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身辺雑記:元同僚の先生に焼香に来ていただいた

元同僚の先生に焼香に来ていただいた。

妻がガンで闘病中だということを知っておられ、毎年、秋になると大きな梨を送ってくださる。今年も先週、大きな梨が届いた。一人で食べるには多すぎる。彼女のための配慮である。

卒業生からの贈り物などもすべての礼状は彼女が書いていた。彼女はいつも丁寧に返事を書くので、私からの手紙よりも喜ばれていた。今年も彼女の病気を知らない人から定年のお祝いやお中元などが届いた。まだ放置してある。

立派な梨をいただいたのだから礼状を書く必要がある。

しかし、いつも礼状を書いていた人はこの世にいない。どうしようかしばらく迷った。筆不精だから書けないというのもあるし、電話が苦手というのもある。

その上、大学の関係者には誰にも妻の死去を伝えていないのだ。秋学期が始まって忙しい時期である。早くに連絡したら、絶対に迷惑をかけてしまう。この3月まで同僚だった先生たちとは親しくしていた。だから、連絡が早ければ、焼香に来られる可能性があるのだ。それだけは何とか避けたいと思っている。

梨を送っていただいた先生は、私より2歳上で2年前に定年退職されている。私は熊本県出身だが、その先生は長崎県である。同じ九州出身だということもあって、仲良くさせていただいていた。そして、彼女がガンであることもご存じで、病気見舞いをいただいた時に、彼女は先生に自分の病状を伝える丁寧な手紙を送っている。

ということで先生には、そのままを伝えることにした。

まだ私自身は口頭では涙なしでは彼女の死を伝えることができないので、少しだけ丁寧に書いた。それに、「団地のみなさんへのご挨拶」「団地のみなさんへの御礼」の2つの文書も一緒に送った。

手紙が届いたと思われる翌日に、先生から電話が来た。

「焼香に伺いたい、少しおしゃべりをしよう」ということだった。まぁ、毎日泣き濡れていると書いたから心配されたのであろう。それは確かな現実なのだが、余計な負担をかけてしまった。

昨日は、年金事務所にも電話した。妻が亡くなったことと、その後の手続きについて尋ねた。すごく優しい丁寧な対応で、それで、途中からはまた感極まって泣き、声を発することが出来ず、ようやく「いろいろと有難うございます」と言って電話を切った。

しばらくしたら、埼玉県に住む弟からも電話がかかってきた。葬儀の参列はコロナのことがあったので遠慮してもらっていたのだ。それで、10月下旬に夫婦で焼香に来るという連絡だった。有り難いことである。

先生だが、いつものようにスーツ姿だった。多分、昨日、電話をしてこられた後で散髪に行かれたのだろう、さっぱりとした格好だった。私はと言えば、相変わらず気楽な格好である。いつもどういう服装で対応していいのか分からない。喪服で来られる方もいるし、普段着のままで来られる方もいるからだ。

先生とは話が弾んだ。内容は深刻だったが、暗くにはならなかった。

しかし、とにかく引きこもりの生活で他人と話していないので、精神的にはかなり疲れたようだ。翌日起きたのは、正午過ぎを廻っていた。起きれなかったのだ。

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