ウメ子ちゃんの物語(事件) 親の財布からお金を盗む <7>

<6>からのつづき

ウメ子ちゃんと話し合ってから、一応この件に関してはひと段落着いたかな

・・・と思っていたのですが、まだ続いていました。

この頃のウメ子ちゃんは基本的に毎日Sちゃんと遊んでいるのですが、二人きりで遊ぶときには、近所の公園でブランコしたり自転車に乗ったりして遊んでいます。

週末に折り紙ブームが来てからは、わが家で一緒に折り紙工作してから、公園に行くという流れになっています。

〜〜〜

10月20日(火)

この日、ウメ子ちゃんはRちゃんとSちゃんの3人で遊びに行きました。

ウメ子ちゃんは「○○公園に行ってくる~」と言って、いつも持ち歩いている手提げかばんの中には家にあったみかんを入れて出かけていきました。

財布は家に置いていました。

(余談ですが、この日の午前中、マツお母さんはツル美ちゃんとふたりで「タピオカ」を買いに行きました。乾燥のタピオカが近所のスーパーには置いていなくて探していたのですが、ブログを読んだ妹が売っているお店を教えてくれたのです。)

お金持って行かずに遊びに行ったのは、ウメ子ちゃんなりの反省なのかなぁなんて、マツお母さんは思っていました。

10月21日(水)

この日のウメ子ちゃんはSちゃんと遊んでいました。

夜になってから、マツお母さんはウメ子ちゃんの手提げかばんの中に学校に持って行く水筒が入っていたことを思い出しました。

水筒を洗うために勝手に袋の中から取り出したのですが、そのときに、お金が見えたのです。

コンビニのレシートもあり、500円玉で支払ったことがわかりました。

ウメ子ちゃんとはおこづかい帳をつけていたので、500円玉を持っていなかったことはわかっていました。

マツお母さんは、またタケお父さんの財布と自分の財布の中身を確認しました。

タケお父さんの方は、「現金で支払ったけど、会社で精算したからレシートはない」とのことで、正確な金額がわかりませんでした。

翌朝。

10月22日(木)

マツお母さんは「ウメ子、火曜日に『Rちゃんがコンビニでお菓子買いたいっていうから一緒について入ったけど、何も買わなかった』って言ってたよね?」と言いました。

ウメ子ちゃんは「言った」と答えました。

マツお母さん「水筒洗おうと思って袋の中みたら、お金があったんだけど、どうしたの?」

ウメ子ちゃん「え?」

マツお母さん「あれ、ここの棚の上に財布置いてたじゃん。財布はどこにいったの?」

ウメ子ちゃん「知らない」

マツお母さん「なんだ、袋の中にあるじゃん。ねぇ、このお菓子はどうしたの?ウメ子、火曜日はお財布持って行っていなかったじゃん。このレシートの500円はどこからきたの?誰のお金なの?」

ウメ子ちゃん「Rちゃん・・・」

マツお母さん「何があったのか説明してごらん」

ウメ子ちゃん「あのね、Rちゃんがね、くれるって言ったんだよ」

マツお母さん「Rちゃんがくれるって言ったの?ウメ子にはおこづかいを渡してるんだから、お友だちからお金をもらわなくてもいいよね。もらったの?借りたの?」

ウメ子ちゃん「Rちゃんが好きに使ってって言ってくれたんだもん」

マツお母さん「・・・。これ、今日、Rちゃんちに返しに行こうね。Rちゃんの家のお金だもん。やっぱり、Rちゃんのお母さんと話そうね。ウメ子、一緒に行くよ」

ウメ子ちゃん「今日もSちゃんと遊ぶ約束してる!」

マツお母さん「わかった。遊んでからでいいよ」

ウメ子ちゃんは学校から帰ってくるとSちゃんと一緒に折り紙をやっていました。

17時前に、マツお母さんが「そろそろ行くから、支度して」と二人に声をかけました。

ウメ子ちゃんは「え~、ウメ子は行かない・・。お母さん行ってきて」と言いました。

マツお母さん「一緒に行くよ。ほら、支度して」

ウメ子ちゃん「行きたくない・・」

Rちゃんの家は、Sちゃんの家の帰宅途中にあったので、ウメ子ちゃんとSちゃんとツル美ちゃんとマツお母さんの4人で歩いていきました。

歩きながら、マツお母さんはSちゃんに話しました。

「今からRちゃんの家に借りたお金を返しに行くんだ。Sちゃんはおこづかいもらってるの?SちゃんもRちゃんからお金を借りたことがある?」

Sちゃん「ある・・」

マツお母さん「Sちゃんのお母さんはこのこと知ってる?」

Sちゃん「言ってない。私は自分で返したい」

ウメ子ちゃん「ウメ子も自分で返したい!」

マツお母さん「あぁ、そう。ウメ子も自分で返したいなら、ウメ子からお金を渡してね」

ウメ子ちゃん「やだ~!お母さんがやって。ウメ子はお話しないからね!」

Rちゃんの家に着くと、ちょうどRちゃんのお母さんが外から家に帰ってくるとこでした。

マツお母さんが「こんにちは。Rちゃんと同じクラスのウメ子の母です」と挨拶すると、Rちゃんのお母さんは「あっ。先日は連絡先の紙、ありがとうございました!仲良くさせてもらってるみたいで」と言いました。

