チバユウスケ
チバユウスケが死んだ。
私がそれを知ったのは大学の昼休憩の時間だった。友人がスマホでニュースを見ていたのだろう、チバユウスケって人亡くなったってーと、軽く声に出した。あまりにもその言い方が軽かったから、私はそのチバユウスケが亡くなったという言葉をなかなか現実だと思えなかった。
私の周りでは中々チバユウスケを知る人がいない。あのミッシェルガンエレファントのボーカルだよと伝えてもうーんと首を振るものばかりだ。そのため、チバユウスケが死んだという言葉を聞いても周りはすぐにほかの話を始めた。今日のこの後の授業のテストのことや、彼氏の話など。けど、私の時間は止まった。息を今自分が吸って吐いているのかさえわからなかった。
私はトイレへと向かい、個室に入ってしゃがみこんだ。
涙が止まらなかった。
そのまま家にかえって、止まらず、チバユウスケの音楽を聴いた。ひたすら、体に流し込んだ。
戻ってくると思っていた。
何の確信があったのかわからないが、チバユウスケはまた必ず戻ってくると思っていた。必ず。
ギター抱えてビールを片手に、タバコ咥えてまたあのクソかっこいいロックを、私たちの日常に、投げ飛ばしてくれると思っていた。
復活のライブは絶対行くと心に決めていた。
チバユウスケとの出会いはTHE・BIRTHDAYの『なぜか今日は』だった。タイトルのように”なぜか”は本当にわからないけど、ボーカルがなぜか今日はと歌うたびになぜか今日は何かすべてが大丈夫に思えてきた。一瞬でその歌声とどこか切なく、力強いメロディーに体全身を奪われた。それから狂うようにチバユウスケの曲を聴き、ライブ映像を漁った。
チバユウスケが死んだ。
その現実から一週間がたった今だが、その世界はやっぱりまだ寂しい。色が少なくなった気がする。
もうあんなにも、ロックをならす、生き方もロックなロックンロールは他にいない。本当に唯一無二だった。
骨になってもハートは残るぜってチバユウスケが叫んでた。
この地球に最高のロックを鳴らしてくれてありがとう。
チバユウスケは永遠。
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