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松下幸之助、稲盛和夫…なぜリーダーは陽明学を学ぶのか?

陽明学は人生にも経営にも活かせる実践哲学!

日本には、時代を問わず、陽明学を思想のよりどころとするリーダーが多くいます。今回は、その陽明学を初めて学ばれる方に向けてお話ししたいと思います。

 陽明学にあまり触れたことがない方でも、「知行合一」とか「良知」といった言葉は聞いたことがあるかもしれません。これらは陽明学の考え方の一つです。

陽明学はもともと、中国・明の時代に王陽明が興した儒教の一派です。孟子の性善説の系譜を引き継いでいると言われています。王陽明は政治家の家に生まれ、官僚になるのですが、当時の官僚は政治家でもあり軍略家でもありますから、大変な実践家であったと思われます。

 しかし、王陽明自身は当時の朱子学が“官僚の学問”になっていたので、批判的な立場をとっていたようです。書物だけでは理に到達できないという考え方から、仕事や日常生活の中で実践を通して心に理を求めるという“実践哲学”を興していったのです。

 陽明学を学んで歴史に名を残した人たち

日本において顕著な影響が見られるのは、まず明治維新の頃です。長州では吉田松陰が松下村塾で陽明学に基づいた思想を教え、高杉晋作、伊藤博文、山縣有朋といった人々を輩出しました。また、薩摩の西郷隆盛の座右の書は「言志四録」でしたが、これを著したのは昌平黌の学長・佐藤一斎という方で、陽明学を取り入れた思想で多くの志士に影響を与えています。

 そして現代。昭和・平成には日本でも歴史に名の残る経営者が登場し、パナソニック創業者の松下幸之助氏や、京セラ創業者の稲盛和夫氏も陽明学を含んだ東洋思想を経営に取り入れました。これを軸として、利他の経営という視点から巨大な企業を作っていかれたのだと思います。

 さらに令和の時代、世界において陽明学は注目されており、中国では経済発展と反して低下した倫理感を正すために陽明学を学ぼうという動きが盛んです。また、経営論の一環として陽明学を必修にするMBAのコースも現れていて、こうした面からも東洋思想が復権してきている時流を感じます。

 これらの詳細は本文末尾記載の動画を見ていただきたいのですが、この陽明学を皆様と一緒に学びたいと考え、「福博えびす大学」を開設しました。

これはどのようなものかというと、王陽明の弟子たちが先生の言葉を書きとめていった「伝習録」から、陽明学の権威である福岡女学院大学の名誉教授・難波征男先生の監修で30編を抜き出し、それを皆さんと素読しながら学んでいくというものです。仲間たちと共に勉強することで、学びのスピードも速くなります。

 福博えびす大学は月に1回、2時間程度の実施です。ぜひご参加いただければと思っています。一緒に東洋思想の華である陽明学を学び、人生に活かしていきましょう。

 また、このブログ記事も次回から陽明学を絡めた社内人事制度改善について述べていきたいと考えています。経営にすぐに活かせるヒントが満載ですので、どうぞご期待ください。