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欲望が渦巻いたメルカリを舞台にした、過去の遺物的な鞄をめぐる人間模様

完璧ではない造形美

フリマサイトの裏では、取引の数だけドラマがあるのです。


『鞄熱』が冷めやらぬ今日このごろ。

“ビル アンバーグ”のバッグは、ロケットバッグ以外にもベネシャンバッグメディスンバッグと名作ぞろいですが、この2つのバッグには一分の隙もないロケットバッグとはちがって、『ダサかっこいい』意匠の隙があります。

ベネシャンバッグ

シルエットしかり、両サイドの革ストラップによる開閉やハンドル(の一部)が金属製と似通っているのに、

洗練されたロケットバッグと野暮ったいベネシャンバッグに分岐していることが、なにかに似ていると考えていたのですが…『機動戦士ガンダム』でした。

ロケットバッグがザクなら、

ベネシャンバッグは旧ザクです。


メディスンバッグ

メディスンとはのことで、医者の回診に携行されるドクターズバッグをベースに、”ビル アンバーグ“流に再構築されたバッグです。

ロケットバッグよりも、マチが幅広でスマートじゃありませんが、開閉ファスナー両端にいたる曲線が『鉄仮面』っぽく、その立体感のある個性的なデザインの妙が、ややもすれば似たシルエットになりがちなメンズバッグの世界において、ほかと被らずに所有欲を満たしてくれます。

ロケットバッグほど売れていないので、ロケットバッグほど2次流通市場には出てこないバッグ、それがメディスンバッグなのです。



組んず解れつ

メルカリで購入をすると、その関連商品を次々と紹介してくる中での一品。

画像の底鋲が6つだったことから、Lサイズなのが確定。

メディスンバッグ自体はすでに廃番で、「この状態(実動2〜3回)の個体は、もう現世にはない」とオーナーから断言されたバッグに、目が釘付けになります。

同一サイズの黒が昨年の4月にヤフオクで取引されていて、

落札価格が送料別の5万円(実動10〜15回)。

写真で見るかぎり、今回のメルカリ出品の方が状態がいいので、6.8万円は妥当なラインでしょう。

ただ…

Mサイズだったとはいえ、新品・未使用のロケットバッグが7.5万円だったことを考えると、

もう少し勉強してもらおうと『チキンサポートシステム』を発動するのです。

「1割引でおねがいします!」

敵もさるもの引っ掻くもので、出品者(A氏とします)は中間の6.38万円を提示してきます。

それに乗っかるのも負けた気がするのでスルーすると、期間限定だった金額ももとにもどって硬直状態がつづいたそのとき、『第三の刺客』(B氏とします)が現れて5万円での直接交渉をはじめますが、A氏はほぼ新品なのを理由に「6.5万円が限界」と、これを拒否。

B氏は6.5万円で白旗を揚げましたが、価格は下がることなく6.8万円のままSOLD

あのときに6.38万円で買えばよかった、と後悔するもあとの祭り。



トレジャーハンター

B氏はエンドユーザーというだけではなく、メルカリで仕入れをしてメルカリで売っているセラーでもありまして…

もし彼がメディスンバッグを購入しているのなら(この時点では、だれが買ったのか?が分からない)、いずれ出品してくると踏んで張っていたら、

「キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!」

6.8万円仕入れなら経費倒れ7万円の出品価格に、15%引きの5.95万円入札で応戦。

A氏との価格交渉が決裂しているにもかかわらず、こりずに挑むワタスはドン・キホーテ。

評価履歴を見て、A氏ルートからの商品と確認。

まだ仕入れ直後だし、♡3とだれからも注目されていない商品棚なので、腰をすえての長期戦を想定していたのですが…

あっさりと、呑んでくれました。

メルカリは『先に押したもん勝ち』なので、そそくさとポチるのです。

「とったど~」

長旅でやって来たダンボールを開けてみると、手入れのいきとどいた「モチモチ」肌のカバンが入っていました。

どうしてB氏が赤字で放出したのか?は知るよしもありませんが、一度『バラしてしまった巨大魚』のドーパミン放出170%

今年一番の掘り出し物でした。


現行新品を購入するのとは異なる、考古学にも通ずる中古市場での発掘作業。

自分だけの、『お宝』探しに今日も行く。



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吾唯足ルヲ知ラズ
noteを書いている中の人はファッショニスタではありません。レビュアーでもありません。 あえてたとえるなら「かろうじて美意識のあるオッサン」といったところです。 自分が買いたいものを買っています。 サポートしなくていいです。 やっていることを遠くから見守っていてください🐰

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