【参戦レポ】横浜ロマンスポルノ24
2024年9月8日(日)に開催された横浜ロマンスポルノ’24~解放区~に参戦してきた。この日はポルノグラフィティデビュー25年の記念日。四半世紀という重みは感じつつも”遠さ”は感じない。ポルノグラフィティはそういうバンドなんだ。
「デビュー日に参戦するライブって実は初めてでは?」と思い参戦歴を見返していたのだが、5年前の「神VS神」が9月8日。20周年、東京ドーム2Days、神セトリというイメージが強すぎてデビュー日ということをすっかり忘れていた(笑)。ちなみに2019年も、9月7日が土曜日で8日が日曜日の2Days。調べてみたら、同じ暦になるのはぴったり5年後の2029年だ。遠い未来に感じるが、この5年があっという間だったように、すぐにその日になってしまうのだろう。もちろんポルノグラフィティとともに。
僕が横浜スタジアムでのロマポルに参戦するのは2014年の「惑ワ不」以来10年ぶり。当時は就職のために地元栃木から東京に出て2年目。仕事や生活にも慣れ、一番無敵の時期だと思う(笑)
その前は僕の初ライブとなる2008年の「10イヤーズギフト」。高校3年生で地元以外の景色をほぼ知らず、友達と小山駅から湘南新宿ラインに乗って2時間、高揚感が溢れていたのを今でも覚えている。
そして今回が3回目の横浜スタジアムでのロマポル参戦になるのだが、”小山駅から2時間の横浜ロマポル”という16年前の軌跡をたどっていることに気づいた。調べてみたら、開演時間まで同じだ。大きく違うのは空が晴れていること(前回は”伝説の豪雨ライブ”だった。笑)。社会のことをほとんど知らなかった高校生が、東京生活を経て地元栃木に戻り、妻子を持ち、参戦した横浜ロマポル。あの頃と変わらない想いを持ち続けているのは、まさしくポルノグラフィティのおかげだ。
前置きだけで1000文字に到達しそうなので、そろそろライブレポに移ろうと思う。
▼参戦前のプレビュー、セトリ予想の記事はこちら
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座席は3塁側スタンド(向かって左側)。ステージから角度のある席で、普段はそうでもないのだが、今回はかなり気になることがあった。豪華なステージセットの全景がまったく見えないことだ。ライブ中、ステージ後ろからの照明によって、セットがネオンっぽく光っているのは感じていて、それが正面から見れないのが悔しすぎた。「解放区」とうたっているため、その雰囲気を存分に味わいたかったのだが、この点だけ残念。数曲でもいいので映像化されて欲しい。
今回は1曲目の予想がすごく難しく、突飛な曲もあり得ると思っていたのだが、「おいでよサンタモニカ」がくるとは思わなかった。解放区のコンセプトからクールなオープニングを勝手に想像していたのだが、むしろロマポル感満載。そっちに振ってきたか!と。演奏されてみると、飾らないポルノグラフィティらしい始まりで会場も大盛り上がりだし、25周年のロマポルオープニングとしてこの上ないとさえ感じた。
そこから一転。5年間待っていた「ネオメロドラマティック」で一気にボルテージが上がる。かっこいいギターとサビからノリノリになれて、メロに入る前に跳ねて声を出せる、ポルノグラフィティの振れ幅が詰まった曲だ。
そして、度肝を抜かれた3曲目。まさか「メジャー」が演奏されるとは。大学生の頃に発売されたアルバム曲で、ライブ「PANORAMA PORNO」で聞いて12年。あの頃の記憶が一気によみがえり、そうだ、サビの後に一緒に声を出せるんだという喜び。
オープニングからこの3曲の並びで、今回のライブがいかにロマポるかを強く感じ、指数関数的にテンションも上がっていった。
その流れのまま「アポロ」。周年ライブでデビュー日なのでやるとは思っていたが、コアになる場所に配さないことでむしろ風格さえも感じる。
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MCを挟み「狼」、これもまた5年ぶり。前回の「PG wasn't built in a day」が"ポルノのライブ曲"放出祭りだったため、今回は”サブ定番曲”放出祭りになるとは予想していた。狼は夏ということも含めてこの枠に入るだろう。
そしてライブでは初めて聞く「OLD VILLAGER」。これで初めて炎が噴出したと記憶している。率直にかっこよくて、激しいロックにも関わらず、身体を揺さぶるより見とれてしまった。”ライブは曲に出会い直すことができる場”だと思っている。音源で聞くのとライブで聞くのとでは、響き方、受け取り方が全く異なるし、時が経つことでまた変わってくる。OLD VILLAGERも然りで、改めてこの曲に込めたポルノグラフィティの決意を感じ、これから何度も聞いて深めていきたい曲となった。
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MCで昭仁さんが「旗を立てる」みたいなことを言っていたが、ほとんど覚えていない。次の曲で驚きすぎて記憶が飛んでしまったのではないかと思っている(笑)。スクリーンに映し出される今回のライブロゴを纏った旗に、渋い晴一さんのギターから始まる7曲目は「FLAG」。メジャーとともに「PANORAMA PORNO」の収録曲だ。マイナーとさえ言える12年も前のアルバム曲を、まさか2曲もやってくれるなんて。過去のライブでこんなことはなかったのではないだろうか?
