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本屋大賞の創立者にお会いしました。

「あなたの悩みと解決法は、書物の中にもう書かれている」
と誰かが言っていました。

全くそのとおりで、民間文学賞の立ち上げにあたって、
「新しいことをしている人はどうしているんだ!?」
と考えて本を開くと、植松努さんの『空想教室』の中に、こんな一節が。

気の合う人よりも、経験がある人に相談しなさい」 
なるほど!!

すぐに文学賞の創立に携わったと思われる人をネットで探し、片っ端からメールと電話。もう営業活動です。ただ、ほとんどは得体のしれない活動ということで反応はナシ。返答を貰えることの方が稀でした。

しかし、幸運なことに「本屋大賞」の創立に携わったという方と接触でき、お会いすることに! 本当にありがとうございます。

待ち合わせ場所は、本好きの聖地。神保町! いかにもですね!!

とても物腰の柔らかい人で、民間文学賞についても好意的に受け止めていただきました。
「メールを貰って、本屋大賞の最初の頃を思い出しました」とのこと。

話を伺うと、本屋大賞も居酒屋の飲み会での思いつきがスタートだったそうです。書店の公式活動ではなくて、本当に有志の人たちの何気ないところから始まった活動だったということに勇気をもらいました。いや、本当に。笑

得体の知れない活動である自覚はありますが、こうも営業活動で無反応が続くと、心が折れそうになることもあるのです。

さて、沢山お話をお聞きしたので全部書きたいのですが、長くなるので大切な部分を。


① 文学賞を運営するのにあたって、気をつけておくべきことは?
② どうやって本屋大賞は、あそこまで注目度の高い賞になったのか?


相談したこととしては大きく、この2点でした。

先に運営に関する注意事項ですが、ここは仕組みよりも「1回目で選ぶ本の重要さ」を強く注意いただきました。

1回目の受賞作が、その文学賞のスタンスを象徴する一冊になる。想像以上にメッセージ性の強い選書になることを理解するように、とのことでした。

確かに新人賞などは顕著な例で『すべてがFになる』のメフィスト賞や、
『後宮小説』の日本ファンタジーノベル大賞など、その賞のイメージになっています。

面白かったのが、本屋大賞の第一回は小川洋子さんの「博士の愛した数式」ですが、実は前評判では他の作品が有力候補だったそうです。けれど、他の作品が受賞をしていたら、今の本屋大賞とは全く別物になっていただろうな、とのことでした。う~む、面白い。

本当に影響力の強い一冊になるので、心して選ぶように、とのことでした。



そして、私が一番聞きたかったこと!!
「どうやって、あそこまで注目度の高い賞にしたのか」

これが驚きでした。なんと「本屋大賞」と銘打っていますが、意識していたのは「本を読まない人にまで巻き込むこと」だったそうです。

最初、居酒屋で話をしたときは「受賞した先生に日本酒の一升瓶をプレゼントしようぜ!」くらいの温度感だったとか!!
(いや、冗談かもしれませんが。笑)

しかし、そうはならなかった!!実は初期メンバーの中に本屋でなく、広告代理店に勤務されている方がいたのだとか。この人の存在が大きかった!

というより察しの良い方はわかると思いますが、本屋大賞って「本の雑誌社」から発表されますよね。そして、本の雑誌社が仲の良い広告代理店というと……。

私は全然気が付かなかった、というか知らなかったので、衝撃の事実でした。笑

さて、流石はPRのプロ。きちんとした賞にするために会場をしっかり借り、受賞者の先生もお呼びする授賞式を計画。体裁を整えていくのと同時に、拡散していくことも忘れない。ニュースレターを書くなど、広告代理店として本領を発揮していったそうです。

これだけでも驚きですが、追加で言われて驚いたことがあります。
「本当に本屋だけで取り組んでいたら、まず小規模なままだったでしょう」
ということです。

どういうことかと言うと
本屋さんも売上を伸ばすために、色々な施策をされています。

が、どれも今ひとつ大きな反響につながっていかない、というのが実態だそうです。理由は簡単で、出版業界の中での活動に終始して、本屋大賞ほど業界の外を巻き込める施策になっていないから、とのこと。

色々な施策をお聞きしましたが、実際、初耳のものがほとんどでした。本好きの人にまで届いていない、ということです。

私としては、この民間文学賞を出版社や本屋さんに協力いただける賞にまで育てあげたら、大成功!

というイメージだったのですが、出版業界の中での取り組みで終わったとしたら、「身内のイベント規模になってしまいますよ」とのことでした。

「もっと業界を飛び越えるものにしないといけません」
という言葉には、深い重みがありました。ううむ。


さて、そこで今後の計画について、少し予定を変更しました。

当初は

① ある程度の規模にして注目度を高める
② その注目度を利用してクラウドファンディングで運営資金を得る

だったのですが

① クラウドファンディングで運営資金と公的な活動としての看板を得る
② それらを武器に、他の企業にも営業して協賛・協力いただく

という順番の入れ替えを行います。

クラウドファンディングの良いところは、マスコミからの注目度も高く、割合オフィシャルな活動とみなされるので「得体の知れない活動」から「支援を受けた公的な活動」にステップアップしやすいかと思います。

お話を伺って「業界を飛び越える」ためには、どうしても大きな力を借りないといけないことを痛感しました。

そして、言われたのが「個人は志で動くけど、組織は実利で動く」ということです。共感してくれた人が、所属する組織を動かせる大義名分が必要なのです。

という訳で、少し計画を修正して、クラウドファンディングの活動にすぐに取りかかっていきます。

しかし、本当に学びの大きな時間となりました。
この場をお借りして御礼を申し上げます。

そして皆様、引き続き、よろしくお願いします!

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