 薬剤師国家試験対策ノート問103-127【衛生】論点:疫学研究 / コホート研究

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疫学研究 / コホート研究 
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で解説します。

Here: https://note.com/matsunoya_note/n/nbe7920ce4bba

第103回薬剤師国家試験|薬学理論問題 / 問127

Q. 表は、福岡県の久山町研究において65歳以上の住民826名を15年間追跡し、65歳の時点での高血圧と耐糖能異常が、その後の脳血管性認知症とアルツハイマー病の発症に及ぼす影響について調べたものである。この結果から導き出される結論として誤っているのはどれか。

スライド2

選択肢|

1. 耐糖能異常は、単独でアルツハイマー病の危険因子となる。
2. 耐糖能異常がない場合、高血圧はアルツハイマー病を抑制する因子となる。
3. 高血圧及び耐糖能異常は、いずれも単独で脳血管性認知症の危険因子となる。
4. 脳血管性認知症は高血圧の危険因子となる。
5. 高血圧はアルツハイマー病に対する耐糖能異常の影響を解析する上で、交絡因子となる。
(論点:疫学研究 / コホート研究)

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滝沢 幸穂

PhD (Pharmacokinetics)
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前置き|

今年の7月に matsunoya PROJECT というウェブサイトを新設しました。

新型コロナウイルス感染症の発生状況などを、最新のビジュアルインフォグラフィクスのプラットフォームを駆使して見える化し、インターネット環境があれば閲覧できる状態にしたら、どれほど公共の益に寄与するだろうかという思いから始めた #MatsunoyaProject という企画において、自ら設計したインフォグラフィクスとその組み合わせによるストーリーによって何が見えてくるのかを「展示している」matsunoya 公式サイトです。

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ABOUT|
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matsunoya PROJECT は、note プラットフォームやECサイトでは公開できないHTML型のコンテンツをプロジェクト方式で情報発信する 松廼屋 matsunoya の公式サイトです。 #MatsunoyaProject

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今回は、ビジュアルインフォグラフィクスのテンプレートとして、下記のFlourish.studio のチャートを使用しています。実際にバーをハイライトすると細かい数字や情報が見えて楽しいです。インフォグラフに触ってタップしたりハイライトしたりできます。

■TEMPLATE CREDITS
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■TEMPLATE CREDITS
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10月になって、新型コロナウイルス感染症の発生状況についての見える化はほとんど見本のテンプレートとしては完成し、都道府県及び厚生労働省が開示する感染症の発生状況や検査の実施状況に関して随時更新することがメインになってきましたので、今度は、薬剤師国家試験対策ノートに関連するグラフをまとめたサブページを開設しました。以下のサイトです。
薬学生だけではなく、薬剤師の皆さん、医療従事者の皆さん、一般の企業にお勤めの方など、ご興味を持っていただける内容となっておりますので、是非一度訪れてみてください。powered by Flourish.studio/story

下記のリンクからサイトに移動します。

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薬剤師国家試験の合格者数・合格率の大学別ランキングをはじめとした薬剤師国家試験の最新の結果、薬剤師国家試験対策ノートで解説している eラーニングコンテンツで用いた厚生労働統計の最新バージョンの解析など、visual infographics を駆使して詳細かつサクッと論点解説しています。

内容|

☑第99回-第105回薬剤師国家試験の結果|
 合格者数、合格率 大学別、大学種別ランキング
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薬剤師国家試験の論点と最新の科学的根拠をリレーション

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松廼屋|論点解説 薬剤師国家試験対策ノート
問103-127【衛生】論点:疫学研究 / コホート研究

こんにちは!薬学生の皆さん。BLNtです。

解説します。薬剤師国家試験の衛生から、疫学研究 / コホート研究を論点とした問題です。

スライド2

スライド1

第103回薬剤師国家試験の問127(問103-127)は、疫学研究からコホート研究の指標である相対危険度および交絡因子に関する理解を問われました。

論点が疫学研究である類題に、下記の過去問題があります。疫学研究を論点とした問題は、まとめて一気に解いておくと、理解が足りなかった部分の勉強法や薬剤師国家試験の出題傾向が理解できて効率的です。

