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パック寿司を食べるときに考える婚活

すごく突飛なことを言ってしまうと、スーパーやデパ地下など売られているパック寿司は婚活における出会いの場の縮図である。好きなネタも入っているし、そうでもないのも同様に入っている。基本的に、目の前に並べられた握り寿司(参加者)と対峙しなくてはならないし、好きなネタもそうではないネタとも一貫一貫(一人ひとり)真摯に向き合わなくてはならない。われわれは年齢的に大人なのだから食べ物は残さず大切に食べなくてはならないし、婚活の場で出会った相手とは礼儀正しく接しなくてはならない。

たとえば、一つのパック寿司の画像を用意してみる。個人的なことを言わせてもらうと、私はここにある9種類10貫(*マグロ赤身のみが重複)のうちマグロ、イカ、ネギトロ軍艦巻きは好きだけれど、その他も食べられるこそするものの少なくとも回転寿司屋に行った際には決して選ばない寿司ネタである。

それらを婚活パーティーに参加したときの話に置き換えてみると、イベント開始直後の参加者ひと言挨拶みたいな場面で私が興味を持ってチェックするお相手は、マグロさんとイカさんとネギトロさんということになる。その他の参加者については「炙りサーモンさんはモテるだろうな(私自身はそんなにタイプではないけど)とか、玉子焼きさんや蒸しエビさんらは子供にすごく好かれるであろう」とかの個人的な感想を持つに留める。

いっぽうで、回転寿司屋に行って自分が頼みたいものを頼める場合には、私はサバや秋刀魚(←東北地方では時期によって頼める場合がある)などのヒカリものやネギトロ巻きやイカ納豆の軍艦巻きを注文する。

私はイカ納豆の軍艦巻きなら浮気せずに10貫食べられるのだが、9種類10貫ではなく1種類10貫の1パックだけ手に取らなくてはならないとすればそれが「結婚」であると思うし(ほんとかな?)、もしあなたの目の前に同じものを10貫食べてもいいよという寿司ネタがあるなら、あなたはその人と結婚すべきである。

もちろんお相手のほうの気持ちの問題もあるので、こちらが選んだからといって選ばれるわけでもないし、またそれは「すべき」という話であって「しなくてはならない」という話ではない。けれども私にとってのイカ納豆の軍艦巻きのような人を生涯の伴侶にすることができたのなら、これ以上幸せなことはない。

と言いつつも、マグロさんやイカさんやネギトロさんのような相手と結婚しないほうがいいかというと決してそんなことはない。

これは勝手な想像なのだけど、いま50歳以下の年齢で世のなかの半数以上の既婚者はそのお相手に、私でいうマグロさんかイカさんかネギトロさんを選んでいるのでないかと思う。イカ納豆さんを選ぶことができた人は2割以下で、場合によって、それ以外の玉子焼きさんかエンガワさんなどをほとんど勢いで選んでいる人さえ少なからずいらっしゃると思う。

年齢を重ねるごとに食べ物の好みも多少は変わるように、あるいは二人の間に子供が生まれてそれぞれ父や母となって家族内での役割が増えればお互いの見方も変化するように、妥協したとかしてないとかの話ではなく、あなたが成熟した一人の大人であればそうした方々とだって結婚できる、そういう意味合いにおいてだ。一度に10貫は食べられないかもしれないけど、時間をかけてじっくり向き合いさえすれば完食できるし、食べ終わるまで過ごす時間も二人の気持ち次第で楽しめるはずだから。

そして極論をいえば、寿司ネタは違うけれど酢飯(シャリ)があることには変わりないので、シャリさえ嫌いじゃなければ基本的に誰とでも結婚できるので、安心してください。婚活にとくに上手く行ってないときはなおさら、ガリを摘むくらいの余裕があってもいいのかと思う。しょうが(生姜)ないんだから。なんちゃって。

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