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「試験対策英語」と「実際に使える英語」のギャップはどう埋めればいいのか?

今日は久しぶりに英語学習のやり方について少し書いてみます。それから今日は無料記事です。

英語の勉強って、主に2種類あります。一つは「試験対策勉強」で、もう一つは「実際に使えるようになるための勉強」です。この二つは重なる部分もありますが、重ならない部分もかなりあります。なのでTOEIC満点でも英検1級を持っていても今一つ話せるわけでもありませんし、いざ海外出張に行ったらレストランの注文すら満足に通じなかった、なんてこともしばしば起こります。

試験対策英語だけでは何かが足りていないことは広く知られており、そのアンチテーゼとして登場したのが日本全国津々浦々に乱立した英会話学校やオンライン英会話スクールです。こちらは主に会話の機会を提供することを目的としています。つまり「日本人に足りないのは会話の練習だけ」というわけです。

でも、日本中に英会話学校が乱立してから早40年以上経つというのに、今一つ目に見える成果が現れていません。これは一体どういうわけなのでしょうか?

そこで今日は、試験対策勉強だけだと具体的に何が足りないのか、また、会話練習だけをしてもなぜうまくならないのかを、なるべくわかりやすく説明してみたいと思います。

試験対策と実用英語の重なる部分

試験対策と実用英語対策では、目的もアプローチも違いもあります。しかし、重なる部分もたくさんあります。例えば単語の暗記とか、文法の理解などはどちらの方向を目指すにせよ絶対に欠かせません。少なくとも、中三までの文法と単語、また基本的な言い回しなどはしっかり押さえておいた方があとが楽です。ここを押さえておかないと、どちらを方向を志すにせよ、壁にぶち当たってすごく苦労します。なので、中学の英語が曖昧な人は、まずはここから押さえることを強くお勧めします。

では何が足りないのか?

では試験対策英語だけでは、何が足りないのでしょうか? 不足しているのは、本当に会話練習だけなのでしょうか?

足りないことは色々とあるのですが、一番欠けているのは、「実際はどう使うのか?」を想定した教え方です。

一口に英語と言っても、TPOによって様々な使い分けが存在します。目上の人に話すとき、友達や同僚に話すとき、あるいは子供に話しかける時では、単語の選択も口調も、あるいは声色さえ変わります。同性と異性に話すときでも若干変わります。小グループでの会話と、大勢の前のプレゼンでも違います。ニュースのように固い英語もあれば、仲間内の会話で用いられる、砕けた英語もあります。それは、日本語でも同じことです。

ところが僕らが英語を習う時、「この文型や言い回しは、実際にはどのようなシーンで使われるのか?」という部分がごっそり抜けているのです。

例えば中学1年生の前半に、

I go to school. John goes to school too.

のような文章を習います。

そして次はこの書き換えや和訳をたくさんやります。皆さんも覚えがあるのではないかと思います。

I do not go to school. 
John does not go to school either.
Do you go to school? 
No. I do not go to school.
Does John go to school?
No. He does not.

こんな感じですよね。僕はこの手の書き換えとか和訳とかスイスイできました。英語の成績も中学のうちは割とよかったです。

ところが驚いたことに、その数年後から実際にアメリカに住み始めていると、誰も "I go to school" なんて言いやしないのです。朝家を出る時も、通学途中に友達に会っても "I go to school."なんて自明なことを言っても意味がないので、当然そんなこと言いません。なので僕、「"I go to school"っていったいいつ言うんだろう?」ってずっと疑問に思っていました。

そしてしばらく住むうちに、「現在形というのは『習慣や事実を言い表すとき』にしか使わない」という基本的なことに気がついたのです。例えば初対面の人に会った時に、

Who do you do for a living? 
お仕事はなんですか?

なんて聞かれたら、「私はまだ学生です」のような意味合いで

I go to school. 

とか

I go to college.

なんて言うわけです。これ以外の設定で、"I go to school." ということはほぼありません。 "I play tennis." とかもいつ使うのかと思っていたのですが、これも例えば

What's your hobby?
趣味はなんですか?

