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詩です。
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記事一覧

●詩「虚像」

私の家の鏡の中には いつも知らない誰かがいる 昨日は老婆 一昨日は少年 先週は誰だっけ 今朝…

松井
6か月前
7

●詩「ちぐはぐ」

腹は満タンなのに口は食う 頭は不在なのに足は走る 心は真っ当になりたいのに体は蓮池に落ちて…

松井
8か月前
16

●詩「逃亡者」

怖いものから逃げるために罪を犯し 罪から逃げるために嘘をつき 嘘をつく自分から逃げるために…

松井
8か月前
9

●詩「私は死に、」

私は死に、ただのゴミとなるだろう 悲しくもあり寂しくもあり嬉しくもあり 何も残せなかったこ…

松井
8か月前
5

●詩「同じ時間、違う時間」

朝は前に進む 昼は加速する 夜になるとようやく立ち止まり追いついた それでも少しずつ朝へと…

松井
9か月前
7

●詩「クリスマス」

この家の鶏は 火曜日、卵を産んだ 水曜日、卵を産んだ 木曜日、卵を産んだ 金曜日、卵を産んだ…

松井
10か月前
7

●詩「君を集める」

あちらこちらに散らばった君を集めよう 瓶に詰めて上下左右に振ろう 君をひと塊にしよう そうして瓶を増やしていこう 壁一面瓶詰めにされた君 瓶がカタカタ揺れる 窮屈になったのだろう 君はまたあちらこちらに散らばるだろう それでもやっぱり君を集めよう

●詩「鬼ごっこ」

鬼が私を追いかける 牙を覗かせ愉快そうに 喰っちまうぞ ほら逃げろ 鬼が私を追いかける 重そ…

松井
11か月前
3

●詩「無常」

霊柩車の通る横で 主婦は夕飯の献立を考え 子どもは落ち葉を追いかけ 青年は恋人に思いを馳せ …

松井
11か月前
4

●詩「傘」

街の中 傘を盗られたボクがいる ずぶ濡れになったボクがいる 森の中 傘を盗られたキノコがい…

松井
1年前
5

●詩「道」

振り返ると未熟だった自分がずらり 前を見てもやはり未熟であろう自分がずらり それではだめ…

松井
1年前
8

●詩「黒い水」

悪い言葉の代わりに 黒い水を吐き出すことに 決めた人間たちの 世界は黒い水で満たされ人間た…

松井
1年前
5

●詩「頭の中のメリーゴーランド」

降りることのできない馬車を 感情のない馬が引き 鳴り響く金切り声のような音楽と 頭上でやけ…

松井
1年前
2

夏の話

いつもの帰り道 いつもと違う視界の先 なにやら蠢く物体たち 蝉だ 大きな蝉だ 私の背丈を超えるほどの蝉たち 腕や足を掴まれ するすると引きずりこまれる 土の中 冷たく暗いその中で もそもそ動くは 蝉の赤ちゃん ストローのような管が 私を貫く 管の先には蝉の赤ちゃん 美味そうに ゆっくりと 私を吸い上げる 私を吸い 大きくなると 土の外 私は母になった