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OLD_気がつけば「誰も欲しがらない」サービスを作っていた件(リーンスタートアップ実践記 chap.8)

前回:MVPインタビューで撃沈(リーンスタートアップ実践記 chap.7)
(気づいたら1か月以上経ってた…)
※開発中のサービスKickake(きっかけ)は、気になるトピックに「いいね」して他のTwitterユーザーとつながるサービスです。

MVPインタビューを終え、ようやくβ版リリース。最初は「小さな市場の独占」を目標に、自分の好きなアーティストのファンアカウント界隈をターゲットととしました。同じ推しを持つユーザー同士でつながる意欲がある程度高いと判断したためです。

いきなりTwitter広告

最初に行った施策はTwitter広告。おお、悪手。
元々はターゲットにおいて一定の影響力を持つユーザを起点とした社会的証明を用いたプロモーションしようとしていましたが、何の根拠もない中、「意外に行けるのでは?」という過信から、まず試しにトライしてみることにしました。

結果は散々でした。
CTRはそこそこでしたが、CVR(登録)はほぼ0。

さらに私はターゲットを就活に切り替え、同じように広告を打ち同じように失敗。身近なユーザーが使っていなければ、登録には至らないという仮説を確証する結果となりました。その意味で100%無駄ではなかったですが、なんでこう人は遠回りするんでしょうね。

やっぱり「人」には皆興味を持つ

今度は元々の方針に則り、就活生の界隈で一定程度の影響力を持つユーザ数人を特集し(DMで突撃)、その人たちの考えや思いをまとめた記事を発信する施策を取りました。「人」起点の施策です。

結果的に広告なしで13万インプレッション!
リンククリック1,000を超えを達成!

しかし!!!
肝心のサービス登録はほとんどありませんでした
特集を主軸としつつページの下部にサービスの紹介をするような形をとっていましたが、思うように振るわず。なかなかうまくいきません。なぜでしょう。

データがないと"気持ち"がわからない

原因を探るべくアマゾンの奥地に向かおうとしたわけですが、Twitterのアナリティクスに示されるサマリーデータだけでは、ユーザーとページとのインタラクションの中で一体何が起きているのかがまったく読めませんでした。
そう、取るべきデータを取ってなかったからです
『実践リーン・スタートアップ』にしっかりと記載があるにもかかわらず、怠っていました。我ながら怠慢が過ぎるんじゃボケええええ。

ということで計測開始。本当はGoogle Analyticsで賢くやりたかったのですが、まずはアプリ側で直接DB保存するようにしました。

元々私はデータだけにこだわるのをかなり嫌ってました(データドリブンをテーマに仕事してきた人間とは思えませんね)。「データだけですべてわかるわけないじゃん」と。確かにその通りです。
しかし、実際にデータを取ることで結果的にその人の心もわかる。心がわかれば施策を打つことができます。逆に言えば、ユーザの心が読める程度のデータをとっておけばおかなければ、改善ができないという訳です。

ある程度時間があった後、同様の施策を再度実施しました。ページでの訴求には相当気を使ったもののユーザ数の登録はゼロでした(インプレッションは50,000以上超え)。

改めて痛感しましたが、失敗には再現性があります
そもそもこの手のサービスが伸びる最初のポイントは、「身近なユーザーが使っているか?」であるのは間違いないにもかかわらず、Twitter広告をはじめ、愚かな手を打ってしまった。愚かな打ち手は、何度実行しても必ず失敗します。

ニッチなトピックで攻める

最終的にユーザ数を伸ばすことになったのは(といっても全然多くない)、「ニッチなトピックの投稿とそのプロモーション」でした。コンサルティング業界を目指す就活生が他者と繋がりたいと思うこととして、ケース面接があることを知りました。

そこで、「24卒限定でケース面接の練習をしよう」といったトピックをサービス内で投稿、そこを起点にDMで何人かに声をかけたりするとちらほらユーザー登録、リアクションしていただける方が現れました。

実際にリアクション(私のサービスでは「いいね」)があれば必ずその人と他のユーザがつながれる状態にあるので、今は他の人とつながりますよと言う約束の下私は宣伝ツイートを投稿することができました。すると、実際一定数のユーザ登録やリアクションを得られました。
しかし、件数としては全然です。

なぜ私のサービスは全然使われないか

なぜ私のサービスが使われないか、検証を重ねるごとに次第にわかってきました。

まず、そもそもの問題ですが(以前から認識していましたが)、何かを他者とやりたいことがあれば、ツイートすれば基本的に解決してしまうのです。が、そもそもそういったユーザー(自ら何か企画したり声をあげるTwitterユーザー)はターゲットではありません。しかし、自ら積極的にツイートを控えるようなリスク感度の高い人にとって、知名度の低いサービスを介して人とつながるということ自体かなり障壁が高いのです。

加えて、就活生界隈という特徴がまた厄介だと気づきました。
私のサービスのセグメンテーションは「顕在化している他者との交流意欲×交流の合理性」で行っています。
他者との交流意欲が高く、それ自体に合理性が伴えばそれが普通にツイートして普通につながればいい、DMを送ればいい、ただそれだけの話になり、私のサービスはまったくもって必要ありません(合理性があるというのは、たとえば就活生が面接練習しようと発信するのは客観的に見て合理的であり、違和感がないという意味合いです)。

元々やろうとしていたのは合理性が低く、一方である程度顕在化しつつも基本的には潜在的な交流意欲をターゲットとしていました(冷静に考えてこのターゲティングがそもそも難しすぎる)。
しかし、就活生というマーケットにおいては、基本的に人との交流は高い合理性をもって行われます。ES添削、GD練習、情報交換などなど。上述の通り、Twitter上で完結してしまうのです。

最後に、ある程度使うポテンシャルがある人であっても、実際に自分が望んでいるような相手とつながる期待値が低いことが挙げられます。そもそも自発的に発信しないような人たち(ターゲット)が、サービス上で「いいね」したことをわざわざツイートすること自体考え難いです。そのような中で、望ましい人に会える確証はありません。また、リスク感度の高いターゲットユーザーとしては、このようなサービスを使っている他のユーザーに対する警戒心もあります。

以上のような要因が重なり、私のサービスが使われませんでした。
実際私自身、「(ユーザーの立場になったときに)これはいらないな」と思ってしまいました。ピボット前もまったく同じことを感じたことがありましたが、また繰り返してしまいました。

「人が欲しがるものを作る」という考えの下やってきたはずが、いつの間にか自分さえも使いたくないようなプロダクトを作っていたのです。

人とのつながりにおける後悔をなくし、「ゆるいけど信頼できるつながり」に囲まれながら豊かに死を迎える
そんなビジョンを持って、やっていることのくだらなさは常々(いや毎日)感じながらも、取り組んできたわけですが… ここまでか…

と見せかけて、あきらめません。
今やメンバーは私一人、自身の資産でやっている以上、成功するまでやり続ければ成功確率なんと100%!やるしかないですね。

さて、どうしましょう。
そうだ、ピボット しよう。

というか
リーンスタートアップ、どこにいったん?


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