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【鈴木清順大正三部作③】「夢二 デラックス版」('91荒戸源次郎事務所)

鈴木清順大正三部作第三弾は竹久夢二を主人公にした作品。夢二を演じるのは沢田研二です。

清順映画でストーリーを説明するのはちょっと意味がないというか、野暮な感じがしますね。そもそも作者に物語への関心が希薄に感じるからです。それよりも「絵作り」ですね。印象的で美しい画面さえ出来るなら、ストーリーなんてどうでも良いと考えていたのかもしれません。

今回は竹久夢二がさまざまな女性の間を遍歴するんですが、物語としてのラブロマンスがどうのというより、食事の場面で広いテーブルいっぱいに配置された牛の首と牛肉の赤い色とか、そういうのに目を奪われます。今回も原田芳雄が出てるんですが、何故か金髪ですしね。そこに意味があるとしたら、鈴木清順の色の趣味なのでしょう。

池を走るボートが何故か水面と垂直に直立するのも、なんとなくそういう画面が作りたいからで、意味なんてないと思いますよ。特撮ではなく仕掛けでそれをやらされたスタッフは大変だったと思いますが。

まあ、やりたい放題。その意味では清順に近いのはシュールレアリストのルイス・ブニュエルかもしれませんね。シュールレアリスムに「何故?」を問うたところで意味ないです。

「ツィゴイネルワイゼン」の原田芳雄、「陽炎座」の松田優作と比べて「夢二」が少し弱いな、と思ったのは、主演の沢田研二が少し歳を取っていて若い頃の美男子ぶりがやや劣化しているところですかね。それでも美男子には違いないですが。

映画を撮らない映画監督で有名な長谷川和彦が役者として殺人鬼を演じています。

私、昔、日本テレビの前を歩いていたら会社に入っていく鈴木清順監督を見かけたことがあります。あれはもう晩年でしたかね。鼻に酸素注入用のチューブを差して歩いていました。

1980年の第一回日本アカデミー賞は最初、黒澤明の「影武者」だったのですが、日本映画界に積年の恨みを抱いていた黒澤は受賞を拒否しました。それで次点の「ツィゴイネルワイゼン」が受賞しましたが、インタビューで黒澤のことを問われて、「黒澤さんも大人げないね。お祭りなんだから、もらっておけば良いじゃないですか」と言ってました。洒脱なひとでしたね。

「夢二 デラックス版('91荒戸源次郎事務所)」
沢田研二 / 坂東玉三郎 / 鈴木清順
定価: ¥ 4700

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