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工芸について

大学で「工芸論」の講義をすることになりました。
引き受けたは良いものの、一体なんなんだ。「工芸」って。
ひとまず、前田泰次著『現代の工芸―生活との結びつきを求めて-』(1975)を参考に、つらつらと書き出してみようと思います。


「工芸」という言葉を聞いて、何を思い浮かべますか。
分からない方は「分からない」でも結構なので、何か一言でも書いてみてください。

「分からない」と書いても減点はしません。
この講義を聴いた後、工芸についてぼんやりとでも何かイメージすることができると嬉しいです。

まず工芸という言葉の歴史について。

日本語の工芸。
「美術」、「工芸」という言葉は、江戸時代には聞きなれない言葉だったようです。
Art、Fine ArtとCraftなどに対応するものとして、明治時代以降に一般化してきたのでしょう。

「工芸」は、明治時代に入ると目につくようになります。
その内容には土木、建築を含み、今日よりも広い範囲を含んでいました。

初めは1つのものであった「美術」と「工芸」とが、社会の複雑化に伴って分裂し、純粋に美を追求する世界と、実用と結びついた美を求める世界とに分かれたようです。

中国での工と巧。
工芸という言葉は中国では古くから使われていました。

巧みな物をつくるには考えることが必要であり、技の優れた人がつくると好ましいものができる

漢代の劉きの『釈名』という辞書にある説明

考える
という言葉が使われています。

工芸とは人間が生活していく際に、その生活を快適にする諸々の道具類をつくること。

でも、私たちが何を快適かと感じ、何を美しいかと思うか、人によっても時代によっても違ってきます。
工芸の内容が変わっていきます。

工芸は、時代や社会によっていろいろと変化し、多様な面を見せながら人間生活に奉仕してきました。


というのが講義1回目のまとめだけど、なんだか弱いな。

手工芸、クラフト、応用美術、装飾美術、工業的美術、産業的製品、民芸、その他の工芸。

工芸って何なのか、明確に線引きするのが難しい。

現代の実生活に、工芸って必要なのか。
溶け込みすぎて、気にしない人が多いのか。
工業製品と工芸品の線引きが、私の中であいまいになっている。

広義の工芸と、狭義の工芸がある、ということ?

すっきりしないなぁ。


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