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「隠し砦の三悪人」米クライテリオン版Blu-ray

黒澤明「隠し砦の三悪人」の米国クライテリオン版Blu-rayです。クライテリオンといえば、言わずと知れた世界の名作映画を最高級品質でソフト化することで定評があるメーカー。リージョンコードは同じAで、日本でも問題なく観ることができます。

「隠し砦の三悪人」と言えば、これのプロットとキャラクターをジョージ・ルーカスがパクって「スターウォーズ」を作ったことで有名です。

ルーカスは「影武者」を海外資本で作るためにフランシス・コッポラと共同プロデュースを引き受けましたが、実は黒澤と初めて面会する時、自作でこの映画をパクったことを怒られるのではないかと心臓バクバクだったそうです。しかし黒澤は「スターウォーズ」を褒め、「そう言えば似てるねえ」とニコニコしていたのでホッとしたとか。

また大柄な千秋実と小柄な藤原釜足が喧嘩ばかりする凸凹コンビのお笑い要員になってますが、これも見たらすぐに分かるR2-D2とC3-POのモデル。

そして藤田進の敵国武将が三船敏郎の友人で、今は敵方になっていてハラハラしますが、これが最後に●●●●●るところは、昔拙宅でこの作品を見せたアメリカ人が「オー、ランドー!」と叫んでました。ランドーとは「スターウォーズ帝国の逆襲」に登場するハンソロの友人のランドーです。

この映画が撮られた1958年は日本映画の黄金時代でしたが、これまで「生きる」「七人の侍」「蜘蛛巣城」などを撮った黒澤は押しも押されぬ巨匠になっており、あまりに製作費がかかるので東宝は黒澤映画に難色を示すようになりました。

黒澤は「次に作る『隠し砦の三悪人』は肩の凝らない娯楽時代劇だからそんなに金はかけないよ」と会社を騙し、ある1シーンを撮るのに夏に始めて冬までかかり、製作期間が当初83日間の予定が147日間もかかって、予算が倍くらい超過しました。この責任を取らされて黒澤は東宝を退社し、「黒澤プロダクション」を設立して以降は東宝と共同製作する形でリスクヘッジすることに。

姫が村人に変装して敵地に侵入する際、三船敏郎は姫の育ちからくる言葉づかいと、男まさりの性格から一般女性に見えないことを心配して姫を口がきけないことにしたので作中何度も「唖」という言葉が出てきます。テレビ放映時にも「唖」はノーカットでバンバン出てきました。さすがは天皇と呼ばれた黒澤明だと思いました。

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↑アマゾンプライムビデオ「隠し砦の三悪人」


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