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なぜ米国株インデックスか?

今回は私たちにとって有力で効率が良い投資先はどこなのか、
チャートを根拠に分析してみたいと思います😊

チャートの見かたについては、
トレンドを大切にすることが最も重要です。

それを認識するための波動理論について
既に基礎的なことは解説しましたので、
未読の方はご一読いただければ幸いです。

今回はそれを応用して
初級者から中級者が長期で付き合う投資先としてどこを選ぶことが合理的か?
主に兼業投資家を想定しながら
少しアクロバティックな比較検討をしてみたいと思います。

特にここでは、初級中級者が行うのが中・長期投資という想定のもと、
チャートという相場の根拠に基づいてお伝えします。

先に答えを言ってしまうと
タイトルにあるように、最適なのは「米国株インデックス」となります。



1:波動理論に基づくトレンドの定義を再確認

市場で売り買いが行われて
ジグザグのチャートが形成される相場には
大きく3つの種類があります。

・上昇トレンド
・トレンド無し
・下落トレンド

図にすると、次のようになります。

チャートの基本パターン3分類

このうち、アクティブ運用では
・上昇トレンドは、ロング(買い)ポジションで儲ける
・下落トレンドは、ショート(売り)ポジションで儲ける
・トレンド無しでは、ポジションを持ってはいけない。
でした。

そして、積立運用は、3つのうち上昇トレンドを前提にしています。

そして「N」字(または逆「N」字)を最小単位として
・上昇トレンドは、安値と高値を切り上げて上に向かって変化
・下落トレンドは、高値と安値を切り下げて下に向かって変化
しているのが波動理論に基づくトレンドの定義でした。

これを踏まえて
次の3つの条件を順番に満たす投資先を選定するのが合理的です。

トレンド力=安定的にトレンドを形成している(基本は上昇トレンド)
*中級以上のスキルを獲得するまでは、リスク回避のためにも、これが大前提です

⑵成長力=時間当たりの利幅が大きい→高い効率で儲けられる

⑶防御力=中期的に極端な暴落が少ない
*10年以上の長期で全く暴落が起きない投資先はありません。が、数年に1度のペースで70%以上も暴落する投資先では、安定した資産運用もできません。

では次に、よく聞く代表的な投資先を比較してみて、
⑴〜⑶に合致するチャートを探してみましょう。

比較する投資先
●コモディティ→金・原油・天然ガス
●日本株→インデックス(指数)・個別株
●米国株→インデックス(指数)・個別株
●欧州株→独インデックス(指数)
●政府通貨=米ドル/円(為替・FX運用を想定)
●仮想通貨=ビットコイン


2:チャートを根拠とした代表的な投資先の比較

確認事項=投資と付き合う期間 〜多くの人は10年から20年以上〜

読者の皆さんが投資と付き合うのは、
どのくらいの期間になりそうでしょうか?

投資の元手となる貯蓄額の、
日本人(現役世代)の年齢別中央値は次のようになります。

20代=201万円
30代=400万円
40代=531万円
50代=800万円
(金融広報委員会:2022年)

不労所得だけ
・趣味や娯楽も可能な普通の生活する(いわゆる FIRE)には1億円〜2億円
・最低限は衣食住ができる生活をする(いわゆるセミFIRE)には3000万〜5000万円
の運用資産が必要となります。

標準的な貯蓄額=元手から上記の生活を手に入れるには、
だれもが脳死で参入できる超長期積立投資=ドルコスト平均法だと、
20〜30年かかります

3億、5億と儲け続けていきたいなら
30年以上は投資をしていくことになります。

これを前提に、
次からは可能な限り1990年まで遡って
約30年の超長期でのチャート(基本3ヶ月足)を比較分析して
先の⑴〜⑶の条件に当てはまる投資先はどこかを確定させたいと思います。


①超長期トレンド無し銘柄

これは条件⑴すら満たさない投資先です。
具体的には、日本株指数、円/米ドルが該当します。

どちらも超長期ではトレンドの無い状態です。

特定の期間をみてみたらトレンドはありますが、
超長期で安定トレンドのある投資先と比べると
都度つどの難しい判断が高い頻度で要求されます。

これらは専業トレーダーで食べていくような
上級者(=ハイ・アクティブ運用)の選択肢には入りますが、
兼業トレーダーを想定した初級者や中級者にはオススメしません。
思わぬ相場転換のときに、大きな損失を出すからです。

日経平均株価指数(日経225)
日本の代表的な株価インデックスですが、
1989年12月に38957円を記録してから
もう30年以上も史上最高値を更新できていません。

2008年11月をボトムとして、
左側が下落トレンド
右側が上昇トレンド
のようにも見えますが・・・。

今の日本の社会・経済状況(少子化・低い労働生産性など)から、今後、史上最高値を更新してどんどん成長していくとは簡単に考えられません。また、地震大国ゆえの自然災害リスクなどによる大暴落も無視できません。
東日本大震災で、運用資産のかなりを失った人が多いのは、最近に投資の世界へ参加した人は確認しておく必要があります。

