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love letter / あのこは貴族

見終わってすぐ何かを削ぎ落とすみたいに、家にあった惰性で置いていたものをたくさん捨てて、新しいヘアオイルとハンドクリームと服を買って、それから靴を磨いた。

ずっとタクシーにのって、親の人生をトレースする華子ちゃんが自分の足で歩き始めたこと、ちょっと疎遠になったくらいじゃ無くならなかった美紀ちゃんたちの友情に勇気をもらったから。ずっとそう言ってほしかった、と思っていた言葉をたくさん言ってもらえたから。

だけじゃない。

「親の人生トレースするんだよ」って、1番怖かったことを初めて突きつけられたの。たった2時間ちょっとの映画で、必死で逃げたり捨てたりしてきたあたしの20年の激戦ぜんぶに触れてきてくれた。すごく怖くて、まだ背中に張り付いてる気がして家に帰って死ぬほど物を捨てた。

いまの仕事に懸命に励んでいるのは、好きだからという理由だけじゃない。最初はむしろ意地だった。絶対にこの人たちと違う世界で生きたいと思ってたから。美紀ちゃんみたいに立ちたくて、自分を奮い立たせるものを買い込んだ。

この映画はたしかに階層や違いを描いたものだけど、分断を描いたものじゃない。もどかしさで誰かに当たったり、嘆くだけじゃなくて、ちゃんと誰かに手を差し伸べられるようになったり、手をとれるように豊かでいたい。

完全に捨てるのは無理。分かってる。でも自分の過ごしやすい環境を作るためにずっと戦ってる。年々良い方に進んでいるけどまだまだ悲しいことの方が多い。自分ではどうしようもないことも当たり前だけど死ぬほどある。でも相楽さんや平田さんを見てると、思い浮かべる顔がいくつもあった。わたしはもう少し頑張ろうと思う。


ずっとそう言ってほしかった気がする。かぁ〜〜。すごく心当たりがあるセリフだ。

わたしもずっと言って欲しい言葉があるので、それまで力をつけて待ってるよ✌️

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