なんて尋ねられた時に、

I play tennis. 
テニスが趣味です。

なんて具合に使われます。つまりこれも、自己紹介系です。テニスをしながら叫ぶセリフではなかったのです。

でも、最初に文法を習った時に「このような状況のときに使う」という説明も一切受けませんでしたし、使う練習も全くしないので、現実の会話のシーンになっても、一体なんといえばいいのか全くわからなかったのです。こんなエピソードは本当に数え切れないほどあります。

発音も学ばない

このほか、発音を学ぶ機会もほとんどありません。ですからファーストフード店ですらロクに英語が通じないという悲劇(喜劇?)がいつまでの絶えません。言語というのは書き言葉よりも先に話し言葉からできているというのに、発音をほとんどやらないというのは本当に奇妙な話です。

文章を書く訓練もしない

また、和訳、英訳の練習は山ほどやりますが、きちんとした説得力のある文章を書く訓練をする機会もありません。また、一口に英作文と言っても、仕事で取引先に書くメールとFacebookに何か面白い話を書き込むのとでは自ずと文体も構成も違ってきますが、それぞれのシーンに適した表現方法を学ぶこともありません。正確に言うと表現自体は学んでいるのですが、いつどんなシーンでどの言い回しが使うのがふさわしいのかは、一度も習わないのです。

なのでうっかり外資系に入ってしまったりすると、最初のうちはホンの1パラグラフのメールを書くのに1時間も消費してしまったりします。挙げ句の果てに失礼なメールを書いて、相手を怒らせてしまったりします。

ちなみに Brightureのオンラインレッスンを受講しているGAFAの社員の方って30〜40名くらいいるのですが、みんな発音と作文で本当に苦労しています。無論GAFAに入社するくらいですからどの人も優秀で、TOEIC800点や900点はサクッとクリアしていますが、それでも実際のシーンに適した使い方がわからず苦労しています。

ではどうすればいいのか?

ではどうすればいいのでしょうか? 順番に説明します。

初心者の場合

もしもTOEIC500点以下でしたら、中学の文法理解にどこか穴がありますので、まずはここを塞いでください。中学英語の復習本は様々な出版社から出ていますが、どれもよくできています。まずは1冊回して、中学文法を確実に押さえてください。僕が個人的にお勧めするのはこちらです。

日本人に圧倒的に足りない「生の英語のインプット」

次にやることは、「実際の使い方」を学ぶことです。これは教材ではなく、そもそもネイティブを対象に作られたコンテンツに大量にインプットするのが最短距離です。日本人に圧倒的に足りないのがこれです。書籍なら絵本レベルから読み始め、オーディオやビデオならば子供向けの番組から始めます。

最初のうちは英語学習者向けに作られた物を使っても構いませんが、少しずつそこから脱皮して、徐々にネイティブを対象に作られたコンテンツに移行していくのがポイントです。なぜなら、学習用の教材はなんとも言えず不自然だからです。今ならNetfixやYouTubeで動画をいくらでも見れますし、Podcastでなんでも聴けます。また、Amazonでありとあらゆる年齢層を対象にしたネイティブ向けの書籍を買うことができます。実際に使うコンテンツについては、この辺りを参考にしてください。

こちらは以前Brightureに勤めていた杉原さんの記事ですが、非常に参考になります。

もう少し初心者よりのコンテンツだと、こちらが参考になります。

なお、単語帳や文法書、あるいはTOEIC対策問題集を回したりするのは別に無駄ではありませんし、エッセンシャルな単語や文法が整いますので、これらを継続しても別に構いません。ちなみに単語本でしたら、Z会の速読速聴・英単語シリーズをお勧めします。こちらは一番初心者向けのものですが、使用例もふんだんに記載されていますし、音源もすぐれています。

文法書だったら定番中の定番ですがやっぱりこちらです。

ただ、みんさんどうしても単語帳や文法の勉強に流れすぎなので、時間配分に気をつけてください。

それよりも、大半を時間をネイティブ向けのコンテンツ消費に費やした方がいいです。そうすると、「あ、この言い方、問題集で出てきたな」とか、「この単語、単語帳にも載ってたな」なんて具合に引っかかるようになってくるからです。そして、暗記した単語や文法の実際のシーンでの使い方がわかるようになってきます。この部分が足りないと、いつになっても覚えた単語や英文法と実際の使い方とが繋がってきません。

また、英語の記事やブログや本などを読んだり、あるいは尺の長いPodcastを聴いたりしているうちに、長い英語に触れ続ける体力がついてきます。対策問題集ばかり回していると、長くても1分程度のパッセージしか聞かないので、1時間のPodcastとかを聴くような英語の体力がいつになってもつかないのです。

