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[2023/01/22] BOP層コミュニティを歩く(2013~2014年):(5)ジャカルタでの家庭訪問(その1)(松井和久)

~『よりどりインドネシア』第134号(2023年1月22日発行)所収~

以下は、2013年10月に書いた文章です。この頃、いわゆるBOPビジネス支援という業務の関係で、ジャカルタやスラバヤの低所得層(以下、BOP層と記述)のご家庭を訪問することがよくありました。

ちなみにBOPとはBottom of Pyramidの略で、BOPビジネスとは、途上国の低所得者層を対象とし、現地の貧困における諸問題の改善と利益確保の両立を目指す事業活動を指します。

もう10年近く前の話ですが、今、読み返しても、興味深い話が見受けられます。折に触れて、そのいくつかを加筆修正のうえ、再掲していきます。

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家庭訪問(2013年10月30日)
南ジャカルタ市P地区のR氏(50歳)宅を訪問

R氏について

R氏は、中ジャワ州南部の農村出身である。小学校を卒業した後、知人に付いてジャカルタに出てきた。それ以来、日雇いの建設労働に従事している。

契約期間は1週間のこともあれば、1ヵ月続く場合もある。ある建設現場の仕事が終われば、仲間の口コミ情報を頼って、次の建設現場の仕事を探す、という日々である。前年(2012年)に比べると、今年(2013年)は仕事の数が若干減っているという。

世帯収入は生活できるギリギリの水準

R氏は、建設労働の仕事で1日に4~6万ルピア(約350~530円)の賃金を得る。住宅建設の場合は1日7万5000ルピアと(約660円)とやや稼ぎがよい。しかし、このなかから交通費や食事代を支出するため、手取りで家に持ち帰れるのは6割程度に留まる。建設労働のオファーがない日は収入もない。賃金は日払いである。

妻は、毎日ではないが、近所の家の掃除や洗濯を手伝うことで、1日1万ルピア(約90円)程度の収入を得ている。毎日仕事があると仮定しても、二人の収入合計は1ヵ月に1万円程度にしかならない。

R氏の家の入口

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