次に演奏されたのは「カメレオン・レンズ」。2018年のリリースながら、すでに4回もライブで聞いたことがある、ポルノグラフィティの新機軸と言えるナンバー。
その雰囲気のまま「シスター」。この曲を待っていた人は多いのではないだろう。僕ももちろんその一人だ。間違えていなければ、「CYBER」を除くと「PANORAMA PORNO」以来の演奏になる。「神VS神」で演奏されなかった人気のあるシングル曲がいくつかある。泣く泣く外された曲たちだと思うが、そういう曲を”ちゃんと”今回選んでくれているのはすごくうれしいし、曲への愛を感じる。また、個人的には横浜スタジアムに似合う曲という印象がある。初めて買ったライブDVD「横浜ロマポル06」で、ドラムロールから歌い上げる姿が素敵すぎてしまったからかもしれない。
そして、これも待ってました「愛が呼ぶほうへ」。「神VS神」から演奏されるのを待ち続けていたこの曲は、因島ロマポルでの復活が一番美しかったと思う。それが実現されて本当に良かった。それにしても、カメレオンレンズからシスター、愛が呼ぶほうへまで、しっとり聞き入る曲ながらこれほどまでに破壊力があるなんて、すさまじいバンドである。
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「まだライブで演奏されていない曲」ということで「むかいあわせ」。2013年にリリースされた重厚なカップリング曲の初演奏に鳥肌が立つ。この曲も「メジャー」「FLAG」と同じ時期だ。11~2年前と言うと、25周年に対して約半分の月日。この頃のポルノグラフィティは、今以上に作曲やライブに精力的に活動していた。そして思い返してみれば、サポートや編曲が若い世代に移り始めたのもこの時期だ。捉え方によっては今のステージと地続きになり始めたといえる「PANORAMA PORNO」の周辺曲を、この25周年というタイミングで振り返る。そして予感させられる”次のステージ”に胸が躍る。そんなことを静かな曲のなかで考えていた。
アコースティックバージョンで始まったのは「ギフト」。これもまた神VS神以来のシングル曲。個人的に、この地でギフトが演奏されることに大きな意味がある。初めて参戦した横浜ロマポル08の掲題曲であり、高校3年生という多感な時期に勇気をもらった曲でもあった。「これまでも、これからも、音楽(ギフト)はここから」。16年前の決意と約束が果たされていることに、胸が熱くなり、また頑張ろうと思うことができる。
アコースティックのままで始まったのは「THE DAY」。横浜ロマポルにまつわる曲を振り返っているかのようなセットリストだ。ただ、アコースティックで始まったときには少しがっかりしたのが正直なところ。「この曲はゴリゴリにロックをしてなんぼじゃないのかい?」と思った矢先、不敵なドラムにまさかと思ったが、2番から通常バージョンになったのだ。この演出はずるい。振れ幅の大きさに、普通に演奏されるよりもテンションが上がったのは言うまでもない。
熱が高まったところで暗転。そのままなだれ込むように「螺旋」⁉らせんやってくれるんですか??「didgedilli」が好きなことは言うまでもないが、螺旋なんてもう聞く機会がないんじゃないかと思っていたから、本当にうれしかった。
晴一さんのギターに会場が飲まれていき、暗転したままの会場に、いつのまにかステージを囲む演出。放たれたのは「Zombies are standing out」。カメレオンレンズとともにポルノグラフィティ新機軸のロックナンバーだ。ラックの演奏頻度はこの曲のせいで下がったのではないかと思っているが(笑)、激しい演奏に身体が揺れ、手をかざす。このときの手の振りがゾンビっぽくなってしまうのは僕だけだろうか?笑
息つく暇もなく「今宵、月が見えずとも」。皮肉が効いていてこんなにかっこいい曲なのに、神VS神で演奏されなかった不遇のシングル曲だ。ロイヤルストレートフラッシュを思い出す。最後にロングトーンで魅せる昭仁さん。スタジアムは間違いなく熱に冒されていた。
照明と音が消え、スクリーンに映し出されたのは
この文字を見ただけで泣きそうになった。僕が地元から東京に出た社会人初期を支えてくれた曲、「ひとひら」。15周年の「ラヴ・E・メール・フロム・1999」以来10年ぶりとなる。25周年を振り返るポルノグラフィティ、とともに人生を振り返ることができるなんて、ポルノグラフィティのファンは本当に幸せ者だなと思う。夜に挟まれた美しい桜を解放区で見せてくれる優しさも感じる。
余談にはなるが、因島では「前夜」が演奏されたらしい。これも大好きな曲なので聞けなかったことが残念ではあるが、”故郷(=因島)での前夜”と”都会・社会(=横浜)でのひとひら”が対になっているのではないかと気づかされた。
