仕事のやりがいってなんだろう?
「そしたら俺は、30歳手前の厄年に備えて、ミスしないように気をつけておけば良かったってことなの?」
俺は疑問に思っていたことをぶつけてみた。
するとばあちゃんは首を横に振りながら、優しく口を開いた。
「言いにくいんやけど、幸太の場合は銀行員があまり向いているネイタルチャートではないんよ。だって父親が納得するからっていう理由で選んだんやろ?それとも、動機はそうやけど、働いているうちに銀行の仕事心からやりたい!って思えるようになってたんか?」
ばあちゃんに言われて俺は固まってしまった。確かにやりがいはあった。けど、本当に俺はこれがやりたかったのだろうか?
絶句している俺に、ばあちゃんは畳みかけてきた。
「もし、今お金が毎月40〜50万自動的に入ってくるとしても、銀行の仕事やっとる?」
「うーん、やらないかもしれない…」
「そうやと思う。じゃあ銀行の仕事の全部が心を無にしてやってたんか??」
「いや、お客さんのところに通って話を聞いて、融資できるように必死に頑張っているのは好きだったよ。けど、あの銀行の閉鎖的な雰囲気は何年経ってもなれなかったな」
「なるほどなるほど。幸太は魚座やもんな〜」
「え、ちょっと待って。そんな星座で決まるんだったら、世の中の魚座の銀行員はどうなるんだよ。みんな銀行員には向かないってこと?」
これまでの自分の経歴が否定された気がして、ムッとした口調になってしまった。
「生まれた時間によって、自分が輝けるフィールドってもんが変わってくるんや。それに天体は太陽だけやない、10個の天体を使ってみていくから、例えば幸太と同じ日に生まれても時間が変われば銀行員に向いている人だってもちろんいる。けど、前にも言ったけど、幸太はあんまり社会でバリバリやっていくタイプではないんや」
社会に出ていかないタイプなら、俺はどうやってこれからお金を稼げばいいんだろうか。俺はすがるような目でばあちゃんを見つめた。
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ばあちゃんの道しるべ
主人公がどん底の状態から、自分のやりたいことを見つけていくお話
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