マツお母さんはRちゃんからウメ子ちゃんが借りたお金を返しにきたことを伝えました。

おこづかいを与えて、お金の使い方の勉強中だから、友人間でのお金の貸し借りはないようにしたいという話をしました。

Rちゃんのお母さんは、Rちゃんがお金を持っているということを知りませんでした。

習い事から帰ってきたら、話を聞いてみるとのことでした。

大人が話し終わってから、SちゃんがRちゃんのお母さんに「私もお金を借りているから、今度返します」と言っていました。

少し歩いてから、Sちゃんと別れ際に、Sちゃんはマツお母さんの方を振り返って「私のお母さんには言わないで・・・」と言いました。

マツお母さんはSちゃんの肩をがしっと持って、「わかった。Sちゃんのお母さんには絶対に言わないから、安心してね。来月のおこづかいをもらったら、自分で返すんだよね。早いほうがいいよ」と伝えました。

Sちゃんは心配そうな顔で頷いて、ウメ子ちゃんと明日も遊ぼうねと約束して家に帰っていきました。

帰り道。

マツお母さんはウメ子ちゃんに「もうお友だちとお金の貸し借りはなしにしようね」と言いました。

ウメ子ちゃんは「うん。今日ね、学校でRに『もうお金借りない。今日お金返しに行く』って話したから大丈夫だよ」と言いました。

マツお母さん「よし、帰ってからタピオカミルクティーを作って元気を出そう!」

もう暗くなっていたけれど、帰り際にスーパーに寄って、牛乳と紅茶葉を買いました。

家に帰ってからタピオカミルクティーをつくって、夕飯の後に食べました。

ウメ子ちゃんは「タピオカ美味しい~」と言って、嬉しそうでした。

ツル美ちゃんは「タピオカいらない」と言って、ミルクティーだけ飲んでいました。

(おしまい)

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その後、Rちゃんのお母さんからメールが届きました。

どうやら、最近おばあちゃんからもらったお金をそのまま持っていたとのことでした。

Rちゃんのお母さんは知らなかったそうです。

お金のことをよぉ~~~く話して聞かせた、とのことでした。

ウメ子ちゃんがRちゃんからお金を借りた日。

ウメ子ちゃんがRちゃんとSちゃんと遊びに行っている間に、マツお母さんはツル美ちゃんとふたりで近所の公園に行っていました。

そこには、ウメ子ちゃんと同じクラスの女の子たちが遊んでいました。

ベンチに座ってスマホのゲームをしたり、お菓子を分けて食べたり。

「今度は、みんな、おこづかい持ってきて、コンビニにお菓子買いにいこ~」って話しているのが聞こえてきました。

マツお母さんが小学3年生くらいの頃、やはりお友だちと一緒に駄菓子屋さんにお菓子を買いに行っていました。

文房具屋さんに行って、文房具を買うこともあったし、お友だちの誕生日にはちょっとしたものを買ってプレゼントしたりしていました。

町のゲーム屋さんの前に置いてあったゲーム機やUFOキャッチャーを友だちと一緒にやったこともありました。

このくらいの女の子たちのやりたいことって、きっと変わっていないんだろうと思います。

ウメ子ちゃんとは時々商店街にある駄菓子屋さんに行くこともあるけれど、普段お友だちと行くには遠いのです。

コンビニのお菓子コーナーが昔の駄菓子屋さん的存在なのかもしれませんね。

東京なんて、どこにでもコンビニがあって、やっぱり便利ですしね。

お友だちと買って、ちょっとずつ分けて食べることが楽しいですもんね。

ウメ子ちゃんには改めて、「おこづかいの金額が3000円ってことは、お友だちには内緒にしておいてね」とマツお母さんは言いました。

ウメ子ちゃんは「わかった。もし、聞かれても、『う~ん。何円だろうねぇ』って言っておく!」と言って笑っていました。

よそはよそ、うちはうち、ということで。

※マツお母さんがSちゃんのお母さんには話さないと約束したのは、Sちゃんの家庭の事情が複雑だからです。



「子育ち」という育児方法をどんな親でも使える形で表現したいと思っています(^_^)