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【読書メモ】テーマは台湾

 何年か前に呉明益の本を立て続けに読んだことはあったけど、以降そんなに台湾文学にふれる機会もなく。最近になってたまたま台湾人作家の本を集中的に読んだので、まとめて読んだ順に感想など。
 
①『台湾漫遊鉄道のふたり』楊 双子

 日本統治下の台湾を舞台にした、著者曰く「美食X鉄道旅X百合」小説とのことだけど、テーマを今風に言うなら「アンコンシャス・バイアス」ってことになるかな。
 美味しそうなものばかり登場する楽しい小説かと思いきや、テーマは意外と深く、結末はせつない。
 
②『炒飯狙撃手』張 國立

 イタリアで炒飯店を営み、ある事件ではめられてヨーロッパ中を逃げ回る台湾人スナイパーと、定年間近で重大事件の捜査に当たる台湾の刑事、ふたりの物語。
 タイトルからしてジャッキー・チェンの映画的なものを想像していたけど、全然違った(笑) 台湾の裏社会の混沌とした雰囲気も感じられるハードボイルド寄りのミステリーで面白かった。
「<鼎泰豊>の炒飯はうまい」という一文もあり…ああ、炒飯食べたい!
 
③『台北プライベートアイ』紀 蔚然

 若いころからメンタルの問題を抱え、酒の席で失敗し妻にも去られ、大学教授を辞めて私立探偵になったという、相当こじらせた中年男を主人公にしたユーモラスなハードボイルド。
 こじらせてはいるものの、この主人公はなんか憎めないし探偵家業はわりとちゃんとやるし、彼を取り巻く登場人物も味があって楽しく読めた。
 最近続編も翻訳されたのね、そちらも楽しみ。

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