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松山のお菓子とコーヒー

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愛媛県松山市のお菓子とコーヒーについて考える記事を集めています。
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記事一覧

苦い真実は甘い嘘に勝る──「手焼珈琲RODAN」を訪ねて。

長く暮らしていた広島から郷里の松山へと戻った際、なんとなく感じていたことがある。こちらの味付けはなんだかやたらと甘いのだ。たとえば、松山人のソウルフードというわけではないけれど、誰もが口にしたことがある鍋焼きうどん。老舗の「アサヒ」か「ことり」かというのは夫婦の間でも好みがわかれるほどで、アルマイト製の小ぶりな鍋で供されるうどんは、いりこと昆布でとった甘めの出汁がぐいぐいと主張してくる。より甘い(松山らしい)ということでは「アサヒ」のほうに軍配が上がるのだけれど、うどんと一緒

松山のローカルな和菓子「醤油餅」。140年続く老舗の挑戦は続く|白石本舗

愛媛・松山の醤油餅をご存知だろうか?  「醤油餅」と聞くと、全国的には磯辺焼きのイメージを持つ人が多いのだろうが、松山人がイメージする醤油餅はちょっと違う。醤油が練りこまれたういろうのような和菓子で、小判形や捻った形など、スーパーの和菓子コーナーでも日常的に見かける、松山では馴染みのあるおやつだ。 県内の大手菓子メーカーでも製造している醤油餅だが、実は、市内には専門店もある。創業明治16年という白石本舗合同会社の白石隆聖さんにお話を伺った。 郷土菓子・醤油餅をイノベーシ

地元を愛し、地元民に愛されるまちのお菓子屋さん「林仙堂」。

松山市の和菓子といえば、「坊っちゃん団子」と「タルト」。そう思い浮かべる人も多いはず。観光地としてにぎわう道後温泉周辺や松山中心部の至るところで売られ、お土産にも大人気だ。でも今回は、観光地から少し離れた場所で、地元民に愛される日常菓子を作る「まちのお菓子屋さん」を紹介したい。 歴史と新しい文化が調和するエリアでそれが、昭和35年創業の「林仙堂」だ。お店があるのは、松山市の北側のお城下エリア。かつて寺町と呼ばれたこの一帯は、昔から多くの人が訪れ、栄えてきた。現在は、愛媛大学

“お接待文化”がルーツ!? 誰かのためを想って用意する、松山の和菓子とコーヒー

松山市のソウルフードといえば・・・ あまくて、やわやわのアサヒやことりの甘いうどん、「瓢系」と言われる甘いラーメン を思い浮かべる人も多いのではないでしょうか? 松山の人=甘いもの好きが多い 私は、そんな印象を持っていますが、 甘いものの代表格である「和菓子」はどうなんだろう? 城下町文化がある町には、「和菓子文化」も残っているとされています。金沢や京都がそうですよね。 松山の伝統的な和菓子について知りたくて、長年松山でお茶の先生をされていているGAMYの飯田みどり