ウメ子ちゃんの物語(事件) 親の財布からお金を盗む <5>


<4>からのつづきです。

10月14日(水)

朝起きて、着替えて、ごはん食べて、学校の準備が終わってから、マツお母さんはウメ子ちゃんに「おこづかい帳をつけよう」と言いました。

ウメ子ちゃんは一度「は?」と怒ったように言ったけれど、マツお母さんが「おこづかい帳つけよう」ともう一度言うと、「あぁ!おこづかい帳か!うん」と言いました。

マツお母さん「なんて聞こえたの?」

ウメ子ちゃん「いや」

ウメ子ちゃん「昨日はね、算数のノートを買ったでしょ。あと、お菓子」

マツお母さん「ふんふん、ん?これだけ?」

ウメ子ちゃん「うん」

マツお母さん「・・・。お母さんね、この小銭入れのお金はお父さんのお金だと思ってたから、中にいくら入っているか数えていたんだよね。だから、・・・あと400円足りないんだけど」

ウメ子ちゃん「う~ん、わかんない。覚えてない」と、マツお母さんの方は見ないで言いました。

マツお母さん「うん。覚えてないんだ。まぁ、よく思い出してみて。何に使ったか」

ウメ子ちゃん「うん」

マツお母さん「・・・ウメ子は言ってたね。『今度お金盗んだら、もう一緒に暮らさなくてもいい』って。よく覚えておいてね。ね、ゲームしてもいいんだよ。ゲームしたら、おこづかい帳にゲームって書いていいんだよ」

ウメ子ちゃん「あ~・・、ゲームしたかもしれない。2回、いや、4回・・」

マツお母さん「ゲーム4回したんだ。よし、書いておこう。そうだ、ウメ子、小銭入れの中見てごらん」

ウメ子ちゃん「うん」

マツお母さん「ほら、1円玉と5円玉ばっかりでしょ?」

ウメ子ちゃん「10円玉もあるよ」

マツお母さん「うん。10円玉もあるね。これね、ウメ子が171円のお菓子を買ったときに100円玉で払ってるからなんだよ。200円を出すと、おつりが29円になるでしょ」

ウメ子ちゃん「うん」

マツお母さん「まずさ、1円出すでしょ。それから20円出すでしょ。そこに、200円だして、221円出すってこともできるんだよ」

ウメ子ちゃん「あ~~、そうかぁ」

マツお母さん「うん。今度は1円とか、小さいお金使って払ってごらん」

ウメ子ちゃん「わかった。今度はやってみる!」

その日の夕方。

夕ごはんの後の会話。

ウメ子ちゃん「おこづかいが300円から3000円って、すごくない?!ウメ子が今気になってるのはさ、4年生になったら4000円になるのかってことなんだ。どうなの?」

マツお母さん「う~ん、まぁそれは4年生になってから考えようね。お父さんとも話さなくちゃ。ところで、ウメ子はおこづかい帳はつけたくない?」

ウメ子ちゃん「・・・。うん、つけたくない!」

マツお母さん「そうかぁ。つけたくないんだね。でも、お金を何に使ったか、書いておくとおもしろいと思うんだよ。後から見返したときに、『なんでこんなものに使ったんだ!』ってなることもあるかもしれないしね」

ウメ子ちゃん「うん。それはおもしろいよね。ウメ子はおこづかい帳あんまり好きじゃないけど、やってみる」

マツお母さん「ありがとう。もうちょっとやってみよう。そうそう、ウメ子は何か欲しいものあるの?」

ウメ子ちゃん「タピオカ」

マツお母さん「へっ?タピオカ?」

ウメ子ちゃん「うん。お母さん知ってる?駅前にタピオカ屋さんがあるんだよ」

マツお母さん「へ~、知らなかった。タピオカ高いでしょ~」

ウメ子ちゃん「550円だって」

マツお母さん「たっか!・・でもさ、今度図書館行くときにお店見てみようか?」

ウメ子ちゃん「ううん」

マツお母さん「ん?どゆこと?」

ウメ子ちゃん「あのね、Rちゃんがタピオカ欲しいって言ってたんだ。だからウメ子もタピオカが欲しいって言ってみただけなんだ」

マツお母さん「あぁ、そうなんだ。Rちゃんが欲しいって言ってたからウメ子も言ってみただけなのね・・」

ウメ子ちゃんは、自分の引き出しを開けてみて、少し立ち止まってから、中から『スパイペン』を取り出しました。

ウメ子ちゃん「じゃーーん!!」

マツお母さん「スパイペンだね。これどうしたの?」

ウメ子ちゃん「ウメ子が買ったの」

マツお母さん「ウメ子が買ったんだ」

ウメ子ちゃん「うん。あのね・・、朝、ゲームしたって言ったでしょ?あれね、ゲームじゃなくてね、このペンのお金かもしれない」

マツお母さん「は?そんなわけないでしょ。それはおかしいじゃん。そのペン、もっと前からあったって、お母さん引き出し開けたときに見て知ってるんだから。買ったとしたらもっと前でしょ?」

ウメ子ちゃん「あ~~・・、そっかぁ」

マツお母さんはその後、さらに問い詰めたりしませんでした。

ウメ子ちゃんはツル美ちゃんと『スパイペン』を使って遊んでいました。

ウメ子ちゃんは『スパイペン』で、『お母さんだいすき』と書いていました。

その日の夜。

マツお母さんはウメ子ちゃんとのやりとりをタケお父さんに話しました。

タケお父さんは「Rちゃんは、要注意人物だね」と言いました。

それから、おこづかいの額について。

タケお父さんは「4年生になったら4000円って、マツちゃんはウメ子にハッキリ言っておかなかったんだ。そこは曖昧にしておいたんだ」と言いました。

マツお母さん「うん。なぜかっていうと、もはや学年が上がるたびに金額アップすること自体に私は疑問を感じてるんだよね。4月を区切りにすることに。4月になったらさ、また環境も変わるでしょ?お友だち付き合いも変わるかもしれないし、お金の使い方も変わるかもしれない。だから、4月からいきなり4000円にする必要もないと思うんだよね。ウメ子のお金の使い方を見ながら、また相談して決めていったらいいんじゃないかな?3000円に固定するってことでもなくて 」

タケお父さん「うん、そうだね」

<6>へつづく


「子育ち」という育児方法をどんな親でも使える形で表現したいと思っています(^_^)