6maxプリフロップ分析④-3bet抵抗レンジ編
はじめに
(こちらの記事の続きです。)
この記事は6maxCashgameにおいて、相手がオープンした際に3betした場合、相手がどれくらい抵抗するか、について調べた記事になります。
例えばCOオープンに対してBTNから3betした際に、どれくらいの頻度で、4bet/Callするか、といったことについてRec/Reg別・レート別に調べて記載しています。
※レートは2NL, 10NL, 25NL, 100NLの4つを比較し、調査にはPokerTrackerの集計機能を使用しています。
この記事には、以下の内容が書いてあります。
3betに対する抵抗頻度は、HM3やPT4で簡単に集計可能です。しかし3betサイズによって適正な抵抗頻度は大きく異なるため、厳密に3betに対する抵抗頻度を調査するには、どれくらいの3betサイズの場合、どれくらい抵抗するのか、ということまで調べる必要があります。
(参考:IP3bet時の、3betサイズ毎抵抗レンジ)
今回は3betサイズをフィルターしたうえで、各3betサイズ毎の抵抗頻度を調べ、それをGTO頻度と比較しています。またReg/Rec別、レート別の傾向についても調べています。
様々な記事や動画で相手は3betに降りやすいとか、相手は3betにコールしにくいとか、感覚で議論されているものを見かけますが、このような議論に対してはデータで見ないとはっきりとしたことが分かりません。
結局Rec(Reg)は3betに対してFoldしやすいの?コールしやすいの?といった点について、確信を持っていない方には役立つ内容になっていると思います。
※調査・分析方法に関する細かな説明は、以前の記事の"補足"欄をご覧ください。
※3betサイズがオープンに対して4倍だったとしても、厳密には相手のオープンサイズによって適切な抵抗頻度は変化します。ただしオープンサイズまで固定して調査すると検証ハンド数が不十分になる+計算時間が膨大になるため、今回の調査では相手が2.5bbオープンしているという前提で記事を書いています。
※一部のスタッツについては、サンプル数が十分に取れていない為集計できていない箇所があります(低レートRegのvsIP2.8x3bet時のスタッツ等)。ご了承ください。
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さっそくIPから3betした場合の相手の抵抗頻度を載せます。
IP3bet時の抵抗頻度
・IP3bet時の相手の4bet頻度
・IP3bet時の相手のCall頻度
・IP3bet時の相手のFold頻度
※主観ですがGTOから大きくずれていそうな個所を赤背景、少しずれていそうな個所をオレンジ背景、ずれているかも?といった箇所をピンク背景にしています。
以下、読み取れることです。
とりあえずIPの3betに対しては、4betはされないがコールはされまくる(特に低いレート、Rec)と理解しておけばいいです。またサイズ毎に対するリークとして、よく小さい3betに降りすぎるみたいな話が挙がりますが、データからは特にそういった傾向は見当たりません。
その上で実際にどうプレイすべきかですが、結論としては私はGTOより少しレンジを広げた3betレンジを推奨します。特にSBオープン時にBBから3betする場合、SBは4betが少ないのにFold率はGTOと同程度と、かなりのリークを持っています。そのため、SBからオープンされた場合はBBからかなり広い3betをすることを勧めます。(GTO上の3bet頻度が18%くらいなので、25~30%くらいは3betしていい感覚です。)
またsnowieではA5s-A2sのような弱Axsを3betに回している機会が多いですが、低いレートやRecに対してはA5s-A2sより、AJo等で3betする方が良いと思われます。相手のコール頻度が高い=AToやKJoでもコールする場合があり、そこに対してはAJoの方がバリューを取れるので。
※相手のFold頻度だけに注目し、「Fold頻度が低い→タイトな3betが良い」という議論は必ずしも適切ではありません。なぜなら相手の4bet頻度が低いことに加え(=4betされないなら広く3bet出来る)、OOPから弱いハンドでコールされてもそこまでマイナスにはならないからです。
また、一般に相手の4betレンジを推定するのはかなり難しいですが、25NLや100NLにおいてIPから3betした場合はRec/Reg、ポジション、3betサイズに関わらず約14%くらい4betされるようです(SBの場合は10%程度、低レートの場合はもう少し低くなる)。そのため、相手のオープン頻度に14%をかけることで、4betレンジを見積もることが出来ます。
例えばUTGだと18%(オープン頻度)×14%=約2.5%の4betレンジといった感じです。相手が3betに対してAA等をコール止めしている可能性もあるので厳密に4betが上位2.5%のハンドで構成されたレンジというわけではありませんが、相手のレンジを推測する上でこの方法はかなり有効かと思います。
続いてOOPから3betした場合の抵抗頻度を載せます。
OOP3bet時の抵抗頻度
・OOP3bet時の相手の4bet頻度
・OOP3bet時の相手のCall頻度
・OOP3bet時の相手のFold頻度
以下、読み取れることです。
とりあえず、
・4bet頻度は低い
・UTG~COオープンしたRecはコールしやすい
・RegとBTNオープンしたRecはフォールドしやすい。
と理解しておけばいいです。
その上で実際にどうプレイすべきかですが、結論としてはシンプルで
・UTG,MP,COからオープンしたRecに対して→ブラフを控えた3betレンジにする & 他の状況→3betレンジを若干広げる
ことを推奨します。
加えて4bet頻度が低いことはどの状況でも共通しているので、4betに対してはタイト目のディフェンスで良いでしょう。
※前述のvsIP3betの時に4betが少ないから3betを増やすという話をしましたが、これはIPから3betする場合の話です。IPから3betしOOPにコールされても、ポストフロップでIPから戦えるのでそこまで困りませんが、OOPから3betする場合には相手のFold率がより重要になってきます。
また、残念ながら3betサイズ毎に面白いリークは見られませんでした。(感覚的に安い3betに降りすぎる、みたいなリークがあるのかなと思っていましたが、やはり感覚は当てにならないです…)
サイズで搾取するのは難しそうなので、特に理由がなければ3betサイズはGTOが推奨する、IPから3倍弱、OOPから4倍強のサイズで良さそうです。
まとめ
おわりに
なんとなく3betの成功率を分析した方は多くても、ポジション毎に分けたり、サイズを設定してデータを取った方は少ないのではないでしょうか。
プリフロップで3betするかの判断を迫られる状況は非常に多いです。その場合に一般的に相手がどういった傾向があるのかを知っておくことは成績に直結します。
3betの判断を行う際に、是非この記事の内容を参考にしていただければと思います。
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