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論点:疫学研究|

第 97回薬剤師国家試験|薬学理論問題 / 問126|観察研究 / 横断研究
第 97回薬剤師国家試験|薬学理論問題 / 問127|観察研究 / コホート研究
第 98回薬剤師国家試験|  必須問題 / 問 19|観察研究 / コホート研究
第 98回薬剤師国家試験|薬学理論問題 / 問126|観察研究 / 横断研究
第 99回薬剤師国家試験|薬学理論問題 / 問127|観察研究 / コホート研究
第100回薬剤師国家試験|薬学理論問題 / 問126|観察研究 / オッズ比
第101回薬剤師国家試験|薬学理論問題 / 問127|観察研究 / 記述疫学
第101回薬剤師国家試験|薬学理論問題 / 問128|観察研究 / コホート研究
第102回薬剤師国家試験|薬学理論問題 / 問125|観察研究 / コホート研究
第102回薬剤師国家試験|薬学理論問題 / 問126|観察研究 / 症例対照研究
第103回薬剤師国家試験|薬学理論問題 / 問127|観察研究 / コホート研究

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問103-127を解説します。苦手意識がある人も、この機会に疫学研究の基礎を一緒に完全攻略しましょう!

参考資料|

疫学研究に関する最新の詳細な参考資料として下記のホームページのコンテンツを引用します。

日本疫学会のホームページ(HP)
日本疫学会|疫学用語の基礎知識 > 索引
http://glossary.jeaweb.jp/index/index.html

CORE Journal循環器onlineのHP
CORE Journal循環器online|EBM用語集 http://www.lifescience.co.jp/core_j_circ/glossary/index.php

上記サイトのコンテンツに、科学的かつ目的に合った情報が記載されていますので、一読することをお勧めします。情報がわかり易く整理してありました。詳細は、上記、HPをご参照ください。

スライド3

コホート研究とは|

コホート研究について解説します。

コホート研究は、調査時点で、要因を持つ集団(曝露群 / 例;高血圧・耐糖能異常)と要因を持たない集団(非曝露群 / 例;高血圧(-)・耐糖能異常(-))を追跡し、暴露群と非暴露群の両群の疾病のアウトカム(罹患率または死亡率)を比較する方法です。

日本疫学会HP
疫学用語の基礎知識>索引>コホート研究
http://glossary.jeaweb.jp/glossary006.html

要因へ曝露した集団と曝露していない集団のそれぞれの共通要因を持つ集団コホートといいます。

これらのコホート(それぞれの共通する要因を持つ人たちの集団)がある転帰(アウトカム / 例;脳血管性認知症およびアルツハイマー病の発症)を示すか追跡する研究です。

コホート研究が症例対照研究と異なる点は、要因を持つ集団に対して転帰を示すまで追跡するという時系列の前後関係が成立するので因果関係の推定を行うことができること、および要因別の母集団(コホート)の罹患率(例:脳血管性認知症およびアルツハイマー病の発生率)ならびに、罹患率の、それぞれ、比および差から求める指標である相対危険度・寄与危険度が算出できることがあげられます。

コホート研究の指標として、罹患率、相対危険度(RR)、寄与危険度(AR)および寄与危険割合(PAR)があります。

相対危険度(RR)はリスク比、寄与危険度(AR)はリスク差、寄与危険割合(PAR)は要因が真にリスク(罹患)に影響した患者の割合です。

コホート研究は、要因を持つ者が疾病に罹患しやすいかを究明し、かつ因果関係の推定を行うことを目的として行う研究です。

例えば、65歳以上の住民826名を15年間追跡し、それぞれのコホート(要因暴露群と要因非暴露群)のアウトカム(例:脳血管性認知症およびアルツハイマー病の発生率)を得て、相対危険度(疫学の要因分析で重要な指標)および寄与危険度公衆衛生対策で重要な指標)を算出します。

