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いつの間にか本当の自分をどこかに置いてきたのかもしれない

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幸太(29) 30目前に無職になる
修二(31) 幸太のいとこ。複数の会社を経営する起業家
美緒() 修二の幼馴染。聡子のお茶友だち
ばあちゃん・聡子() ホロスコープを読むのが趣味
享() 幸太の父

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「ほら、できたよ。今はインターネットで簡単に作れるから楽でええね。昔は手で計算して出してたからえらい時間がかかったもんよ」


と、ばあちゃんがタブレットを差し出した。


なんだか、円の中によく分からない記号が散りばめられている。

「これがネイタルチャート。幸太が生まれた時の天体の配置なんだよ」
とばあちゃんは説明してくれたが、なんのことだかさっぱりわからない。

「これで一体何が分かるっていうの?俺、下に固まっているみたいなんだけど」


「そうだね、ばあちゃんはこれまでの幸太のことをあまり知らないから、おいおい聞いていくけど、まぁ言えるのは、あんま社会に出ていくタイプではないってことかな」

 ばあちゃんがそう言った瞬間、俺の中で今まで築き上げてきたものが音を立てて崩れ去った。


「え?必死に勉強して国立大学に入って、いい銀行に入ったのは意味がなかったってこと?ニートやってろってこと?」


「まぁそんな単純なものじゃないんだけど、もしいい就職先でバリバリやるのが本当の望みだとしたら、たとえ一度辞めたとしてもすぐにまた同じような仕事を探し求めるんもんだと思うんだよね。」

そう言われては、ぐうの音も出ない。

「幸太は優しい子だから、多分、享に認めてもらうために今までずっと張り詰めてきたんじゃないのかい?ばあちゃんは、幸太はもう十分息子としての役割を果たせたと思う。そろそろ重荷をおろしてもいい頃だよ」


そう言われた瞬間、俺の頬に、一筋の涙がこぼれ落ちていた。
ばあちゃんの前で泣くなんてみっともない、そんな気持ちは不思議と出てこなかった。その後堰を切ったようにとめどなく涙がこぼれ落ちてきた。


ずっと誰かにそういって欲しかった。
俺はこの言葉を聞きにここにやってきたのかもしれない。


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主人公がどん底の状態から、自分のやりたいことを見つけていくお話

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