加えて、日本の株価指数は、米国株価指数の従属的な位置にあること、為替の影響を従属的に受けることを理由に、思わぬ変動をします。つまり、日本株価指数だけを独立的に考えて投資ができず、他への複雑な目配せが要求されることも、オススメできない理由です。

米ドル/円
通貨ペアという国際金融の性質上
原理的に超長期でのトレンドは発生しません。

もしそれが起こるなら
片方がハイパーインフレをし続ける時ですが
その時は通貨の信用失墜や国債暴落、大規模な経済混乱が発生します。

これは他の通貨ペアでも同様で、
金本位制から為替相場制へ移行してからの原則です。


②長期上昇トレンド終了銘柄

これは、条件⑴を満たしていた時期はあるけど
既にトレンドが終了してしまっている投資先です。

原油天然ガスなどが該当します。

1990年から2000年代の半ば前後にかけて長期の上昇トレンドにあり
600%や900%以上の上昇をしましたが
その後にトレンドがなくなり横ヨコ相場や下落基調になっています。

たまに原油や天然ガスは、暴騰や暴落といったニュースが流れます。
およそ国際政治の混乱などが原因です。

しかし、それを追いかけて適切なポジションを取りつつ利益を得るには
よほどの専門的なファンダメンタル分析の知識を手に入れて
それを常に駆使しながら国際経済や国際情勢に目配せし続けなければなりません。

趣味でそれができるなら良いですが
お金のため永続的に好きでも無い情報収集をするのは大きな生活負担です。
それを背負わずに十分な儲けを得ることは、他の投資先を探すことで可能です。

*このパターンには、高度経済成長期前(1960頃)まで遡るなら日経225なども含めて良いでしょう。


③超長期上昇トレンドだけど利幅が少ない銘柄

これは、
条件⑴を満たしているが、
条件⑵を満たしていない例です。

ここでの「利幅が少ない」の基準は
30年前後の期間で
成長率が1000%未満ということです。

具体的には、一括投資を仮定して
成長率が年平均8%を30年続けたら
複利効果を合わせて資産は1000%=10倍以上に増えます。
それを下回るパフォーマンスの投資先、ということになります。

例を挙げると
・金(GOLD)
・ドイツ株式インデックス(DAX)
・日本個別株の代表のトヨタ
が該当します。

これらは、
リスク分散のための
防御向き=ディフェンシブな投資先としてはとても効果的です。

しかし、
しっかりとリスク管理をした上で
かつ一定の時間効率で儲けようとする場合、
メインの投資先には向いていません。


④長期上昇トレンドで利幅が多いけど大暴落リスクのある銘柄

これは、
条件⑴や⑵を満たしているが、
条件⑶を満たしていない投資先です。

例を挙げると
・ビットコイン
・米国新興個別株の代表 テスラ
などが該当します。

共通しているのは、
まだ歴史が浅く
市場からの評価が都度つどで大きく浮き沈み
している点です。

初心者にとっては
「投資(資産形成)」より「投機(ギャンブル)」になる
リスクや可能性があります。

チャートを根拠に見てみましょう。

ビットコインは設定来最高値までに86.4万%
テスラは設定来最高値までに3.5万%
の上昇になっています。

ただし、もう既に先行者利益を得られる段階でもなく、
今後も同様の伸び率が期待できると単純に考えることはできません。

また、その浅い歴史の中で
70%以上の暴落
ビットコインは2回
テスラは1回しています。

加えて、
基本的に評価額の変動率(ボラティリティ)がとても高いのが特徴で
チャート判断に基づく暴落回避法を使っても
防ぐことができる下落幅は株式インデックスなどより限定的
大きなダメージを受けます。

長い目で見ると
「どうせ、また成長するし」
と割り切れるかもしれませんが、
暴落した際の精神的ダメージも想定しておく必要があります。

初心者から中級者は、
これらへ資金を向ける場合は、
少ないロット数を前提としたサテライト枠での投資にとどめておくのをオススメします。


⑤超長期上昇トレンドで利幅が多く安定した銘柄

最後に、条件⑴⑵⑶の全てを満たす投資先です。
その代表が米国株インデックス、具体的にはSP500とナスダック100です。
また、米個別株のアップルも、⑶の条件を甘めに評価すれば含めて良いです。

だたし、各インデックスの構成比率に占めるアップルの割合は、
SP500(6.12%)とナスダック100(15.53%)のどちらもトップです。

複数の個別株をパッケージ化した株価指数=インデックスの良いところは
個別株がもつ上下動のばらつきを安定化・平準化させつつ、
総合的な上昇の旨みや値動きの予測可能性を実現している事です。

言い換えると、
個別株一般は決算等によってチャートが大きく動くことがあり
高い確度での安定的な予測がインデックスよりも困難で、
後述のように独自の暴落リスクもあります。

結論としては、
米国株インデックス(代表はSP500とナスダック100)が
投資先の中核として相応しい
、となります。

もちろん、
ご自身の資産運用を占める個別株の枠に、
アップルやそれと同様のパフォーマンスを発揮する株を一定割合で位置付ける価値は、大いにあります。言うまでもありませんね。