相対危険度を算出することにより、脳血管性認知症およびアルツハイマー病の発症要因として高血圧・耐糖能異常が関連するかの推察が可能になります。

また、寄与危険度を算出することにより、集団に対する高血圧・耐糖能異常(要因曝露)を予防することによる効果が期待される疾病(転帰|アウトカム)として脳血管性認知症およびアルツハイマー病があるのか推測が可能になります。

要因曝露(高血圧・耐糖能異常) ⇒ 因果関係 ⇒ 転帰(脳血管性認知症・アルツハイマー病)

問103-127を、選択肢ごとに解説します。
第1回目は、選択肢1-選択肢4について解説します。
第2回目は、選択肢5について解説します。

第1回目|

選択肢1. 論点:コホート研究 / 相対危険度
Q1. 耐糖能異常は、単独でアルツハイマー病の危険因子となる。A.【正|誤】|

スライド4

要因が転機と関連があるかを問われた記述問題です。要因と転帰の関連の強さを表す指標は、相対危険度(RR)ですね。RRは要因があった場合、要因がなかった場合と比べて何倍疾病にかかりやすくなるかのリスク比を表します。

「耐糖能異常が単独で」ということはこの表で高血圧(-)・耐糖能異常(+)である場合を意味します。

高血圧(-)・耐糖能異常(+)でのアルツハイマー病の発症に関する相対危険度は、4.6です。

基準群と比較して相対危険度に有意差(*)があったので、耐糖能異常は、単独でアルツハイマー病の危険因子となるといえます。

選択肢2. 論点:コホート研究 / 相対危険度
Q2. 耐糖能異常がない場合、高血圧はアルツハイマー病を抑制する因子となる。A.【正|誤】|

スライド5

要因が転機と関連があるか(抑制因子となるか)を問われた記述問題です。要因と転帰の関連の強さを表す指標は、相対危険度(RR)ですね。RRは要因があった場合、要因がなかった場合と比べて何倍疾病にかかりやすくなるかのリスク比を表します。

「耐糖能異常がない場合」ということはこの表で高血圧(+)・耐糖能異常(-)である場合を意味します。

高血圧(+)・耐糖能異常(-)でのアルツハイマー病の発症に関する相対危険度は、0.9です。

「* 基準群と比較して有意差あり。相対危険度の95%信頼区間が1.0を含まない場合に有意とした。」との記述があります。

基準群と比較して相対危険度に有意差がなかった(相対危険度の95%信頼区間が1を含む)ので、高血圧は単独でアルツハイマー病の危険因子(疾病にかかりやすくなる。罹患率の増加)・抑制因子(疾病にかかりにくくなる。罹患率の減少)となるとはいえません。

また、相対危険度(リスク比)の有意な減少、つまり、1より小さくて有意差*がある状態は認められないので、高血圧が単独でアルツハイマー病への罹患を抑制する因子とはいえません。

選択肢3. 論点:コホート研究 / 相対危険度
Q3. 高血圧及び耐糖能異常は、いずれも単独で脳血管性認知症の危険因子となる。A.【正|誤】|

スライド6

要因が転機と関連があるか(抑制因子となるか)を問われた記述問題です。要因と転帰の関連の強さを表す指標は、相対危険度(RR)ですね。RRは要因があった場合、要因がなかった場合と比べて何倍疾病にかかりやすくなるかのリスク比を表します。

「耐糖能異常が単独で」ということはこの表で高血圧(-)・耐糖能異常(+)である場合を意味します。

「高血圧が単独で」ということはこの表で高血圧(+)・耐糖能異常(-)である場合を意味します。

高血圧(-)・耐糖能異常(+)での脳血管性認知症の発症に関する相対危険度は、4.2です。基準群と比較して相対危険度に有意差(*)があったので、耐糖能異常は、単独で脳血管性認知症の危険因子となるといえます。

