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「ショック集団」

米国ではカルト映画監督としてマニアックなファンがいるサミュエル・フラーの傑作サイコ映画です。

精神病院で起きた殺人事件の犯人を探すため、狂人のふりをして入院する新聞記者が主人公。この段階でとてもヤバい映画の香りがします。

案の定、「ニガーを殺せ!」と言うプラカードを首から下げた黒人とか、朝鮮戦争で捕虜となり洗脳されて発狂、今では南北戦争の将軍だと信じている男とか、原爆の製造に携わったが罪悪感から幼児退行した物理学者とか、頭がユニークな人たちがいっぱい出てきます。

そして彼らに接触するうちに主人公も頭に変調をきたします。この映画は白黒映画なんですが、主人公が見る幻覚だけカラー映画なんですよ。しかも鎌倉とか富士山とかの日本の映像なんです。これは、フラー監督がこの映画の12年前に日本を舞台にして撮った「東京暗黒街・竹の家」のフィルム流用です。大変、基地外味が出ていい感じです。

因みに「東京暗黒街・竹の家」は、かなり勘違いした日本描写から国辱映画として有名な作品。

それはそれとして「ショック集団」ですが、同じ精神病院を舞台にしたサイコホラーの古典的傑作「カリガリ博士」の影響下にある作品だと言えます。またレオナルド・ディカプリオ主演でマーティン・スコセッシが監督した「シャッター・アイランド」は設定がかなり似ていて、スコセッシはおそらく「カリガリ博士」とこの映画を意識していると思います。

まあ日本が誇る精神病院ホラーの傑作「ドクラ・マグラ」のアメリカ版と言えなくもないですが、その「ドクラ・マグラ」も「カリガリ博士」の影響下で書かれた小説なんですよ。

ともあれ「精神病院もの」というジャンルがあるとすれば、「ショック集団」は間違いなくその代表作の一つになるでしょう。

アマゾンで取り扱いが中止のため、「サミュエル・フラー傑作選DVD-BOX」のリンクを貼ります。「ショック集団」はじめ、「裸のキッス」「チャイナ・ゲート」「最前線物語」など、フラーの代表作が網羅されています。

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↑プライム・ビデオ「ショック集団字幕版」


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