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愛煙家が地方の財源を救う?

2024年7月3日から新紙幣が発行になります。銀行ATMや鉄道の券売機は新紙幣対応のためのシステム改修がおおむね終了する見通しだということですが、飲料の自動販売機では更新が追いつかず新紙幣が使えない自動販売機も出てくるそうです。また、一部の事業者では今回の設備投資をきっかけに、紙幣の取り扱いをやめてキャッシュレスのみの対応に切り替える動きも出ているそうです。こうした新紙幣対応の設備投資の経済効果は約5000億円に上ると試算されています。だいぶ数は減りましたがたばこの自動販売機においても新紙幣への対応がなされている機種もある様です。たばこは健康に与える影響は大きい上、受動喫煙の危険性やニコチンの依存性を踏まえると、喫煙習慣は個人の嗜好にとどまらない健康問題であり、生活習慣病を予防する上での禁煙や受動喫煙防止など喫煙者は肩身の狭い思いをしているのが現状となっていることから喫煙者が減少傾向にあります。たばこは地方の貴重な財源という視点から少しだけお勉強。


地方の貴重な財源“たばこ”

健康を考えると喫煙者が減少傾向にあるのは良い傾向ですが、地方自治体にとってはたばこ税の税収は貴重な財源となっているのも事実です。銘柄などによって異なりますが、例えば一般的な紙巻たばこ1箱¥580のたばこの価格には、国たばこ税約¥136(23.5%)、地方たばこ税約¥152(26.3%)、たばこ特別税約¥16(2.8%)、消費税約¥52(9.1%)の4種類もの税金が含まれて価格全体の61.7%が税金という税負担の多い品目となっています。たばこ購入者のほとんどがコンビニエンスストアで購入をしており、たばこの自動販売機で購入されるたばこは全体の約3%となっています。購入者の少ないたばこの自動販売機は新紙幣に対応する設備投資の他に、2026年のTASPO廃止など加わることから導入をあきらめるたばこ屋さんも多く、近い将来たばこの自動販売機が珍しい物に変わるかもしれません。

受動喫煙対策と分煙施設の整備促進

WHOは、1970年にたばこ対策に関する初めての世界保健総会決議を行い、1989年には5月31日を「世界禁煙デー」と定めて、喫煙しないことが一般的な社会習慣となることを目指した「たばこか健康かに関する活動計画」を開始しました。厚生労働省においても、1992年から世界禁煙デーに始まる1週間を「禁煙週間」として定め、各種の施策を講じている。これらも踏まえ、国民健康づくり運動プランである「健康日本21(第二次)」やがん対策推進基本計画においては「喫煙率の減少」を指標の1つとして設定しており、喫煙による健康影響を周知することが重要とし、また望まない受動喫煙の防止を図るために、健康増進法の一部を改正する法律が2020年4月に全面施行されたことで、受動喫煙対策が進められています。2023年度には、「健康日本21(第二次)」の最終評価や健康増進法の改正内容について一層の周知啓発が必要であることを踏まえ、「たばこの健康影響を知ろう!~望まない受動喫煙のない社会を目指して~」を禁煙週間のテーマとし、禁煙及び受動喫煙防止の普及啓発を積極的に行われています。本年4月には総務省自治税務局より都道府県知事と指定都市市長あてに「地方たばこ税の安定的な確保と望まない受動喫煙対策の推進のための分煙施設の整備促進について」という通達が出されました。健康増進だけではなく、地方自治体の貴重な財源となっているたばこ税の安定的な確保という観点から通達が出されていることがとても意義深い。

まとめ

路上飲み禁止の条例も話題になりましたが、喫煙者が受動喫煙を気にすることなく安心して喫煙できる分煙施設を整備していくことが、地方の財政にも大きな影響を与えることになります。お住まいの自治体でたばこを購入することで自治体の財源が潤いそれに伴い分煙施設も整備され、喫煙者にとっての喫煙環境も向上します。便利だからといってコンビニエンスストアでたばこを購入せずに、灰皿が置いてあるまちのたばこ屋さんでたまにはたばこを購入することが愛煙家の努めなのかもしれません。

おまけ

健康の観点から喫煙に対する世の中の視線は昔に比べ厳しいものがあります。喫煙者は比較的高額納税者として自覚をしながら、喫煙者の権利向上のために喫煙マナーを守りましょう。

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