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黒衣に徹したサンプルメーカーの、消えそうに燃えそうなワインレッドの靴

相方のいないボッチキーパー

革靴を買いにいって、「ご一緒に、シューツリーもいかがですか?」と、販売スタッフから『クロスセル』をかけられることはあっても、シューツリーを買いにいって、革靴の『ついで買い』を勧められることは…まずない。

簡易的な全バネ式キーパーならまだしも、通常は入れる革靴ありきのシューキーパー購入だからです。

入れる革靴もないくせに、見たことがないという理由だけでシューツリーを衝動買いしてしまいまして…その不明だった品番が、EMB551だと分かった次第です。

“クロケット&ジョーンズ”を代表するラスト、#348をもとに作っている汎用性の高いツリーですので、よほど『イロモノ』のトゥ(たとえば、こんなの↓)でなければ、

なにごともなく収まることでしょう。



ダブルモンクストラップ

今はレースシューズの気分ではなく、靴ひもがなくてもサイドエラスティックのよさは個人的に分からないので選考対象外。

あと思いつくのは、モンクストラップくらいのものでして…

モンクストラップは、“J.M.ウエストン”と“チャーチ”のシングルモンクしか持ち合わせがないので、初のダブルモンク革靴を探してみることにしました。

コロナ禍もあって、ドレスとカジュアルの境界線が加速度的にあやふやになっていく現在、以前ほど革靴の『ラバーソールアレルギー』もないので、“パラブーツ”の定番ウィリアムを解禁するか…

と、長期にわたって『ウォッチリスト』に入れておいた靴を引っ張り出してみたら、最近の物価高と連動して値上げされてました。


その値上げ幅、1.3万円也。

メーカー希望小売価格が9.68万円(税込み)になってしまった人気のウィリアムなので、2次流通価格が上がっても仕方がないっちゃ仕方がありませんが、世知辛い世の中になったものです。

さよなら、ウィリアム…



安かろう悪かろうばかりでもない

ここは、各メディアが報じているような知名度のある人気ブランドではなく、知る人ぞ知るブランド靴をキープしておいたので、それにすることにしました。

ワールド フットウェア ギャラリーが取り扱いの、

有名ブランドからのサンプル生産を請け負っている、イタリアの数少ないサプライヤー“であるボリーニ”。

1945年より『ボリーニ家』が、家内工業でほそぼそとやっている靴工房でして…2004年まで自社ブランドの製品をリリースしていなかったことから、遠く離れた日本での認知度はほぼありません。

(画像を見るかぎり、『最高峰既成靴』の誉れ高きハンガリー製“ヴァーシュ”の純正ツリーが入っていますが、写真撮影用に入っているだけなので付いてきません)

“パラブーツ”のウィリアムとは、キャップトゥプレーントゥのちがいはあれど、製法がおなじ(厳密には、ウェルトありのノルウィージャンとなしのノルベジェーゼでちがうのだけれど)なら、有名税がかかっていない分“ボリーニ”のダブルモンクの方がおトクです。

しかも、“ボリーニ”はパティーヌだし(インソックもパティーヌ)。


この靴は1年以上も前から売れずに、3.3万円→3万円→2.8万円と、徐々にディスカウントされていきました。

血統書がないせいで、買い手のつかないペットショップの仔犬のように、悲しげな表情でずっとこちらを見ていた気もします(多分、気のせい)が、それも今日が最後です。

付属品なしの未使用革靴に、かかった経費は実質2.7万円ほど。

シロウト目にはアッパーの革質も問題はなく、ソール底面はヒドゥンチャネル仕様の半カラス仕上げで、これまで所有した革靴の中で1番手が込んでいて、黒くくびれたカラス部分にうっすらと浮かび上がる、シャンクの『裏スジ』がエロうござんす。

おなじく“ボリーニ”の、ノルベジェーゼ製法の靴が8万円のプライシングだったので、同価格として定価の1/3ほどで済んだ、“ボリーニ”ダブルモンクストラップ(品番は分からん)のドーパミン放出88%

結局はレザーソールになってしまって、その靴のつま先部分には飾り釘が打たれているのだけれど、ビンテージスチールを付けるなら…どげんすればよかとやろ?



noteを書いている中の人はファッショニスタではありません。レビュアーでもありません。 あえてたとえるなら「かろうじて美意識のあるオッサン」といったところです。 自分が買いたいものを買っています。 サポートしなくていいです。 やっていることを遠くから見守っていてください🐰