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パチンコの期待値計算に頻出する式の話

期待値計算を自力でやるときに頻出する計算。
結果を知ってるだけでも良いし、普通の計算方法でも良いのだけど、こんな方法もあるよ、という蛇足の蛇足のようなお話。

なんと「微分」を使います(笑

計算したいのはこんな式です。
平均継続回数を計算する際によく出てきます。

$$
\begin{align*}S&=1 + 2r+3r^2+\dots+ nr^{n-1}+\dots\end{align*}
$$

$${r}$$は確変やSTなどの「継続率」で$${|r|<1}$$です。

等比級数ではないので公式は使えません。

普通はまず有限で考え、$${S_n}$$を

$$
\begin{align*}{}S_n&=1 + 2r+3r^2+\dots+ nr^{n-1}\end{align*}
$$

として、$${S_n}$$に$${r}$$を乗じて、

$$
\begin{align*}rS_n&=r + 2r^2+3r^3+\dots+ (n-1)r^{n-1}+ nr^{n}\end{align*}
$$

$${S_n}$$から$${rS_n}$$を引いた$${(1-r)S_n}$$から

$$
\begin{align*}(1-r)S_n&=1 + r+r^2+\dots+ r^{n-1}-nr^n\\\\&=\dfrac{1-r^n}{1-r}-nr^n\\\\&=\dfrac{1}{1-r} (n\rarr\infty)\\\\\therefore S&=\lim\limits_{n\rarr\infty} S_n=\dfrac{1}{(1-r)^2}\end{align*}
$$

という結果を得ます。

注)$${n\rarr\infty}$$のとき$${r^n}$$や$${nr^n}$$が消える理由は以下で詳しく説明しています。

では本題の、微分を使う方法です。
無限のまま扱えます。
まずは、基本的な無限等比級数

$$
1 + r+r^2+\dots+ r^n+\dots
$$

を形式的に項別に微分してみます。

$$
(1 + r+r^2+\dots+ r^n+\dots)^\prime=1 + 2r+3r^2+\dots+ nr^{n-1}+\dots
$$

結果(右辺)は$${S}$$そのものです。
よって

$$
\begin{align*}S&=(1 + r+r^2+\dots+ r^n+\dots)^\prime\\\\&=\bigg(\dfrac{1}{1-r}\bigg)^\prime\\\\&=\dfrac{1}{(1-r)^2}\end{align*}
$$

このとおり、通常の方法と同じ結果が得られました。
ただし、注意が必要です。
この計算は、

$$
\displaystyle\sum_{n=0}^\infin \big(r^{n}\big)^\prime=\bigg(\displaystyle\sum_{n=0}^\infin r^{n}\bigg)^\prime
$$

のように、和と微分の順序を交換しています(微分してから和をとるか、和をとってから微分するか)。

この交換はいつでもやって良いわけではないのですが、今回の式で、かつ$${r}$$が$${1}$$より小さいのでOKです。

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