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アナグマのペニスの謎

 初めてnoteに投稿する内容はどうしたものかと少々悩みながらも、まぁ性的な話はすべきでないなと思い、ちんこの話を書くことした。ただの女子大生である。

【ペニスの多様性】

 私は小学生の頃からいきものが好きだったのだが、特に興味があったのはいきもののペニスだった。(これは単なる知的好奇心であり、性的な興味などではない。)いきもののペニスは、形も性質も千差万別で、見ていて全く飽きない。
 例えば、ハクビシンのペニスは鬼の金棒のように表面が無数の骨で覆われていて、入れられる側はめちゃくちゃ痛そうだし、ムササビのペニスはらせん状になっていて、「交尾のときはびよーんって伸びるがやろうか……?」と想像させられる。ヘビやトカゲはペニス二本持ちだ。
 哺乳類の中にはペニスの中に骨を持つものもいる。というか、たいていの動物のペニスには骨がある。イヌ、ネコ、クマ、タヌキ、イタチ、テン、アナグマ、コウモリ、ネズミなどがそうだ。ペニスの骨は陰茎骨と言い、これも種によって形が様々である。例えば、イタチのものは先端は鉤状に曲がっているし、テンの幼体のものは二股に分かれている。

 これほど多様性に富んでいると、いきもののペニスもケーキ屋さんのショーウィンドウに飾られているケーキと同じように見えてくる。

【アナグマのペニスの謎】

 昨日は大学でアナグマの解剖(※)を行った。
 自分は講師として参加したのだが、教えることは本当に難しいことだと改めて実感した。特に、解剖しながら体の仕組みが分かるように順序良く解説していくのがすごく難しく、「あ、あ、どうしよう、先に気管の周りの肉取ろうか……。」「あ、そうやった、横隔膜取り忘れちょった!( ;∀;)」と、常にあわあわしながら後輩たちに教えていたのだ。講師としてはダメダメなのだが、まぁ今後の自分自身の成長に期待である。

 アナグマの陰茎骨の形も特徴的である。先端がヘラのようになっていて、真ん中に穴が開いているのだ。そのときは何も考えずに切り取った陰茎骨を野菜ネットの中に放り込んだのだが、よく考えるとなぜ穴が開いてるのか疑問である。尿道が通る穴かと思ったが、尿道が通るのならタヌキの陰茎骨のように溝状になっているはずではないだろうか? しかしアナグマの陰茎骨の先端は絶妙に反っているので先端部分だけ尿道が通る穴が開いていればいいのかもしれないし、うーん。
 Google ScholarやCiniiでも検索をかけてみたが、結局それらしい論文は出てこなかった。私の検索の仕方が悪かったのかもしれないが、ペニスについてはまだまだ研究されていないことが多いと思うとワクワクしてくる。

 次アナグマのペニスを手にする機会があれば、よく観察してみようと思う。ついでに穴も覗いてみよう。そこにはペニスの小宇宙が広がっているかもしれない。

【おまけ】

 最後に一つ映画を紹介したい。

『最後の1本~ペニス博物館の珍コレクション~』公式サイト
http://saigo-no-ippon.gaga.ne.jp/  より

 『最後の1本~ペニス博物館の珍コレクション~』である。この映画は、男性器に魅了されたシッギという男が40年間にわたって収集してきた哺乳類のペニスの標本コレクションを完成させるために、ヒト代表として誰のペニスをコレクションに追加するのか決めるまでの珍騒動を描いた実話の物語である。見る前はコメディ映画だと思っていたが、見てみると案外まじめなストーリーで、ヒトのペニス一つ寄贈してもらうだけでもこれほど苦労するのかと関心したものだ(つまり75分間まじめにちんこの話をしているのである)。
 ペニスだけでなく、博物館や学芸員の仕事に興味のある人は見てみると面白いかもしれない。
 ちなみに、サムネの画像はこのペニス博物館のお土産物屋で販売されていた「ペニスラムネ」だ。アイルランドに旅行した知り合いがペニス博物館に寄ったらしく、そのときのお土産である。

【注釈】

(※)
 解剖というと人によっては悪いイメージを抱くかもしれないが、実は学術的には非常に重要なことだ。というのも、研究に必要な剥製や骨格標本は動物の解剖しないとできないし、そのいきものの体の臓器や骨格や体内にいる寄生虫、蓄積された環境汚染物質等を知るためにも必要だからだ。解剖が無ければ医学も生物学も発展しないだろう。
 とはいえ、解剖そのものを素晴らしいことのように捉えるのもまた違うような気もする。ヒトがいくら「研究に活かすため」「標本にして情報を後世に伝えるため」と学術的な理屈をこねようと、かつて生きていたそのいきものの所有物である「体」を勝手に自分のものにして切り裂いていることに変わりはないのだ。

【参考文献】

『どうぶつのおちんちん学』浅利昌夫 2018.11.10
『哺乳類のかたち~種を識別する掟と鍵~』川口敏 2014.4.30


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