やっててよかった!ストックイラストのメリット8つ
※この内容は2018年4月にピクスタさんのストックイラストセミナーでお話した内容を再編集したものです。
ストックイラストをはじめたきっかけ
はじめに私のことを少し。
私がストックイラストを始めたのは2011年の育休中でした。
今では育児介護休業法でどの会社も時短勤務が義務づけられてますけど、
当時の中小企業はまだ導入猶予。よって働いていた会社で復帰するには「5時間のパート」か「正社員」の二択しかありませんでした。
「赤ちゃんがいて/夫の帰りも遅く/実家も遠方」では残業はできません。なので、復帰の選択肢はパートのみ。通勤に往復2時間はかかっていたので、5時間のパートのために行く必要があるのか悩んだんですが、落ち着いたら正社員復帰ができる条件も捨てがたく保育園活動をしてました。
しかし
私の住む練馬区は待機児童都内ワースト2位。
2016年の流行語に「日本しね」なんて言葉がありましたけど、その時よりももっと倍率が高くて、点数の低いパート勤務では到底叶わず。認可保育園第8希望まで全て落選しました。
第8希望までの保育園全てに連絡して見学して、勤務先にも就労証明書いてもらってわかりにくい申請書類そろえて、ぐずぐずいってる10キロ超えの1歳抱っこしながら提出しに行った区役所は150分待ち!これだけ苦労したのに!!紙一枚で不・承・諾!!!!
他にも夫の勤めてる会社の倒産。それから東日本大震災。たまたまベビーベッドで寝ていた娘に怪我はなかったものの、頼れる人もなく、これからどうなるのか、どうしたらいいか分からない恐怖は忘れられません。
そんな中「自分の仕事のあり方」みたいなことを真剣に考えるようになり、「こどもの側にいながら仕事がしたい」と強く思うようになりました。
で、ちょうど時は2012年。
キーワードとして「副業」「クラウドソージング」なんて言葉が耳に入る時期でした。今のようにフリーランスになるなんて想像してませんでしたし、とりあえず仕事が見つかるまでのつなぎとして、自分の技術が使えそうなサービスにかたっぱしから登録してました。
ストックフォト、公募展、キャラクターデザイン、パッケージデザイン、ロゴデザイン、イラストコンペ、ライター、マーケティング会社のアンケートやテレビモニターなどなど。
どれもそれなりにお金にはなったのですが、中でも一番合ってたのが、ストックイラストだったのでした。
ストックイラスト制作をして感じた8つのメリット
ストックイラストをやってて良かったと思ったこと、それは
●シンプルな環境ではじめられる
●物としての在庫がない
●スキマ時間でできる
●クライアントからの直接依頼がくる
●数を増やすほど作業が楽になる
●急ぎにも対応しやすい
●収入の安定
●クリエイター向け情報
です。
メリット1 「シンプルな環境ではじめられる」
まず、1つめ。ストックイラストはパソコンとネット環境、イラレやPhotoshopなどのソフトがあれば場所を選ばずに始めらるということ。
実際、下の子は里帰り出産をしたので、ノートパソコンとペンタブだけもって、3ヶ月ほど実家でストックイラストをしていました。こどもが後追いするようになって目が離せない時は、一階にデスクトップ、二階にノートパソコンで、その時のこどもの動きに合わせて作業してました。
メリット2 「物としての在庫がない」
アナログで描く場合は原画や画材が必要だけど、私は下描きからデジタルなのでモノとして場所をとらないのも良かった。赤ちゃんと過ごす毎日はあっという間にモノであふれるし、いつ何を触るかわかりません。
以前、フェルト小物やアクセサリー販売もしていましたが、赤ちゃんと一緒だと寝てからじゃないと作業ができない。また、小物といえ材料や商品、ラッピング資材で場所をとってしまってました。その点、ストックイラストは危なくないしどんだけ大量に作ってもデータなのでモノの量はかわりません。
メリット3 「スキマ時間でできる」
ストックイラストというのは作業をする時間はあっても、「拘束される時間がない」というのもありがたかったです。
1歳児と過ごすと毎日こんな感じ。
ちゃんとご飯つくって食べさせてるのにラップでくるまれたキャベツをかじるし、玄関や階段があってあぶないから出ないようベビーゲートつけてるのに突破するし。ちょっとの隙もありません。
例えばお昼寝している15分、アンパンマンに気を取られてる20分。本当に少ししかない時間ですが、そんなスキマ時間を上手く使って自分のペースで積み重ねていけるのは最高の魅力。
メリット4 「クライアントからの直接依頼がくる」
このグラフは2012年と2017年の収入バランスの比較。
水色がストックフォトサイトでの売り上げ、緑が「PIXTAをみて連絡しました」などのストックフォトサイト経由でのイラスト案件。グレーは前勤めていた会社からの依頼や知人のイラスト案件、濃いグレーはその他(ラインスタンプや、モニター、ブログなど)です。
この6年でストックとストックサイト経由でいただく仕事が半分以上に。また、サイトのマイページがポートフォリオとして活躍してくれて「○○の素材の別パターンをオーダーしたい」など連絡をいただけるようになりました。私は営業活動が苦手です。ですがストックイラストをやってたおかげで、持ち込みも電話営業もすることなくクライアントからお仕事をいただけるようになりました。
