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くたびれたオッサンと思われたくなければ、外飲みは値段で飲まずに見栄で飲む

酒は、酔うためだけのものじゃない

夜が更けてくると…彼女が暇さえあれば大好きなワインをがぶ飲みしていて、このままではアルコール依存症にならないか?とても心配しています。

“サンタ・ヘレナ”アルパカ

っていう、ワンコインで買えるチリの安酒なんですけど…


これは日本の最南端で、場末のBARを主宰しているオッサンの独り言です。

『家飲み』をするなら、周りに気兼ねすることなく自分が好きな酒を好きなだけ飲んで好きなときに寝る…それに越したことはありません。

それが『外飲み』になると…飲んでいるアルコールの種類と銘柄、そして酒癖によって他人が貴方を判断していることが往々にしてあることも、また事実なのです。


今回は、そんな『外飲み』にまつわるオトナとお酒の話です。



飲む酒で貴方は格付けされている

巷にアルコールを提供する飲食店は数あれど、BARほどアルコールメニューの種類が多い業態はありません。

そのBARがオーセンティックになればなるほど、その傾向が強くなります。

『オーセンティックバー』でなくても、『ワインバー』や『日本酒バー』『焼酎バー』などの特化型BARも同じく、豊富なドリンクメニュー構成になっていることが一般的です。


「バックバーは店の顔」などといわれます。

店に入りカウンター席に腰かけて、見たこともないボトルが鎮座しているバックバーを眺めていると、その店のオーナーのこだわりというかコレクションの数々をお披露目したいという悦に入った姿が見えてきます。

BARのバックバーは、自己満足のオナニーと同じです。

ビジネスの観点からすると、売れるかどうかも分からないボトルに資金やスペースを割くのはどう考えても合理的ではありません。

他人に言われなくても分かってはいますが、オナニーは気持ちがよくてガマンできないので多くのBARでは目につきやすいバックバーに、嫌というほどボトルが陳列されています。

ボトルでなくても、例えば『ミュージックバー』ならレコードジャケットが『読書バー』なら本が、同じ理由で大量に並んでいます。


タイミングを見計らったように、バーテンダーが声をかけてきます。

「今日は、何にしましょうか?」と。

オーダーを聞かれて、なんと答えますか?

選択肢が多すぎると、人間は決めきれません。

バー入門のマニュアル的なモノに「ジントニックで、その店の味が分かる」なんてことが書いてあるので、ここはジントニックと自信ありげに…

それって、ベースのジンが安価な“ギルビー”なのか?はたまた高価な“タンカレー”No.10なのか?で味が決まっているだけじゃないの?

使うトニックウォーターの種類に若干は左右されるかもしれないけれど、はたしてその違いが分かる人間が何人いることやら。


炎上覚悟で言います。

いい歳こいた男なら、そんな居酒屋にもある『女子供』が飲むようなカクテルは飲まずに黙ってウイスキーを飲め。

しかも、誰がなんと言おうとシングルモルトを。

オナニーの世界に付き合うと、まだ出会ったことがないウイスキーを知ることができます。


そして…BARでグラスを傾けている姿ほど、オッサンが輝いてみえる瞬間はないのです。



カウンターの内側から見た、粋なお客さんとは

お一人様で『外飲み』をするなら、BARほど最適な環境はありません。

そっとしておいてほしいならスマホでもいじっとけば誰も話しかけてきませんし、逆に喋りたければバーテンダーが話し相手になってくれます。

そんなBARの敷居をまたいだからには『家飲み』では飲まない、また他の飲食店にもない酒を飲みましょう。

せっかくだから。

BARにしかない酒となるとショートカクテルが思い浮かびますが、ショートカクテルが様になるオトコとか…フローズンダイキリをこよなく愛した文豪アーネスト・ヘミングウェイとシェイクしたウォッカマティーニを好んで飲んだ映画007のジェームズ・ボンドくらいのものです。

女子ならともかく、そこら辺のオッサンはどう頑張っても浮くだけです。


そんなリスクを冒して撃沈するくらいならウイスキーにした方が得策なのですが、安価なブレンテッドウイスキーはマズいうえに次の日に頭が痛くなるので、酔うことだけが目的の酒をのむのはやめましょう。

5大ウイスキーの中でもモルトウイスキーはスコッチとジャパニーズしかなく(アイリッシュも1部にはある)、ジャパニーズはオークションアイテムと化していてプレミア価格を出してまで飲む価値はありません。

本場スコットランドの“グレン〇〇〇”と書いてあるシングルモルトを指名しとけば、居酒屋で焼酎を飲みながら同僚相手にくだを巻いているオッサンよりもはるかにシブいオッサンと思われます。

ただし、間違っても大虎にならないように。

これだけで、北方 謙三ばりハードボイルド小説の主人公にグッと近づけますよ。


でも、今まで見てきたお客さんの中で1番シブかったのは…一見で1人ふらっと入ってきては、決して万人受けしない“ボウモア”のロックを3杯飲んで、何事もなかったかのように帰っていった20代半ばの女の子でした。

まさに、クールビューティ。


今の状況が改善されて、外出できるようになったら…このnoteのことをふと思い出してやってください。



noteを書いている中の人はファッショニスタではありません。レビュアーでもありません。 あえてたとえるなら「かろうじて美意識のあるオッサン」といったところです。 自分が買いたいものを買っています。 サポートしなくていいです。 やっていることを遠くから見守っていてください🐰