実際のチャートは次のようになります。

1990年からの成長率と、代表的な暴落時の下落率を見てみると次のようになります。
暴落はそれぞれITバブル、リーマンショック、コロナショック、2022年ショックの順にお示ししています。

1990年以降の主要な暴落・トータル成長率

*アップル株は、上記の米国全体の暴落とは別に、1990年から合計5回、30〜80%台の暴落を経験しています。その意味では、条件⑶の達成度はSP 500やナスダック100に劣り、リスクがあります。また、既に「先行者利益の旨味」はほぼありません。もちろん魅力的な投資対象なのには変わりありませんが。

こう見ると、
条件⑴〜⑶を全部満たしながらも、
条件⑵=成長力(利幅)が特に強いのがナスダック100
条件⑶=防御力(安定)が特に強いのがSP500
となります。

・・・ただし、米国株の成長が、
これまでの100年と同じように永続するとは私も考えていません。
他国の方が効率的になったら、それに乗り換えれば良いだけです。

その簡単な判断基準は、オルカンの構成比です。

最先端のプロたちが集まって作った
全世界株式インデックス(オルカン:オールカントリーインデックス)。

そこでアメリカを超える比率の国がもし出たら
上のSP 500やナスダック100を原資産とする保有銘柄を
その国のインデックスへ徐々に変えれば良いだけです。

ただ、当面の向こう10年でその現象が起こる見込みは、極めて低いでしょう。
もしその時がきたら、私がお伝えします。

*なお、私はオルカンを「劣化版SP500」と認識しています。なぜなら、オルカンは、SP 500よりさらに防御力へ振っているのですが、そのかわり成長力をさらに捨てています。基本的なチャートの読み方がわかれば、SP500の防御力で十分です。もしも暴落が来たら、チャートを読んでSP 500を避難させて、暴落回避をすれば良いだけです。

「eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)の構成比」マネーポストより

3:まとめ

チャートをトレンド判断しながら類型化しつつ、
複数の投資先の比較をしてきました。

類型化した5つの超長期チャートパターンは、
他の銘柄に当てはめてみても、
参考になる基準だと思います。


「超長期のチャート5パターン」
①超長期トレンド無し銘柄
②長期上昇トレンド終了銘柄
③超長期上昇トレンドだけど利幅が少ない銘柄
④長期上昇トレンドで利幅が多いけど大暴落リスクのある銘柄
⑤超長期上昇トレンドで利幅が多く安定した銘柄


その結果、
⑤に該当するSP 500ナスダック100
他を凌駕するパフォーマンスを
上昇トレンド力・成長力・防御力の3条件で
出しうることが明らかになりました。

初心者から中級者はこの
2つの米国株インデックス(もしあれば同じ条件にあう投資先)を、
ポートフォリオの中核に置くのが合理的
というのが私の結論です。

しかしこれでは、
「他で言われていることと同じじゃ無いか」
ツッコミたくなると思います😆

違うのは、
あなたは既に、波動理論によるトレンド認識によって

・チャートを比較分析して根拠にすること

で、相場の事実に基づいて米国株インデックス投資の優位性を理解しています。

S&P500を
「ウォーレン・バフェットさん」が
「両学長さん」が
「誰々」が
・・・他人が勧めているから良いと判断するのではなく、
自分の目でチャートを見て、数値に基づいた事実を確かめる。
それが、私がこの記事で皆さんに体験したもらいたかったことです。

今回の記事では、私の主観的な感情やオススメを伝えるものではなく、
客観的なチャートの事実や根拠を皆さんに知っていただく、
そのお手伝いをしたかったのです。

そしてこの「チャートを根拠にする経験」は、
さらに色々な学びや気づきをもたらしてくれると思っています。

今回は、少し長めの記事なりました。
最後までご愛読いただき、ありがとうございました😊

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〜注記〜
*本記事では、日本株が得意な「配当」のことにはあえて触れていません。それは「株価上昇」に振った方が、「株主へ配当金を配る」よりも、株主へのトータルリターンが相対的に多くなることが統計学的にわかっているからです(分かりやすいところでは日米指数の比較、VOOとSPYDの比較など)。もちろん、「配当」でモチベーション維持に繋げたり、日々の生活水準を向上させたりするのは大切ですけどね👍

*また、短期的に10倍以上の株価へ成長するような個別株(いわゆるテンバガー)狙いについても触れていません。専業でない私たちが、運ではなく、その再現性を確保し続ける苦労。原油・天然ガスで見たような膨大なファンダメンタル情報の収集を新しく行い続けなければならない煩わしさが、私たちの生活負担になるからです。どのみち複数に分散して、少数の「当たり」を見込むしかありません。
そして何より、ファンダメンタルを専業でやっているプロには敵いません。ここを自覚することは、時間効率の上でとても大切です。

*特定の方法論を身につけたら、あとはそのルーティン化によって、少しの変化に対応しつつ安定的に儲けを出していく。私には、そういう生活スタイルが合っていて、だからプライベートも大切にできています✨
それに共感していただける皆さんに、私の記事を喜んでもらえると嬉しいです😊

*ハイ・アクティブ運用をされてる上級者&専業の方は、本記事の“アクロバティック”さをエンタメとご理解ください(笑)

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