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「素晴らしき哉、人生!」

フランク・キャプラ監督、ジェームス・スチュワート主演によるファンタジー映画。

クリスマスイブの夜。ニューヨークの下町で人生に絶望して自殺を考えているジョージ・ベイリー(ジェームス・スチュワート)を見た神様が、冴えない老人にしか見えない二級天使クレランスを呼び、この男を救えるならお前を一級天使に昇格させると言います。そして、ジョージのこれまでの人生をクレランスに見せるのです。

ジョージの生い立ち、父が遺した住宅金融会社を継いで結婚、子供ももうけますが、困難に次ぐ困難が彼を見舞い、戦争最後の年のクリスマスイブになって、一緒に働いていた叔父が会社の金を紛失してしまいます。この日は会社の監査日で、その金がないと会社が潰れてしまうのです。

絶望的な気持ちで帰宅するジョージ。妻のメアリーと子供たちが楽しそうにクリスマスの準備をしています。ジョージは家を出ていき、酒をあおり、遂には自殺して保険金を得ることで会社と家族の危機を救おうと考えました。

川に飛び込もうとした矢先、老人が先に川に飛び込んだので、ジョージも飛び込んで老人を救います。その老人こそは、神様が遣わした二級天使クレランスでした。先に飛び込んだのは、ジョージの自殺を阻止するためだったのです。

自分は死ぬしかない、自分がいない方がみんな幸せになると語るジョージに対して、二級天使は「ではおまえの存在しない世界を見せてやろう」と言って、「ジョージが生まれてなかった世界」にジョージを転送するのです。

そこは確かに自分が育った町なのですが、けばけばしいネオンが光り、人々の心が荒んだ世界でした。父の会社は倒産、我が家も廃屋、そして妻のメアリーは独身で図書館に勤めており、ジョージと会っても他人を見る目つきなのでした……。ジョージは、自分の人生は本当は素晴らしかったのだ、と悟ります。

「素晴らしき哉、人生!」、公開時は興行的に惨敗しましたが、その後評価が高まり、アメリカでは、今や不朽の名作として毎年クリスマスにこの映画がテレビ放送されることが定番となっております。

石ノ森章太郎のデビュー作「二級天使」は、キャラクターこそ別物ですが、この映画の設定にヒントを得ています。


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