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少年自然の家を”泊まれる公園”に 地域資源の再開発 (#2/2)

(#2/2)

”泊まれる公園”の事業内容と価値創出の戦略

何かを押し付けるわけではなく、”泊まれる公園”として最大限楽しめる仕掛けを用意した「INN THE PARK」。事業としては①宿泊事業、②飲食事業、③ワークショップ・イベント事業の3つが実施され、地域と連携したコンテンツやサービスが提供されています。

#1で記載の通り、素泊まりプランのない「INN THE PARK」での食事は、地元の食材をふんだんに使った夕食・朝食が用意されます。また、飲食提供設備は食堂だけではなく公園内にも存在し、テイクアウトしたコーヒーやビールを片手に公園を散歩することもできます。

地元の講師を招いたワークショップやイベント、マルシェ等も随時開催されています。また、外遊びをしたいゲストには多様な遊び道具を、ゆっくりくつろぎたいゲストには室内で遊べるボードゲームを貸し出しています。

これらの事業を“泊まれる公園”として企画した背景には、首都圏からの時間距離が約 1.5 時間という立地がありました。アクセスが良いため、気軽に非日常が体験できる宿泊施設としたのです。そして、大人の体験価値向上に比重を置いた結果、ファミリーだけでなく、20代前半〜中頃の女性グループの利用も多くなりました。

森の中に浮かび光る“球体テント”は、アウトドア感あふれる見た目で『映える』だけではありません。中にはエアコンが設置され食事も提供されることから、快適さが担保されています。さらに、ふわりと揺れる感覚や、森を眺められる窓など、体験価値も高いものになっています。

官民連携が成功するためには

いわゆるPPP (Public Private Partnerships=“官民連携”)は日本でも推進されていますが、事業者側が価値の発掘と長期的な戦略を見据えた提案・運営を実施し、行政側がそれに対して柔軟に対応をしていくことができなければ、事業のブラックボックス化や利益のみの追求にも繋がってしまい、本来の目的を果たすことはできません。

「INN THE PARK」は、両者が本気で地域資源の再生と価値向上に取り組んだ好例なのではないかと思います。価値が低下し廃止を余儀なくされていた地域資源をそのままにすることなく、その地の価値を最大化できる企画を追求することにより地域の魅力の再開発、発信、事業に繋がりました。

リニューアルから4年が経ち、今後はより中長期的な事業形成や価値の持続が重要になってくると思います。地元に根付き、官民連携で新しい文化がどのように展開されていくのか、楽しみです。

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