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【勝手に相談回答】「完璧同士の結婚がうらやましい」

今回は岡田斗司夫氏宛に寄せられた相談に勝手に回答する。
ご本人の回答も記事後半に掲載する。

相談内容

 30代の独身女性です。
 私は周りで、収入、ルックス、性格全てそろっている男性と結婚した方がうらやましくてしかたありません。
 こういう方と結婚したら一生ずっと幸せなのだろうな、大変なことがあってもきっと乗り越えていけるのだろうな、と思ってしまいます。
 実際の夫婦生活は分かりませんが、とても家庭的で、奥さまはとても幸せだろうな、私にはもうそういう人とは巡り合えないんだろうな、と思うととても悲しくなります。
 結婚への焦りから、いわゆる婚活をしておりますが、そんな方に巡り合わないので周りの完璧なご主人がうらやましくて仕方ありません。
 また、活動をすればするほど、恋愛結婚をすることはもうないだろうと思ってしまいます。やはり、自然な出会いではないからなのでしょうか。そう思うとまた悲しくなります。
 完璧そうにみえる夫婦でも、いったん生活を共にすれば、完璧ではない部分や不満もあるのでしょうか。
 また、どんなに完璧な人と結婚したとしても、いつまでも永遠には、大好きな気持ちは続かないものなのでしょうか。
 友人には、完璧な人と結婚したから幸せというわけでもないと言われますが、どうも納得できません。よろしくお願いいたします。

岡田斗司夫公式ブログより

勝手に回答

相談ありがとうございます。
ご相談文を読んで少し違和感を覚えたのは私だけでしょうか。

文章の前半は「完璧な男性と結婚した友人がうらやましくて、苦しい」という内容になっていて、後半は「完璧な夫婦でも完璧でない部分はあるのか。その完璧はいつまでも続かないのか」という内容になっています。

前半を読んだ段階では、完璧な男性と出会う方法や嫉妬の苦しさから逃げる方法に関するご相談かと邪推していたのですが、どうやらそうではなかったようです。

どうしてこのような文章構成になったのか。
これはご相談者様が自分がうらやましいと思っている対象の粗探しをすることで、その嫉妬心を鎮めようとしているからに他なりません。

残念ながらこの方法は嫉妬心を鎮める上で有効とは言えません。
粗探しをしようと完璧な夫婦を観察すればするほど、その素晴らしさに目がいってしまい、むしろ逆効果になってしまうのが関の山でしょう。
(完璧な夫婦であれば欠点も完璧に隠しているでしょうから、そう簡単に見つけることができないはずです)

うらやましいものはうらやましいのです。これは仕方がありません。
結局、嫉妬を完全に無くすには自分も相手と同じ立場になって「こんなもんか」となる他ないのです。

それができないから悩んでいるんだよとご相談者様の声が聞こえてきそうですが、この相談文での2つの誤解について触れさせてください。

まず一つ。
ご相談文中では「完璧な男性との結婚」と「完璧な夫婦」が混同して書かれているように見受けられます。
つまり、ご相談者様の頭のなかで「完璧な男性と結婚することで完璧な夫婦になれる」という図式が出来上がっているのでしょう。
ただし、これは間違いです。
夫婦というのはあくまで夫と妻からなる共同体です。
その関係性において、妻の存在は夫と同じくらい重要なのです。
完璧な夫婦があるすれば、完璧なのは夫だけでなく妻であることも意識しなければなりません。

さて、ここまで何度も登場してきた「完璧」というフレーズですが、私は基本的に人間や人間関係を形容する言葉としては使えないと思っています。
完璧というのは欠点がないことを意味しますが、そもそも人間において普遍的な欠点は存在しません。あるのは個性だけです。
それが社会や他人にとって不都合であれば、それを暫定的に「欠点」と読んでいるにすぎないのです。
これが相談文のなかの二つ目の誤解です。

ここまでくると、ご相談者様の目指す方向性が見えてくるかもしれません。
まず、完璧な人間などいないと理解して、個性を愛する努力をしてみましょう。もちろん、他人の全部をまとめて好きになれというわけではありません。ですが、誰しもあなたから見て愛すべき魅力があるはずなのです。いまはそれを見つけられていないだけなのです。

無理をする必要はありません。もしかしたら、また嫉妬に苦しむ瞬間がやってくるかもしれません。その時は迷惑をかけない程度に嫉妬して、またゆっくり誰かの個性を探す作業を続けてみてください。
いま、あなたが思い描くような理想な夫婦にきっとなれると思います。

岡田斗司夫氏の回答

いままでいろんな人に相談しましたよね? でも、「普通の答え」では納得できなかったでしょ? なので「普通じゃない答え」を考えてみました。

 つまり裏ワザというか奇策を提案します。

 周囲に、特にあなたの思う「完璧な結婚」をしている夫妻に、「もう結婚はあきらめた」と公言してください。婚活もすっぱり、表面上は止めること。

 理由は「いま、完璧な結婚をしているカップルの離婚待ち」です。

 政府の人口動態統計によると、毎年、離婚件数は結婚件数の3割ほどになります。「同居をやめた時の年齢別の離婚率」を見ると、30~34歳の女性の高さが目立ちます。

 わかりますよね? あなたがうらやましくてたまらない「完璧なカップル」でも結婚数年で、一定数が破綻するというのが現実なんです。

 そして離婚すると一般に女性はサバサバして「しばらく結婚は必要ないかな」となり、逆に男性は不安になって「すぐに再婚できる相手を探す」傾向があるそうです。

 狙い目はここ。悪く言えばハイエナ作戦です。

 ポイントは、結婚相手を探している、とにおわせないこと。表面上は、結婚に興味が無い、つまり他人の夫と話してても大丈夫な女になる。完璧な結婚であっても、人間だから不満もでます。そのグチ相手に徹してください。

 決して不倫関係にならないように、細心の注意を払って、です。あせっては絶対にダメ。あなたから離婚をすすめてもダメ。完璧な夫婦が別れてから、はじめて声をかけましょう。

 この方式、利点が二つあります。一つ目は「すでに完璧さを保証された物件のみ」ターゲットにすれば良い、というコスパの良さ。もう一つは、あなたの思い込んでる「完璧な夫婦」の実像がわかることです。

 「理想の夫婦は、離婚なんてするはずがない」と思い込んでるでしょ? 彼らと親しく付き合って調査してみてください。びっくりするぐらい、双方からグチが出てきますから。

 ちなみに、男性から見た「理想の妻」とは、当たり前に欠点のある自分でも「理想の夫」と持ち上げてくれる女性です。

 完璧な人と出会うことを夢見るより、目の前の普通の人を「完璧に仕立て上げる能力」を鍛えるのが近道かもしれませんよ。

本人の回答のここがすごい

  • 今までいろんな人に相談して納得していないことは相談文から類推できる。それを前提に奇策を提案している

    • ある種突き放しているようにも見えるが、相談者の質問には答えている

  • 具体的な打ち手から回答している

    • もちろん相談者の悩み解消も大事だが、読み物としての面白さも意識しているのかも

  • 「完璧」という語彙については最後にサラッとユーモラスに批判している。だから説教くさくないし、訥々と語るよりよっぽど伝わる。あなたが言っていることって、つまりこういうことだよみたいな。

  • 質問文に真摯に答えるよりこういう回答も面白い

  • 自分の回答は本人回答の後半の2行を無理やり引き伸ばしたみたいな感じ



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