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亡き友を想う 『星の王子さま』を読んで

いちばんたいせつなことは、目に見えない。

 その言葉がいちばん深く私の心に響いている。恥ずかしい話だが今まで読んだことはなかった。読み終わった最初の感想は「もっと早く読んでおけばよかった。」と思う作品だった。

あらすじ

 操縦士の「ぼく」は、サハラ砂漠に不時着する。1週間分の水しかなく、周囲1000マイル以内に誰もいないであろう孤独で不安な夜を過ごした「ぼく」は、翌日、1人の少年と出会う。話すうちに、少年がある小惑星からやってきた王子であることを「ぼく」は知る。王子さまの地球に来るまでの話、主人公の昔の体験を通して「ぼく」は王子さまと信頼関係が生まれていく。(一部Wikipedia抜粋)というものである。

感想

 短い作品なので1時間程度で読むことができた。どんどん世界観に引き込まれていった。難解な漢字を多く使わないという点も評価できるだろう。そんな中で2つ考えたことがある。

生き方

 王子さまが地球に来るまでに様々な人たちに会うシーンがとても印象深い。その中でも「のんだくれ」の話が頭に残っている。個人的な話になるのだが私の父はアルコール中毒である。休日に酔っていない姿を見たことがない。何度母と喧嘩し、母が家出したことか。そんな父だが、彼の父。私の祖父も重度のアルコール中毒である。私の祖父はアルコールが原因で51歳でこの世を去っている。そんな父を見ているにも関わらず祖父の年齢に近づくにつれ「俺は早く死んでもいい、結局おやじの子なんだよ!」と。私はそんな話を見聞きしているので、酒についてネガティブなイメージしかなく、酒は逃げだと思っていた。しかし、星の王子さまのあるセリフが心に刺さっている。それは「酒を飲んでいる恥を忘れるために飲んでいる。」というセリフである。私の父も自分が親に似てきていることは理解しているであろう。しかしそれを考える辛さから酒を呑んでしまうのだろう。今までそんなことは考えたことがなかったがストンと心に収まったセリフのひとつであったので紹介したい。

「死」について

 この作品で思ったことの2つ目は「死」というものである。解釈が分かれると思うが最後王子さまは死んだのではないかと私は考える。まだ読んでいない方がいるやも知らぬので明言はさけるが、作者の言葉を借りるのなら「もといた土に戻る」と言った方がいいかもしれない。王子さまにとって「もといた土」とは自分の星であり、地球から見えるもののとても小さくどれだか教えられないとのこと。そこで王子が「どの星か分からないから君は星を見るのが好きになる。どこかの星で僕は笑っている。」と言っていた。なんて素敵な言葉だろうか。

 わたしは中学生の時大切な友人を亡くしている。いきなりのことで実感が湧かなかった。故人は思い出すことが大切な気がしている。よく亡くなった人間は星になるというがどの星か分からないので満点の星空、どれかは私の友人の星なのだろう。夜、星を見上げるたびに「誰かが友人の星なのだ。」そう思うと、満点の星空がとても素敵に思えてきた。

最後に

 星の王子様は恋愛、勉強、生き方、、、。とすべてのことに通じることがあると感じた。是非読んだことない人は手にとって欲しい。既に読んだ人はこの機会にまた読んでほしい。必ずなにかに発見がある名著なのだから。私にとってのバラは。私にとってのは仕事は。私にとってのは星は。これからも考えていきたい。





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