体位別アセスメント 腹臥位

腹臥位の特徴
 腹臥位は脊椎手術や後頭部アプローチの開頭手術等に用いられるが、管理には多くの注意点がある。仰臥位に比べて身体を支持する際、注意を怠ると多くの術後合併症が起こりうる。また仰臥位で行いやすい気道へのアクセスや各種モニタリングも難しい場合が多い。術中緊急事態に対応する手段も限られている。

腹臥位の呼吸機能への影響
① 肺の硬さ、気道抵抗、1秒量は仰臥位と同等であるが、腹部が重力に従い垂れ下がる状態となるため、肺が広がりやすくなり、潰れていた肺胞が開き(機能的残気量の増加)、換気や肺血流の分布が変化することにより、酸素化が改善する。
② 意識下での腹臥位時の肺容量を立位時と比較すると機能的残気量は約-12%で仰臥位や側臥位に比べて減少率は少ない。
③ 加重により胸郭の動きが制限され、腹圧もかかりやすく、横隔膜の運動制限による肺コンプライアンスの低下が生じ、ガス換気障害が起きやすい。
④ 自重や支持台により胸腹部が機械的に圧迫され、低換気に伴う二酸化炭素蓄積や無気肺発生のリスクが高くなる

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