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物議を醸し出し中のアセンブリ理論

アセンブリ理論(Assembly theory)って聞いたことがありますか?

これは現在、物議を醸し出しているとっても面白い理論です。

これまでは生物学の領域だったはずの「生物の淘汰と進化」という難題に、物理学的な見地からの説明を試みた実におもしろいものなのです。複雑な生物学的および物理的システムがどのようにして形作られ、選択(淘汰)されているかを説明しうる、非常に野心的なものです。

意味わがわからないですよね

そんなこと言われても意味がわかりませんよね。
ビッグバンが起きると、宇宙は水素や炭素などのさまざまな原子で満たされました。やがてそれらの原子が結合し、H2OやCO2などの分子が形作られました。つまり、原子が分子をアセンブル組み立てたのです。こうしてできた分子らは、やがて、海や空や雲や大地を組み立てました。さらに時間が経過すると、今度は生物が組み立てられたのです。

こんなふうに、時間の経過とともにより複雑な構造が組み立てられていくというのが、このアセンブリ理論です。

アセンブリ理論は、主に次の3つの概念からなります。

1. アセンブリ指数(Assembly Index):

アセンブリ理論の中心となる概念の一つがアセンブリ指数です。これは、ある特定の分子や構造が組み立てられるために必要なステップ数を示す指標です。ステップ数が多いほど、その分子や構造はより複雑であるとされます。

2. 進化の経路(Evolutionary Pathways):
これは、進化がどのように複雑な構造を生み出すかです。進化のプロセスでは、雑に言うと、単純な構造が徐々に複雑化し、淘汰圧の下で最適な形に進化します。

3. 選択(Selection):
自然淘汰や人工選択は、アセンブリ理論において重要な役割を果たします。選択(淘汰)のプロセスを通じて、より複雑で適応力が高い構造が選ばれ、生存し続けます。

アセンブリ理論の意義

アセンブリ理論が登場して何が嬉しいのかと言うと、生物の進化や、化学の分子進化の研究、あるいはAIやロボテックスの研究において、広く適用ができそうだからです。

この理論は、自然界や人間の活動によって生じる複雑なシステムの形成を理解するための強力なフレームワークを提供してくれるんですね。なので、この理論を用いることで、進化のプロセスや選択のメカニズムを定量的に評価し、予測することが可能となると考えられています。

つまり、進化生物学、分子生物学、化学、人工知能など、さまざまな分野で重要な洞察を提供し、複雑なシステムの研究に大きな影響を与えそうなんですね。

いくつか具体例を挙げてみましょう。

生物学:

アセンブリ理論を用いることで、生物の複雑な構造や機能がどのようにして進化してきたかを解析することが期待できます。タンパク質やDNAの進化の過程を理解するのに役立ちますし、今後、幹細胞を用いた臓器や医薬品の開発などにも役立つことが期待されます。

化学分野:

複雑な分子の合成経路を解析し、新しい化合物のデザインに役立ちます。これにより、新しい材料や新薬の開発に応用されそうです。

人工知能やロボティクス:
自律システムの設計において、複雑な機能を持つシステムがどのようにして進化し、選択されるかを理解し、開発の方向性を定めたり、開発期間を早めたりすることなどに役立ちそうです。

なんかすごそうですよね。もっと詳しく知りたい方は、物議を醸し出した論文をどうぞ。読み応えあります。

で、僕はこのアセンブリ理論を聞いて、僕ら人間がどれだけ長い歴史の上に立っているのか、そういう方向に思いが向いたんですね。と同時に、僕らの子孫たちが作り上げていくであろう未来につながる実感を感じました。

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