高血圧(+)・耐糖能異常(-)での脳血管性認知症の発症に関する相対危険度は、4.1であり、基準群と比較して相対危険度に有意差(*)があったので、高血圧は、単独で脳血管性認知症の危険因子となるといえます。

選択肢4. 論点:コホート研究 / 相対危険度
Q4. 脳血管性認知症は高血圧の危険因子となる。A.【正|誤】|

スライド7

罹患率の比から相対危険度が算出されている疾病は、脳血管性認知症およびアルツハイマー病です。

高血圧の発症に関して、要因として脳血管性認知症の有無をコホートとした罹患率が求められているデータではないので、高血圧の発症(転帰)に関する要因(危険因子)は推定することができません。
高血圧は要因曝露の項目にあるので「要因」です。罹患率から相対危険度が算出される項目は「転帰|アウトカム」です。

因果関係について復習しましょう。

要因曝露(高血圧・耐糖能異常) ⇒ 因果関係 ⇒ 転帰(脳血管性認知症・アルツハイマー病)

(第2回 / 選択肢5につづく。。。)

YouTube|

※論点解説動画で予習・復習ができます。

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ポイント|

コホート研究の指標として、【A】、【B】、【C】および【D】がある。
【B】は、要因暴露群の【A】の、非要因暴露群の【A】に対する比で示され【E】と呼ぶ場合もある。
【B】は、要因曝露した場合、非暴露と比較して【F】を示す指標で、【G】を示す。
【C】は、要因曝露群の【A】と非要因曝露群の【A】との差で示され【H】と呼ぶ場合もある。
【C】は、要因曝露によって【I】がどれだけ増えたか、要因曝露がなければ【I】がどれだけ減少するかの差分、つまり要因が【J】を示す指標である。
【K】において重要な指標で、疾病予防における【L】を意味する。
【D】は、【C】が要因曝露群の【A】に占める割合で、【C】を要因暴露群の【A】で除して100を乗じた値(%)である。
要因曝露群の中で発症した患者のうち、【M】した患者は何%かを示す。

A. 罹患率
B. 相対危険度(RR)
C. 寄与危険度(AR)
D. 寄与危険割合(PAR)
E. リスク比
F. 何倍疾病に罹りやすくなるか
G. 疾病罹患と要因曝露との関連の強さ
H. リスク差
I. 罹患リスク
J. 要因が集団に与える影響の大きさ
K. 公衆衛生対策
L. 要因除去の寄与
M. 真に要因曝露が影響して発症

では、問題を解いてみましょう!
すっきり、はっきりわかったら、合格です。

実力テスト|

第103回薬剤師国家試験|薬学理論問題 / 問127

Q. 表は、福岡県の久山町研究において65歳以上の住民826名を15年間追跡し、65歳の時点での高血圧と耐糖能異常が、その後の脳血管性認知症とアルツハイマー病の発症に及ぼす影響について調べたものである。この結果から導き出される結論として誤っているのはどれか。

スライド2

選択肢|

1. 耐糖能異常は、単独でアルツハイマー病の危険因子となる。
2. 耐糖能異常がない場合、高血圧はアルツハイマー病を抑制する因子となる。
3. 高血圧及び耐糖能異常は、いずれも単独で脳血管性認知症の危険因子となる。
4. 脳血管性認知症は高血圧の危険因子となる。
5. 高血圧はアルツハイマー病に対する耐糖能異常の影響を解析する上で、交絡因子となる。
(論点:疫学研究 コホート研究)

