術後疼痛と基礎知識
こんにちは手術看護LABOのNAGAです。今日は術後疼痛について書いていこうと思います。
皆さん術後訪問に行った際、患者の痛くて眠れていない、離床できていないといった場面に出くわしたことがあると思います。ではなぜ術後疼痛が起こるのでしょうか?疼痛のメカニズムから掘り下げ、どのように対応するかを紹介していこうと思います。
第一弾は疼痛のメカニズム・疼痛の悪循環・疼痛の評価方法を紹介します。
疼痛発生のメカニズムについて
疼痛の分類は「侵害受容性疼痛」「神経障害性疼痛」「心因性疼痛」の3つに分類されます。「侵害受容性疼痛」と「神経障害性と疼痛」は簡単に言えば、「侵襲が加わることで発生するもの」で「心因性疼痛」は「不安や情動に伴う疼痛」となります。そのため、手術という体にメスを入れることにより、身体に侵襲が加わることで侵害受容性疼痛と神経障害性疼痛が発生することになります。なので手術を受けることで必ず疼痛は発生することになります。しかし疼痛とは体にとって害であるという印象ですが、本来は疼痛とは「身体に迫っている危機を回避するための生体防御反応」と言われています。しかし手術によって発生する疼痛、しかも手術創によって発生する疼痛は「生体防御機構の役割を果たすために発生したものではない」ため、できうる限り除去する必要があります。
なので簡単に疼痛が圧制する要因をまとめると、「手術により侵襲が加わることで術後の疼痛が発生する」ということになります。
疼痛による悪循環について
疼痛が発生することで、交感神経が刺激されます。交感神経が刺激されると脈拍・血圧の上昇や呼吸の促拍などといった現象が発生します。そうなると、術後の心合併症や無気肺の増加といった術後合併症の原因になっていしまいます。
また交感神経が刺激されることで、血管収縮や筋肉の緊張が発生し、末梢循環は悪くなります。末梢循環が悪くなることで末梢組織の酸素が欠乏し、発痛物質が産生されることになります。
したがって疼痛を放置することで
①交感神経の興奮②血管収縮・筋肉の緊張の発生③末梢循環の悪化④組織酸素の欠乏⑤発痛物質の産生⑥疼痛の発生
のように疼痛は更なる疼痛の原因に繋がります。だから、手術を受ける患者は、生体防御機構ではない疼痛である創痛(術後疼痛)を無くし離床につなげる必要があります。
疼痛の評価方法について
ではその疼痛をどのように評価するか?といった疑問が出てきます。ここでは疼痛の評価の方法を紹介します。
そもそも疼痛とは主観的情報であって、客観的に評価することは難しいものです。しかし患者に「痛いですか?」と聞いても「痛いです」といった、0か100の答えしか返ってきません。そのため昨日と比べてどうだったかといった過去との比較をする必要があります。また疼痛の度合いを知るために数値化する必要があります。そのための評価スケールを紹介していきます。
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