婚活に行きづまっている人に伝えたいこと
一部の都府県に緊急事態宣言が発令されるほどのコロナ禍まっただなかにあって、世のなかの婚活はどんなことになっているのでしょう。幸運にもいまでこそ結婚して子宝にもめぐまれ一児の父親にもなれた筆者なのですが、つい数年前まで婚活サイトを利用したりバスツアーに参加したり異性との出会いを求めていました。必死に、かなり積極的に。そんな平和的な婚活生活を送っていた頃とくらべ、このご時世だと気になる異性と外で気軽に食事したりデートしたりできる状況ではないことは容易に想像できます。婚活をつうじて知り合ったかつての“婚活仲間”に話を聞いてみても、婚活系のパーティーもイベントもバスツアーもこれまでのようには開催していないと言うし(当たり前だ)、本当に気の毒なことだと思います。
とはいえ、世のなかの独身男女は変わらず出会いの場やきっかけを求めているでしょうし、絶えず運命の人を捜し求めているはずです。私としては、もしお役に立てるのなら自分がかつて婚活をつうじて経験したこと感じたこと考えたことを文章にまとめ皆さんに還元したい(控え目に言って、応援したい)。相手がいることなので何が正解かはわからないですが、これまでの経験則で精度を上げることは可能ではないか。婚活に行き詰っている人やもうやめようかなあと思っている人には、ひとまず箸休め(?)として読んでみてもらいたいのです。やはり人生のパートナーを得るというのは、ご本人が望むのならできる限り満たされるべきものだと思っているから。
「条件」とはあくまで目安である
30代前半からつい数年前となる40代前半まで、かれこれ足かけ10年間ほど婚活サイトにはお世話になりました。Yahoo!縁結び(だったかな?)から始まってMatch(マッチドットコム)、ペアーズ(Pairs)、ユーブライドなどの利用経験があります。学校や職場、あるいは知人・友人の紹介で知り合う従来のような出会いと違って、とりわけ婚活サイトでは良くも悪くも検索することができます。お相手に望む年齢、所在地、年収、身長、体型、血液型、喫煙の有無など、さまざまな項目を条件指定して理想の異性を選別する。利用者数の多い首都圏や大都市近郊にお住まいの方はとくに、出会いの幅を効率的に限定することが可能です。
ただ、指定した(された)条件自体が“ゆずれない”かと言えば、案外“ゆずれる”ものです。残酷な言い方をすれば、もし仮にあなたが年収の低さで(例外的に、高さで)お相手にフラれたとしたら、「あなたは年収でフラれる程度の魅力だった」と解釈して間違いありません。条件(理想)とはたいていの場合目安にすぎず、つまり婚活でうまく行くためにはもっと魅力的な男性(女性)になる必要があります。
ではそんな魅力的な自分になるにはどうしたらいいのでしょうか。たとえば、仕事や趣味を頑張ったり楽しんだり、オシャレや身だしなみに気を配ったり、運動したり読書したり、人に優しくしたりとかそんな毎日のことの積み重ねが大切になってくるのではと思います。というのも、人相や人柄がそのオーラとして体の内側からにじみ出てくるものだから。
相手との「相性」を見極める
現在の婚活サイト(アプリ)は「出会い系」と揶揄されていた10年以上前とくらべ、若い世代の人たちを中心に「よりカジュアルに異性と出会うことができるツール」と認知されるようになりました。いっぽうで、その気軽さ手軽さが一期一会とは反する気持ちを生んでしまっている事実があるように個人的には思います。「はーい、次行くよ。次ー」という使い捨て感覚です。
婚活サイトでの話にかぎって言えば、人気のある利用者にはサービス登録後に「いいね!」が数百以上も受け取ったり、読む気が失せるほどの(あるいは、まともに返信が追いつかないほどの)数のメッセージを届くそうです。そこまでの人気ではなくとも、とくに新規登録直後の女性の場合はかなりの数のきっかけがあるのでメッセージのやり取りから直接会って話をする機会に恵まれることでしょう。そこで訪れるのが「メッセージ交換をはじめてからすぐに会うべきか、それともじっくりと時間をかけるべきか」問題です。
この問題に正解はありません。メッセージのやり取りに時間をかけすぎて会ってもいない異性に妄想を膨らませすぎて、実際に会ってみたらガッカリ、ということはよく耳にする話です。また反対に、相手のことがよくわからない段階でいきなり会っても会話ははずまないし、間がもたない、という問題も起こりえます。前者はフィーリング重視のスタンスになるでしょうし、後者はじっくり石橋を叩いて渡るタイプと言えるかもしれません。
