「良いコミュニティ」とは?コミュニティ活動の状態を測定する新たな指標

コミュニティ活動についてのノウハウはいろいろなところで発信されていますね。ただ、そのノウハウを活用して効果があったかはどのように判断できるのでしょうか?そもそもコミュニティが良い状態にあるというのはどうやったら分かるのでしょうか?

今回は「コミュニティキャピタル診断」という指標を用いて、良いコミュニティの実現にむけての対話の場にファシリテートしてきました。「コミュニティキャピタル診断とは何?」ということについてお伝えします。


コミュニティキャピタル診断とは?

NPO法人CRファクトリーは、2013年から上智大学との共同研究として「コミュニティキャピタル研究会」を発足し、コミュニティに関する研究を進めてきました。日本社会に良いコミュニティが増えていくことを促進したいと思ったとき、良いコミュニティをつくる上で準拠・参照できるような学術的裏付け、理論的根拠を積み重ねていきたいという思いがきっかけです。

そもそも「良いコミュニティ」の要素とは一体何なのだろうか?照らし合わせられる指標や目印はあるのだろうか?「良いコミュニティ」かどうかを知りたいとき、その状態はどのように測定することができるのだろうか?そのような根本的な問いを持ちながら、「コミュニティの状態を測定する物差し(=尺度)」を開発するところから研究をスタートさせました。

NPO・市民活動・サークル活動などの非営利組織を主な対象にしながら、2013年から累計10,000人を超える団体構成員にアンケート調査を行い、因子分析という統計分析手法から「良いコミュニティ」の要素にあたる3つの因子を浮かび上がらせることができました。

約30の質問項目により構成され、「組織・コミュニティの状態」と 「個人・団体のパフォーマンス」や「個人の幸福・健康」の関係を見ることができる、NPO団体の組織・コミュニティを測定するツールがコミュニティキャピタル診断です。

3つの因子とは?

では良いコミュニティの要素である3つの因子とは何でしょうか?

第1因子「理念共感と貢献意欲」
第2因子「自己有用感」
第3因子「居心地の良さ」

の3因子になります。

第1因子「理念共感と貢献意欲」

第1因子は、団体の活動理念への共感とその活動への貢献意欲に関するものです。同じ集団に属する人間として、仲間と共通の目的や目標を共有し、共にそれを目指そうと思えること。「この団体の理念に共感している」「この団体を自分も一緒に担っていきたい」と思える感覚が第1因子です。

第2因子「自己有用感」

第2因子は、団体の中で自分が役に立っている、必要とされているという感覚です。ただ団体の活動に参加するだけでなく、活動・関わりを通して「自分は役に立っている」「必要とされている」と感じられること。欠かせない存在であり、自分は重要であると思える感覚が第2因子です。

第3因子「居心地の良さ」

第3因子は、居場所としての団体の状態です。それも物理的に快適であるということではなく、「人間関係が良好である」「メンバーと一緒に活動することが楽しい」「仲間といると落ち着く」と感じられること。これらによる「居心地の良さ」が第3因子です。

コミュニティキャピタル診断はどうやって受けるの?

詳細についてはNPO法人CRファクトリーの申し込みをご確認ください。

私もPTA活動をしているときに、小学校PTAのコミュニティキャピタル診断を受けました。また越谷市PTA連合会としてもコミュニティキャピタル診断を受けました。

コミュニティキャピタル診断を読み解く

2024年1月30日に、コミュニティキャピタル診断を受けた団体に対して、診断結果の読み解き会を行いました。

団体全体の3因子の傾向、スタッフのポジションや活動時間や活動歴との3因子の傾向などから、団体の現状をどのように読み解くことができるかをお伝えしました。

その傾向をもとに、団体の現状に対する振り返り、今後の方向性や対策について理解を対話を通じて深めました。

さまざまな団体と一緒にこの読み解きを行うことで、団体同士の相互研鑚が進むのではないかと思いました。

まとめ

コミュニティキャピタル診断を活用することで、

①組織・コミュニティの状態が数字として定量的ににわかるため、自組織の「強み・良いところ」「弱み・課題点」を認識することができます。

②組織・コミュニティの状態がわかると、その状態にあった効果的な施策設計、導入・運用をすることが可能となります。

③年に一度や半年に一度など、定期的にコミュニティキャピタル診断を実施することにより、施策の実際の効果を検証・確認することができます。

コミュニティ活動に課題を感じた際には、ぜひコミュニティキャピタル診断をご活用ください。

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