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短いMCの後に放たれた曲は「ヒトリノ夜」。これも待ってました!ほんと、今回は”やりそうでやらない曲祭り”だ(笑)。イントロから跳ねまくり、サビで昭仁さんの煽りに歌い、とにかく楽しく一気にテンションが上がる曲。
そして、派手なネオンとともに始まった曲は「Jazz up」!みんな大好きじゃざっぷです!!1stアルバムの1曲目であり、若気の至りとおふざけも満載な曲で、ステージも観客もタガがはずれたような大騒ぎ。歌い、身体を揺らし、手を掲げる。この曲聞くと、昭仁さんは実際言ってないのに「飛べ!飛べ!よっ!よっ!」という煽りが頭のなかに聞こえてしまうのは僕だけでしょうか?(笑)今回のライブで一番楽しかったかも。毎回やってもいいよ。
アルバム版で始まったのは「ミュージック・アワー」。おおお、止まらない!畳みかけてきている!この3曲、曲名を見るだけで楽しすぎるラインナップだ。「ミュージシャンたちも張り切って」の部分がもうわけわからなくなっている昭仁さん(笑)スタジアム全体が一体となって変な踊りを披露する光景は圧巻だった。
そのまま「アゲハ蝶」になだれ込む。手をたたき、手を振り、ラララと歌い、2曲続けて会場が一体となる。野外で見るこの光景は圧巻だし、終盤のラララにはポルノグラフィティとファンとの信頼関係が表れているようで誇らしい。晴一さんがお立ち台に座って、その景色を優しく眺めていたのが印象的だった。
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あっという間にラスト1曲。昭仁さんが「ここはみんなにとっての解放区になっていますか?」と問いかけてくれた。そんなことは言うまでもない。それが順調な道であろうが、暗いトンネルのなかだろうが、昔からポルノグラフィティは現状を肯定して、未来を見せてくれる。ただ、本音を言えば、”解放区”が終わってしまうのがすごく寂しくもあった。ということで、本編ラストは「解放区」。
そうだ。今日のライブは、ポルノグラフィティが25年僕たちとともにいてくれたことを振り返らせてくれ、そしてこれからも続くことを示してくれた。こんなに優しさにあふれたロマンスポルノは初めてかもしれない。
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アンコールはふたりが左右に分かれ、旗を先導に車に乗って中央のステージへ。メインステージの全景を正面から捉えることができて、アンコールでは目の前にポルノグラフィティが表れる中央スタンド席?は、今回の大当たりだと思う。
1曲目は新曲「ヴィヴァーチェ」。軽快なテンポに初めて聞くとは思えないほどノレる曲だった。解放区のが現状肯定のファイトソングだとすれば、そこからもう1歩、軽快に踏み出させるような曲。歌詞も爽やかだった気がするので、早く音源で聞きたいし、ライブでまた聞きたい。
2曲目には、あきらめていた「Ohhh!!! HANABI」。アンコールに持ってきてくれるなんてニクいセトリである。今回定番のハネウマライダーがなかった分、タオルの出番がないかと思ったが、アンコールでハネウマより速くタオルがスタジアムを舞った。爽やかな歌詞を一緒に歌えるのも、この曲のいいところだ。曲のラストには正面に花火が。夏の最後にこんなことしてくれて、本当に幸せです。
メインステージに戻り、ラスト1曲はおなじみ「ジレンマ」。50歳になる昭仁さんがステージの端から端まで走り回って歌っているのが衝撃的で、そのまま倒れてしまわないか心配になるほどだった(笑)。僕は、ファンになった10代から30代になり、家庭ももったけど、この曲で跳ねることは変わらぬアイデンティティのようなもので、ホームのような安心感さえある。「自信持っていけ、胸張っていけ」ライブ終わりのこの言葉がまた僕を未来に向けさせてくれる。
サポメン退場後、終わりかと思いきやサプライズでビールの売り子さんが登場。25周年ライブをやりきった2人が、横浜スタジアムの中心で乾杯する絵は美しかった。
本当に25周年お疲れ様です。ありがとうございます。そして、これからもよろしくお願いします。
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今回のロマポルは、これまでのライブの経緯からサブ的なシングル、ライブ曲の大放出祭りになるだろうなと予想していた。その方向性は大枠当たっていて、(以下個人的な統計だが)ロッキンで聞いて以来という珍しい待ち状態だった「今宵、月が見えずとも」、LEMF1999以来の「ギフト」、PANORAMA以来の「シスター」とファン歓喜のシングルが揃い踏み。神VS神以来となった「愛が呼ぶほうへ」「ネオメロドラマティック」「ヒトリノ夜」。ライブで映えるけどなかなか出番が回ってこなかった「Jazz up」「Ohhh!HANABI」。ここまでで8曲を数える。リリースされている曲数が増え続けるなかでこの枠が8曲も入ってくるライブは、これからもなかなかないのではないだろうか?
