見出し画像

BEYOND THE BLACK / Beyond The Black

ドイツのフィメール・シンフォニックメタル・バンドの5th。
このバンド1stをちょっと遅れて聴き始めた位なのでほぼリアタイで追いかけているが、今作もこれまで通りの佳作、良作である。
本国では安定してメタル・チャートではなく総合チャートの上位に入る人気とのことで何よりだ。

このバンドの魅力はなんといってもガールズバンド出身のリーダー&Vo.のジェニファー・ハーベンの歌と、絶妙にドイツの古典音楽の要素を取り入れた楽曲が散りばめられている所で、彼女達からすると外国人である我々が聴くと欧米各国の古典音楽を聴き分けられないので、トラッド/フォーク/ケルトの要素を感じられる楽曲ということになろう。

ジェニファーの歌はとにかく真っ直ぐで説得力のある歌声で、メタルボーカルという観点では超ハイトーンや歪みやスクリームなどの個性を持ったタイプではない。
しかし、前述のような古典をバックボーンに持つメタルバンドとしてドイツの普遍的な何かを伝えるには充分、いや逆に最適な表現力を持ったボーカリストのように感じるし、その奇をてらわないボーカル がメタルを超えた人気を本国で得ている理由かもしれない。

その楽曲も初期は特にNightwishの影響下にあるシンフォニックメタルだったが、ジェニファー以外のメンバーが総入れ替えとなった3rdあたりからはバンドとしての楽曲、サウンドの個性が上回ってきており、本作などは特にトラッドな要素が強い楽曲が目立つように感じる。

元々生粋のスピードメタルチューンが売りのバンドでもなく、アルバム内ではアグレッシブでも泣きでも大半がミドルテンポの楽曲なので、大体どのアルバムでも#1に配置された前菜のキラーチューン。そしてメインディッシュの魚料理、肉料理のようなミドルチューンとアップテンポチューンのバランスを楽しむバンドなので、それを好むか好まざるかでメタルアルバムとしては好き嫌いが分かれるだろう。

個人的にはメタル云々以前にジェニファーの声質が好みだ。自分でも気づいて面白いと思ったが、聴いている感覚が日本の女性ボーカルで言うと元AKB48の山本彩に近い。楽曲関係無くとにかく歌声が心地良い。
この感覚はジャンル如何関係無くたまに出てくる感覚なので自分の身体の波長に合った声なのだろう。

と個人的にはメタル以外の要素もありつつだが、メタルとしても勿論ハイクオリティなアルバムである。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?