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第2回目は、選択肢5について解説します。

選択肢5. 論点:コホート研究 / 交絡因子
Q5. 高血圧はアルツハイマー病に対する耐糖能異常の影響を解析する上で、交絡因子となる。
A.【正|誤】|

スライド8

解説します。

第103回薬剤師国家試験問127選択肢5(問103-127-5)は、論点「疫学研究」のうち、交絡因子をテーマとした記述の正誤問題でした。

交絡因子・交絡バイアスとは|

交絡バイアスは、交絡因子の存在によって生じます。

交絡因子と思われる要因(例えば、高血圧)が、
1)アウトカム(例えばアルツハイマー病の発生)に影響を与える、
2)要因(例えば耐糖能異常)と関連がある、
3)要因(例えば耐糖能異常)とアウトカム(例えばアルツハイマー病の発生)の中間因子でない、
という3つの条件を満たすと、交絡因子であると言うことができます。

スライド9

また、交絡因子と思われる要因(例えば、高血圧)が、要因(例えば耐糖能異常)とアウトカム(例えばアルツハイマー病の発生)の双方に関連し、例えば片方の集団である要因あり(耐糖能異常)に偏って存在する場合は、2つの集団のアウトカム(例えばアルツハイマー病の発生)を比較する際に、交絡バイアスを生じます。

参考資料|
日本疫学会HP
疫学用語の基礎知識>索引>交絡バイアス 交絡因子
http://glossary.jeaweb.jp/glossary014.html

要件の適合性を検討してみます。

第1に、高血圧単独では、アルツハイマー病の相対危険度は0.9で有意差なしですから、「アウトカムに影響を与えるとは言えない」ため、
要件(1)アウトカムに影響を与えるが「-」になります。

また、第2に、要因(例えば耐糖能異常)と関連があるかどうかは高血圧の有無を要因とした耐糖能異常の罹患率の疫学分析の結果がありませんから、要件(2) 要因(例えば耐糖能異常)と関連がある、に関しては「不明」です。

そして、第3に要件(3)要因(例えば耐糖能異常)とアウトカム(例えばアルツハイマー病の発生)の中間因子でない、に関しては、一般論として、耐糖能異常から高血圧に至り、アルツハイマー病が発症するというスキームについて現在オーソライズされている事実はありません。(若干のトレンドとしては、一般的には、高血糖が続いた場合の毛細血管に対する影響などが循環器への影響として知られています。)
しかし、設問の表のみでは「不明」といえます。

他方、アルツハイマー症の発症における相対危険度を、耐糖能異常単独と、耐糖能異常と高血圧との併発と比較をすると、それぞれ、4.6と2.3なので、関連の強さとしては、耐糖能単独のほうが耐糖能異常と高血圧との併発よりもアルツハイマー病の発症との関連の度合いが強い傾向が示唆されます。

結論を申し上げると、

Q5. 高血圧はアルツハイマー病に対する耐糖能異常の影響を解析する上で、交絡因子となる。
A.【正|誤】|

この記述の正誤について知るためには、別の追加試験の結果の表が必要です。

なお、第103回薬剤師国家試験 問127は、「採点にあたって考慮した問題」として、3つの選択肢(2、4、5)が正解(出題時は誤っている記述を2つ選択する形式)とされました。

※厚生労働省|薬剤師国家試験のページ / 過去の薬剤師国家試験の結果 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iyakuhin/yakuzaishi-kokkashiken/index.html

第103回 PDF
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11120000-Iyakushokuhinkyoku/0000199399.pdf

交絡因子と交絡バイアスの概念は、理解するにはムズカシイのですが、日本疫学会ホームページにオーソライズされた教育資料が掲載されていて誰でも読むことができます。

ここまで学習が進んだ皆さんは、オーソライズされた概念で覚えてくださったと思います。さらに上記の教育資料を詳細に学習してまとめておくとよいでしょう。
(そろそろ、出題する側の方たちもコツと勘所を掴んでいらっしゃる頃だと思います。)

気づきがカイゼンに繋がります。

交絡因子の定義に関しては、詳しくは、上記、日本疫学会HP(疫学用語の基礎知識>索引>交絡バイアス 交絡因子 http://glossary.jeaweb.jp/glossary014.html )から「コーヒーの摂取が心筋梗塞に関連するか」を検討したとき、コーヒー摂取の集団に喫煙者が多かった例を参考としてください。

