まつもと
英幸にとって、治という男は、永遠に手に入らないものの象徴のようだった。 治のことが一番大切、ずっと一緒にいたい、治をひとりにはしないから、そばにいさせて───すきだよ。 英幸が毎日まいにち言葉を変えて伝えるそれらを何ひとつ受けとらず、あいまいに笑ってやり過ごすだけだった治。 高校の頃から親友同士だった彼らは、そのままの関係を維持したまま、同じ大学に進学した。 治にとって英幸はどこまでいっても親友だった。そばにいて欲しいと思うけれど、それはきっと英幸の望んでいるのと