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死んでるのか生きてるのかわからない虎の剥製が、ただただこちらを見遣る
増え続けるほくろを辿っていくと、そこにはケタケタとルドンの笑う蜘蛛
電車の座席の下に落ちていた毛抜きに、お前はどれだけ抜いてきたのかと語りかけてみる
相談に乗って欲しいと頼まれたので、耳を取り外し、貸した時の相手のポカン顔
「I Love Meat」と書かれたTシャツで刺身を食うが、これもまた肉
ビルとビルの間を垣間見し、吸い込まれて行くは修羅の街
一人遊びが上手になったのは本意ではない、と伝えてようと見渡してみたけれど、そうだ、一人だった
どんぐりを拾い投げては節分の練習の私を鬼が笑う
ひとりでもできることを誰かに褒めて欲しくなったところで、その誰かがいないからひとりででき…
もう諦める、と言った私の顔が悲しそうなのは、そんな嘘を吐かなきゃいけなかったから
見て見ぬふりをする自分を見ているのは、いつも自分
幼子たちが手を取り合って消える世界を眺めている
母と手を繋いで歩いていると、後ろから母に名前を呼ばれた夏の夕暮れ
私がいない場所で語られる私は、たぶん別の私