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松永豊和の映画レビュー

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映画の感想を書いていきます。最近観た映画ばかりです。 『パペラキュウ』執筆中はビデオを鑑賞する余裕も有りませんでした。 なので2010年代の作品が多いです。 しかもアマゾンプライ… もっと読む
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#ジャック・オーディアール

予言者

ギャング映画のフリをしたイスラム教の物語 【ネタバレ有り】 カンヌでグランプリを獲るなど数々の映画賞を受賞した本作だが、 我々日本人には、かなり分かりにくい映画と言える。 フランス映画特有の説明不足ぎみな描写に加え、 舞台が刑務所なのだが、日本の刑務所と環境や規則等の違いが多々ある。 フランス語・アラビア語・コルシカ語などが入り乱れた雑多な言語社会、 アフリカ系やエジプト系もいる。そしてそれら人種差別に関する機微。 さらに物語の根幹にある、宗教文化、これが一番分かりにくい。

ゴールデン・リバー

 この映画の原題は 『シスターズ兄弟(The Sisters Brothers)』である。 情け知らずの凄腕の殺し屋兄弟の物語。 欲望があり、暴力があり、血の愛がある、兄弟愛の物語である。 何も情報を得ずに観ていると 最初は、粗暴なチャーリー(ホアキン・フェニックス)が兄で、 心優しいイーライ(ジョン・C・ライリー)が弟かと思って観ていた。 作中のセリフで、イーライが兄、チャーリーが弟と分かるのだが、 前半は何か違和感を感じていた。 で、見終わったあと原作小説のデータで