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ままならない、30歳。
先週、30歳の誕生日を迎えた。
平日の休みに美容院で髪を黒く染めて、顔まわりを短く切ってもらった。人生初のウルフカット。似合っているような、似合っていないような、いまだにジャッジしかねているけど後悔はしていない。
翌日。ナベシャツを着て、少しばかり弛んだ胸を潰す。オーバーサイズのシャツを着て、薄生地のストレートパンツを合わせる。堂々とした足取りで、街を練り歩く。
ふと鏡に映った、自身の平らな胸元を見て、ほんわかした気持ちになる。ああ、帰ってきたな。懐かしさと、胸元を物理的に締め付けられる苦しさで──は、吐き、そう。
その後1週間、体調不良が続いた。仕事を休み、病院に行き、数日間寝込んだ。
週末に計画していた楽しい予定が全部白紙になり、気分まで落ち込んでしまっている。
ベッドの上でぐったりしながら、30歳なのにと、ひとりごちる。ずっと憧れていた30代。その輝かしいスタートがこんな。
ままならないな。半べそをかいていると、友人たちから誕生日のお祝いメッセージが届き、少し元気が出た。
来週は新しい服を買おう。ナベシャツも買い足そう。友人と今度会おうねと言葉を交わして、眠りにつく。ままならない、30代の幕開け。
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