個人的には、後者を支持します。それは、前者のスタンスで行くと相手の人を品定めしてしまう感覚に陥りやすくなるからです。実際に会って「ちょっとタイプとは違うなぁ」といった印象をもってしまうと、その彼/彼女に情がないとその後の交際をあっさり切ってしまう婚活経験者は少なくないはずです。フィーリングに重きを置くのは大事なことだと私も思います。ただ、すべての人が初対面から自然体でのぞめるわけではありませんし、完璧なルックス、人柄、人間性等々をお相手に期待するのもコクな気がします。また想像してみてほしいのですが、むかしから付き合いのある友人であれば寛容になれることも、会ってすぐの相手には評価が辛くなることも十分に考えられます。そうした側面からも、多少は時間をかけてじっくり自分との相性を見極めたほうが理想に近い人との出会いが実現できるように思います。
婚活を接客業ととらえてみる
もちろん婚活とは、多くの人たちにとって結婚相手を探すためのプライベートな活動であって生業(なりわい)ではありません。また各種サービスを利用する側であって提供する側でもありません。けれども相手のニーズというか、「どうやったら◯◯さんに気に入ってもらえるだろう?喜んでもらえるだろう?」ということをつねに意識して活動しなくてはならないという点では、だいぶ接客業的な側面が含まれているように思います。利用する側の発想であれば「イケメンがいい」「年収600万円以上希望」「この人の洋服のセンス嫌い」と要望や注文や不満も多くなるでしょうが、提供する側となれば「◯◯さんの役に立ちたい」「支えたい」「喜ばせたい」という発想になる気がします。なにを言いたいのかというと、「自分のため」ではなく「相手のため」という発想こそが婚活成功のカギとなる気がしてならないのです。
恋愛することよりも信頼関係を築くこと
私が婚活をはじめた30代前半、中学校で先生をされている一つ年上の女性と知り合ったことがあります。彼女とは婚活サイトでマッチングし、連絡先を交換、メッセージのやり取りをはじめてわりとすぐくらいに一度会ってお話しましょうかという流れになりました。地元の洋食レストランで食事をしながらいろいろおしゃべりし、知的でユーモアもあり、さらに美人でもあった彼女に惹かれるのに多くの時間は必要ありません。要するに、恋愛スイッチが入ってしまったのですね。彼女のほうはというとまだまだこちらがどういう人間か距離感を測っている段階で、お恥ずかしながら私はともかく一方的に熱を上げてしまっていたわけです。学校の授業の準備や生徒指導のことで時間的に忙しかったであろう彼女にこちらの都合だけで連絡したり、前のめりのテンションと距離感を見誤った内容のメッセージを送ってしまったり。鬱陶しかったと思います(最終的には、彼女からは「◯◯さんには◯◯さんのことを一番に考えてくれる誰か他の女性を探されたほうが幸せになれると思いますよ」的な常套句(?)を返事に、フラれました)。女性の皆さんであれば一度はそういう経験をお持ちではないでしょうか。要するに、相手の気持ちも推し量れずに信頼関係を築くことを後回しにしていたのですね。恋愛することがいけないと言っているわけではありません。一方的に熱を上げすぎず、お相手のことを思いやる気持ち以上にその熱を高めてはいけませんよ、と私の失敗談を"生きた"教訓にしてもらいたいのです。
出会いは縁とタイミング
婚活をつうじて、それこそふだんの生活圏で知り合えない女性の皆さんと連絡先を交換したり実際に顔を合わせてお茶をしたり食事したりする機会を持たせてもらいました。出会いはあっても縁が無かったなと感じたり、縁はあっても「お互いのタイミングって意外と重要よね」と巡りあわせの悪さを恨めしく思ったり。うまく行っていないときほど自分を見つめ直す機会だと思って、たとえば、男性にとっては「清潔感」が成功のカギだということを学びました。いわゆる「身だしなみ」の問題は、とにかく毎日の継続なわけです。洋服選びやそれ以外に、ちゃんとお風呂入ったりヒゲ剃ったり爪切ったり鼻毛が出てないか気をつけたり。場合によって部屋の掃除したり自分の目の前に落ちてるゴミを拾ってみたり。身だしなみや清潔感ってそうした行いでも生まれてくる気がします。男性にとっては同じく「誠実さ」、女性にとっては「素直さ」も重要なキーワードの一つかもしれません。
婚活をやっているとときどき(うまく行ってないときはとくに)結婚って何なんだろうとか、哲学的な問いを思い浮かべるわけです。結婚できない私ってダメな人ですか?とか(笑)。戸籍を変えず一生涯ひとりのパートナーと暮らすカップルの場合も含め、一つ言えることは目のまえの景色は同じでも、誰かと一緒に見たときと自分ひとりのときとではその色合いは確実に違うということです。優劣の違いではなく、強弱の違い。でもそれ自体が良いか悪いかはまたべつの話だけど(笑)。ともかく命と健康があっての婚活なので、皆さんには体調管理と感染症対策をしっかりしておひとりでも多くの人が人生のべつのステージを経験されることを願っています。
がんばってください!
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