「愛が呼ぶほうへ」「ギフト」「THE DAY」「ひとひら」などは過去のライブでコアになっていた曲で、これまでのライブの歩みを振り返ることにも繋がった。また、PANORAMA PORNOから「メジャー」「FLAG」、初披露の「むかいあわせ」と、ある種のターニングポイントとも言える12年前を振り返る要素もあった。
それらを隙間を埋める、新旧のポルノライブ曲。
前回のライブ(PG wasn't built in a day)がコロナ禍明け初の声出しで、”表のライブ曲”で固めたセットリストだとすれば、今回はある種"裏"で固められたセットリスト。ポルノグラフィティを愛するファンたちが大喜びする夜の国、まさに解放区。そんな夜の国でもこれだけ楽しく盛り上がることができると証明してくれた。もう、ポルノグラフィティにとって怖いものはなにもないのではないだろうか。そのファンでいることがまた誇らしく、勇気が湧き出てくる。
そしてアンコールで披露された「ヴィヴァーチェ」は、そこから一歩を踏み出す曲。この1~2年は"コロナ禍以降"という括り方をされてしまうが、捉えようによってはそれは呪いのようなものだと思っていて、いつまでも押し付けられたくないワードだ。ポルノグラフィティも、2020年のCYBERから今回の解放区まで、ひとつの流れのようなものはあったと感じている。その解放区はポルノグラフィティという長い歴史で見ても25周年の節目となり、新しいステージに一段上がっていくのではないだろうか。
「これまで」と「未来」が優しく、そして強く示されたライブだった。
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最後に個人的な振り返りをして長い長いライブレポを締めたいと思う。
今回初めて聞けた曲は4曲。「むかいあわせ」「おいでよサンタモニカ」「ヴィヴァーチェ」「OLD VILLAGER」。
2回目となったのは「解放区」「螺旋」「ひとひら」「Ohhh!HANABI」。
3回目になった「メジャー」「FLAG」はPANORAMAに2回参戦したから”3回”なだけだし、「Jazz up」も過去メドレー1回を含むので、2回目のようなものだろう。
そう考えるとここまでで11曲、ライブの約半数を占めるという珍しいラインナップだ。
これに輪をかけて珍しいのは、上にも書いた"サブ定番"がさらに積み上がったこと。改めて凄まじいセットリストだった。
※"聞いた曲上位リスト"の比較的下の方が更新されていることがそれを物語っている。
心残りは「NaNaNaサマーガール」。軽快で大好きな曲なのだが、ここで演奏されなかったらどこでされるのか。また、「幸せについて本気出して考えてみた」を「Jazz up」と日替わりにしてしまうのはちょっと意地悪だ(笑)。また次やってください。そして、不遇のシングルという意味で「音のない森」「ROLL」「Don't call me crazy」「Rainbow」「あなたがここにいたら」あたりをそろそろ聞きたい。
今回の解放区は夜の国がコンセプトのひとつであったが、どちらかというと煌びやかな世界観だ。ポルノグラフィティには、もっとダークでドロドロした世界もあって、近年出していないそういう世界観のライブや構成もそろそろ欲しいのだ。そして毎回言っているが、「愛なき…」をいつかライブで聞かせてください。これのおかげで(せいで?笑)、万が一やったときに聞き逃してはいけないと、僕は毎回ライブに行かないといけなくなってしまっています。笑
今回のライブまでで僕が聞けた曲のユニーク数は182曲(トータル481曲)でした。次のライブはまだ発表されてないし、追い込みたくもないけど、2025年のうちにあるといいな…。
改めて、25周年おめでとうございます!
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