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家賃支援給付金で家主とトラブルに!?自宅兼事務所の方は申請前に確認を!

8月4日から家賃支援給付金の支給が開始されました。毎月の家賃負担は大きなものですから、個人事業主・フリーランスの方も申請を検討されている方が多いのではないでしょうか。しかし、自宅兼事務所で仕事をされている方は家主とトラブルになってしまうケースがありますので、注意が必要です。
なぜトラブルになってしまうのでしょうか?
理由は、「家賃支援給付金を申請すると、家主または管理会社にも通知書が送付されるから」です。

賃貸借物件の「用途」を確認しましょう

賃貸借物件には「用途」というものがあります。賃貸借契約書や重要事項説明書に記載があるはずなので、確認してみて下さい(「用途」という項目がなく、契約書や重要事項説明書そのものが「居住用」「事業用」で分かれている場合もあります)。もともと店舗や事務所専用として契約している物件であれば何も問題ないのですが、自宅を事務所兼用として利用している場合、その物件の用途が「居住用」だと契約違反になってしまう可能性があるのです。
一括りに「住宅で仕事をすると違反」と言ってしまうと、コロナの影響で在宅勤務をすることも、Youtuberが動画撮影をするのも違反なのでは?という疑問も出てきますね。トラブルにならないために、なぜ契約違反と言われてしまうのか理由を確認しておきましょう。

■登記や税金の問題
家主は、物件を建築した際に建物を登記するのですが、その際には必ず用途も記載されます。住居や店舗、事務所、倉庫などがその際に決められているので、変更するには用途変更の申請をしなければならず、それには費用もかかります。
また、住居と事業用の事務所や店舗では固定資産税が違いますし、加えて事業用となると家賃に消費税がかかってきます。そのため、「居住用の物件を事業用に利用しているのに、家主が黙認している」と見なされると、家主が脱税疑惑をかけられてしまう可能性があるのです。
■不特定多数の出入りが迷惑になる
居住用の物件である場合、住民にとっては生活の拠点になりますので、「近隣住民に迷惑をかけない」「不快な音や臭いを出さない」「危険物を持ち込まない」等の平穏さを保つことが求められます。契約書や重要事項説明書にも規定されていることが多いです。そのため、来客が多く打合せの声が近隣に聞こえたり、頻繁に商品の納品発送があったりすると、「迷惑行為」または「防犯上問題がある」とみなされてしまう可能性があるのです。

申請はあきらめるべき?

居住用の物件で仕事をする場合、本来であれば事前に家主に事業内容等を説明して許可を取っておくのがベストです。許可を取っていない場合、場合によっては契約違反とみなされて家主から退去を命じられてしまうケースもあるからです。
今回の家賃支援給付金制度では、申請が完了すると給付金が振り込まれる前に家主または管理会社にも通知書が送付される仕組みになっているため、家主に許可を取っていない方は注意が必要なのです。

【このような通知書が送付されます】

家賃支援給付金通知

出典:家賃支援給付金申請要領 63ページ

家主とのトラブルを避けるために家賃支援給付金の申請をあきらめた方もいるようですが、契約違反と見なされるかどうかは、事業内容や規模にもよります。「事務所利用」ではなく「自宅の一部が仕事スペース」程度なら問題ないと判断されることが多いので、個人でデザインやライティングなどのクリエイター系の仕事をしている場合等は許可して下さる家主も少なくありません。自宅で作詞・作曲をしているなどのアーティスト系のお仕事をしている場合は、楽器使用や音の問題が出てきますが、音が出ない対策をきちんと講じているのであれば、事前にその物件を取り扱っている不動産会社等に相談して家主から許可をもらえそうか探ってみるのも方法の一つかもしれません。
(ただし、いずれの場合も収入を「事業所得」として申告していないと、現時点では家賃支援給付金の申請はできません。また、事業用として自宅の一部を事務所としている場合、「税務申告している部分のみ」が申請の対象です。)

家主に記入をお願いする書類もあります

家賃支援給付金を申請する際の必要書類がそろわない場合、代わりに提出を求められる書類があります。たとえば、「賃貸借契約が自動更新になっていて、申請日現在に有効な契約書が手元にない」といった場合に提出する『賃貸借契約等証明書』、「銀行通帳など家賃の支払実績を証明するものがない」といった場合に提出する『支払実績証明書』等です。この証明書類には賃貸人の記載欄があります。「自署」となっているため、家主本人(賃貸人が管理会社の場合は管理会社)に記入してもらわなければなりません。
家主の許可を取らずに自宅で仕事をしている場合、証明書類の記入をお願いした際にトラブルになる可能性もありますので、申請と同様にご注意下さい。

「家賃支援給付金」関連サイトはこちら

詳しい申請条件や必要書類、特例等は上記関連サイトをご確認下さい。
各種申請書類のPDFや例外的に必要な書類なども掲載されています。