実際問題、ビジネスなどで英語を使うとなれば、1、2分のパッセージしか聞かない、読まないなんてわけにはいきません。ゆっくりと精読していたのでは仕事が間に合いませんし、いつになっても瞬時的に理解する力がついてきません。

発音は絶対に習った方が早い

それから、発音は習ってしまった方が確実に早いです。まだ中学生くらいならば聴いて真似しているだけで発音ができるようになることもありますが、10代後半になると、物真似だけで発音ができるようになる人は極めて稀です。

英語学習で費用対効果が一番高いのは、発音の学習です。これまた学校では笑ってしまうくらい教えてくれないので、自分で学ぶしかありません。なお手前味噌ですが、僕が経営しているBrightureの発音プログラムは非常に評判が良いので、大真面目にお勧めします。

ではアウトプットは?

じゃあアウトプットはしなくて良いのかというと、もちろん、した方がいいに決まっています。ただ、生きた英語を大量にインプットしないと、文法や単語をどうやって会話に活かすのかさっぱりわからないので、まずは「大量のインプット」なのです。

並行してアウトプットをし始めると、今度はそれがインプットにも効いてきます。ドラマを見ているときなどにも、「あ、このフレーズ使える!」なんていうふうに気づきが芽生えてくるのです。そうしたらこうしたフレーズをメモっておいて、ポストイットに書いてパソコンの画面にでも貼っておきます。そして、英会話レッスンの時に実際に使ってみるのです。こうすると、すぐに定着しますし、言い方が変ならば先生がその場で直してくれます。こうすることでたった2割のアウトプットでも、十分に高い効果が得られるのです。

日本人はとにかく文法の間違いを恐れる人が多く、「会話練習はTOEICで900点取れてから」なんていう具合に会話練習を後回しにする人がとても多いのですが、はっきり言って文法の知識がつけばつくほど、ミスがさらに怖くなります。実際に、「ミスをするのが嫌だから会話練習を避けている」なんていう人がいるくらいなのです。ですから初期のうちから、どんどんアウトプットの訓練をすることをお勧めします。英作文の添削をしてもらうのも、非常に効果があります。

まとめ

さて、最後にまとめです。

日本の英語教育に一番欠けていること、それは次の4つです。

1. 実際の使用シーンとリンクした教授法
2. 生の英語のインプット
3. 発音の練習
4. アウトプットの練習(作文を含む)

この4つ埋めてあげれば、使える英語は必ず身につきます。ただ、(1)は学校がやってくれないので、自分なりに工夫するしかありません。僕自身はこれ、10代の後半にマーク・ピーターセン氏の名著「日本人の英語」に出会って、多くの疑問が氷解しました。割と上級者向けですが、強くお勧めします。

なお、Brightureだったら、Daily ConversationEveryday Speech といったクラスがこのギャップを埋める目的で作られています。 また、前述の「一億人の英文法」もいい本です。

インプットはスマホ一つあればいつでもどこでもできるので、やる気さえあれば1日1、2時間は必ずインプットできます。リスニングが弱いうちは、英語字幕を出しっぱなしで大丈夫です。

また、発音とアウトプットの練習も、オンラインスクールで賄えます。

最後の最後に!

それから最後の最後にもう一言。「勉強すれば英語を使えるようになるか?」それは最終的には、どれだけの時間と熱意を投入したかでほぼ決まります。楽器の演奏や、スポーツの習得と何も変わりません。単にレッスンを受けてればいいとか、漫然と英語をBGMにしてればいいとか、そういう問題ではないのです。

ギターが上手になる子は、いつもそればかり考えていて、YouTubeでたくさんのサンプルを見て、指から血が出るほど練習します。英語もこれと何も変わりません。英語教室は、軌道修正にうまく利用すればいいのです。

僕自身は英検3級程度の実力から、1年半程度でアメリカ大学進学レベルにまで達したことがありますし、前述の杉原さんは英検2級くらいから、1年ちょっとで英検1級を突破しています。僕ら二人に共通するのは、目先の試験対策などほとんどやらずに、ただひたすら、大量の英語をインプットしたことです。

ですので皆さんも、2〜3年はガッツリと英語学習に取り組んでみてください。流した汗は嘘をつきません。

それではまた明日!

==以下宣伝です==

Brighture English Academy のオンラインレッスンは、1コマ50分です。ただ単に25分間おしゃべりをする大半のオンライン英会話とは異なり、「発音」「Reading & Writing」「Business Coaching」など、自分の伸ばしたいスキルに特化したレッスンをみっちりと受講することができます。

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