苦い真実は甘い嘘に勝る──「手焼珈琲RODAN」を訪ねて。
長く暮らしていた広島から郷里の松山へと戻った際、なんとなく感じていたことがある。こちらの味付けはなんだかやたらと甘いのだ。たとえば、松山人のソウルフードというわけではないけれど、誰もが口にしたことがある鍋焼きうどん。老舗の「アサヒ」か「ことり」かというのは夫婦の間でも好みがわかれるほどで、アルマイト製の小ぶりな鍋で供されるうどんは、いりこと昆布でとった甘めの出汁がぐいぐいと主張してくる。より甘い(松山らしい)ということでは「アサヒ」のほうに軍配が上がるのだけれど、うどんと一緒