メリット5 「数を増やすほど作業が楽になる」
毎月、新しいクライアントから相談や依頼が入ってくるんですが、カット系の案件は点数や作業のボリュームがあることが多いです。
そんな時に素材が沢山あるってとっても心強い。「今すぐにでも年越しそばのイラストがほしい」って依頼に、「このあいだ作ったラーメンをエビに変えたらいける!」みたいな展開ができるからです。
さらには「そういえば最近京都観光のイラストも描いたから、ニシンそばもつくってストックイラストふやしとこ」というように別のテーマに転がすこともできます。
ゼロから作らなきゃいけない作業が4や6から作業ができるということ。
ストックのおかげでクライアントワークの作業効率もぐんとあがりました。
メリット6 「いそぎに対応しやすい」
先ほどストックフォトサイト経由でお仕事を頂くことが多いと言いましたが、「数」に次いで多いのが「納期がない」案件です。
もちろんクオリティが保証できないほどの短い納期は調整させていただきますが、数あるイラストレーターの中から声をかけてくれた以上、自分の工夫次第で納期を短く、単価を安くできるなら出来る限りのことはしたいと思っています。
こちらのイラストは先ほどの天ぷらそばを、天丼、牛丼、ご飯、玄米ごはん、カリフラワーライスに展開したものです。ベースがあるので、それぞれ10分〜15分くらいで増やすことができてます。
ちなみに、1年くらい前にテレビで流行るって言ってたから作ったカリフラワーライス‥。全く売れません。いつまで待っても流行しないし。ただ、「短時間で沢山展開できたうちのイチ素材」なので、売れなくてもゼロから描くより良かったかな、と思ってます。
メリット7 「収入の安定」
収入の安定。ストックイラストは決して不労所得ではないけど、実働がなくても売り上げになってくれる強みがあります。
こどもの病気、学校行事や習い事、自分の体調不良や親戚づきあいでの旅行‥など仕事をするつもりだったのに、思いがけずに時間がとれなくなることって多いです。
わが家も去年のインフルエンザが本当にひどくて。こどもたちが年末にA型、年明けてからB型その合間をぬって溶連菌と時間差でかかりました。
学校に呼び出されて幼稚園でも呼び出されて、何度も病院に連れて行くだけでなく、40度も熱がある子ども達を看病している間に仕事なんてほぼ出来ません。それが2週間とかそれ以上続くんです‥。
他にも、入金までに時間がかかる大口の仕事や資格取得に向けての勉強時間など、すぐに収入つながらない時間などもあります。
フリーランスかけだしの頃は「とにかく明日のお金を稼がないと!」っていう焦りでいっぱいでした。そんな中「あなたの作品が売れました」メールは「ストックをやっていて良かった!!」って思う瞬間です。
メリット8 「クリエイター向け情報」
自分なりに増やしてきたストックイラストですが、売り上げが劇的にのびたのはピクスタさんのミートアップがきっかけでした。ストックイラストはクライアントと直接のやりとりがない分一方通行になりがちです。プロ目線でのトレンド情報、他のクリエイターの悩みや戦略を聞く事でモチベーションupにもつながりました。
販売ランキングやおすすめテーマ紹介などクリエイター向け情報を配信してくれるPIXTA Channelや素材活用方法のピクスタアンテナなども素材づくりの参考にしています。
おわりに
ストックイラストは積み重ねていくものなので、ある程度の収入までもっていくには時間がかかります。また、○枚描いたら○円というものでもないので、いくら描いても売れなければ1円も入ってこないリスクもあります。
でも、やらなかったら0円。なら描いた方がいい。そう思ってやっています。
こどもが生まれるとこんなにも時間がなくなること、生活が変わるなんて知りませんでした。そして私にとってストックイラストがなかったら今のイラストレーターとしての生活もなかったです。
人生のライフステージにおいて、子育てだけじゃなく、転職、留学、介護、自身の病気、災害などなど‥思いがけないことが思いがけないタイミングでやってくるかもしれません。そんな時、ストック収入が出来ていたらこんなに心強いことはありません。
まだ想像つかないですけど、きっとどこかでまた人生のターニングポイントがくると思ってます。その側にストックが変わらずあるといいなと思いますし、その時まで必要とされる素材づくりをしていきたいと思ってます。
次回予告
2018年の4月と10月にピクスタさんでセミナーをさせてもらった内容を再編集して有料noteとして公開予定です。
ストックイラストを描く上でぶつかった壁や、自分なりの展開のコツ、実際に100枚を描く手順なんかをご紹介する内容になっています。上のグラフの具体的な数字も公開してるのでストックでどのくらい稼げるのか知りたい人、はじめたばかりでストックの増やし方に悩んでいる人などの参考になれたら嬉しいなぁと思います。
ここまで読んでくれてありがとうございました。
読んでくださりありがとうございます!イラストが好きな気持ちのそばにストックイラストがあるといいな〜と日々思ってます。