人の心を読むことばかり上手くなっていた
「こじんまりしたところやけど、県内でもそこそこの蔵書数らしいよ」
と美緒ちゃんに連れてきてもらったのは、中央図書館。
「幸太くんは他にどんな本を読むの?」
「社会人になってからは、銀行の業務に関係ある本ばかり読んでたけど、やっぱり好きなのは小説なんだよね。池井戸潤以外だと、東野圭吾とか、宮部みゆきとかの推理小説が好きだよ」
というと、美緒ちゃんの顔がちょっと曇ったのを見逃さなかった。
あ〜ミスった回答をしてしまったかなぁ。
「とはいえ、その二人って救いのないと言うか、暗い話が多いよね。伊坂幸太郎もよく読んでたよ!」
「そやねん。うち、暗いのとか、グロいのが苦手で。伊坂幸太郎は、伏線回収が気持ちいいよね!」
美緒ちゃんの好みのところを当てられたみたいで良かった。
「俺、大学入るまでは漫画しか読んでこなかったんだけど、当時の彼女が貸してくれたのがアヒルと鴨のコインロッカーだったんだよね〜」
アヒ鴨は、映画も見たよ〜!あれ?もしかしたら、その彼女さんは、幸太くんにとって・・・
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