交絡因子をテーマとした過去問題の類題には、第102回薬剤師国家試験 問125の選択肢5(問102-125-5)があります。

併せて学習しておくと、実力アップにつながります。チャレンジしてみましょう。こちらの eラーニングコンテンツで論点解説しています。

松廼屋|論点解説 薬剤師国家試験対策ノート
問102-125【衛生】(4) 論点:疫学研究 / 交絡因子
https://note.com/matsunoya_note/n/nf0de7635fcda

追記|

問103-127で出題された「福岡県久山町における疫学調査」は、昭和36年(1961年)に、九州大学教授の勝木 司馬之助氏らによって始められたスタディで、現在に至るまで、様々な疫学分析が行われています。

出典:J-stage|勝木 司馬之助, 久山町研究, 日本内科学会雑誌, 58(13), 13-15 (1969) doi: https://doi.org/10.2169/naika.58.13_13

出題の高血圧と認知症に関する疫学研究の出典としては、2012年の下記の文献(小原 知之氏 九州大学大学院医学研究院 精神病態医学)が近いかもしれません。
この疫学研究が行われた背景や、結果・考察の詳細が掲載されています。

福岡県久山町は、年齢・職業構成および栄養摂取状況が日本の平均レベルにあり、偏りがほとんどない「典型的な日本人の集団」という理由から、50年間にわたり疫学研究の対象とされてきました。

より深い学習には、論文を走り読みしてみることも役立つと思います。

出典:J-stage|小原 知之ら, 地域高齢者における認知症の実態─久山町研究, 日本生物学的精神医学会誌, 23(3) 211-216 (2012) doi: https://doi.org/10.11249/jsbpjjpp.23.3_211

YouTube|

※論点解説動画で予習・復習ができます。
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ポイント|

【A】には、【B】と【C】とがあり、【B】とは、【D】など何らかの【E】が行われる研究のことで、他方、【C】とは、研究の対象集団を設定するが、条件・要因に対して人為的に【E】しない研究のことである。
【C】は、研究要因を【F】できないため、【B】と比較して、【G】・【H】が入り込みやすい側面がある。
【C】の代表的な研究としては、【I】がある。
【H】は、【G】の存在によって生じる。
【G】の3つの要件は、
【G】と思われる要因(例えば、年齢)が、
1)【J】に影響を与える、
2)【K】と関連がある、
3)【K】と【J】の中間因子でない、という3条件である。
【G】が【K】と【J】の双方に関連し、片方の「【K】あり」に偏在する場合は、2つの集団の【J】を比較する際に、【H】を生じる。

A. 疫学研究
B. 介入研究
C. 観察研究
D. 特定の検査・治療、薬物投与など
E. 介入
F. ランダムに割付け
G. 交絡因子
H. 交絡バイアス
I. 横断研究、症例対照研究、コホート研究
J. アウトカム(例えば脳血管疾患の発生)
K. 要因(例えば喫煙)

実力テスト|

第103回薬剤師国家試験|薬学理論問題 / 問127

Q. 表は、福岡県の久山町研究において65歳以上の住民826名を15年間追跡し、65歳の時点での高血圧と耐糖能異常が、その後の脳血管性認知症とアルツハイマー病の発症に及ぼす影響について調べたものである。この結果から導き出される結論として誤っているのはどれか。

スライド2

選択肢|

1. 耐糖能異常は、単独でアルツハイマー病の危険因子となる。
2. 耐糖能異常がない場合、高血圧はアルツハイマー病を抑制する因子となる。
3. 高血圧及び耐糖能異常は、いずれも単独で脳血管性認知症の危険因子となる。
4. 脳血管性認知症は高血圧の危険因子となる。
5. 高血圧はアルツハイマー病に対する耐糖能異常の影響を解析する上で、交絡因子となる。
(論点:疫学研究 コホート研究)

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2018/11/06 16:00 公開
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