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2024/04#ku

四月分自選。

まだ何か要る? 向日葵も真っ青

あちこちに爪を落として眠いこと

白い机ひろいつくえ春の月へ積み木

眠れる珈琲豆の人だかり

食べてみれば美味しそうだった

ロビーからなかなか出られない地平線

やわらかい子どもがひろい地に満ちて

右へずらせば赤く左へ逃がせばバジル

水をくださいと言われて眩しい

シャガールを擬人化された冷蔵庫

届かなかった。蛇はほどけて光り

花を 見つける 明日も しろい



四月分まとめ。


仔犬なら洗濯板と行方不明
まだ何か要る? 向日葵も真っ青
もう何も要らない、向日葵も真っ青
亀の子が渡り廊下でつつかれる
白皿にミントひと摘み鶯嬢
ホームーセンターの駐車場に鶯
レンズ豆をダムに沈める鶯嬢
草の葉に一頭耳の羽ばたいて
玄関がママ、ママと泣く春の朝
壁蝨なので真珠のように育ちます
重機の軋みのように囀る窓
二羽ないているのたんぽぽ
ロゼットを踏んで浮つくスニーカー
二人の後ろを斜めに歩き去る
セピア色の服が日陰を抜けでて
槌音に仰ぐ林を漏れる日や
お菓子を食べに動物園へ戻る
紫雲英田を来るのよ青い虎よ
窓辺から降りる
あちこちに爪を落として眠いこと
濡れた手袋を外しても寒い
白い机ひろいつくえ春の月へ積み木
きな粉をまぶす前に生まれました
幽霊になって疲れたと言います
属名を思い出せないM
朝は西の林から明るくなる
もうない・青空・かめのこだわし
寒がるように鶺鴒を懐かしむ
寝室を寒がるような航空機
クッキーが昨日の霧を嘘にする
眠れる珈琲豆の人だかり
倍音にふくらむ春の窓の裾
誰もいない灯りの下へゆく
食べてみれば美味しそうだった
綿毛がいつも少し困っている日陰
地図に書くほどの桜を灰色の猫
南天の実が見つめてる白い道
ルッキズムどちらが逃げてきたのかな
レトルトの方を優しくもらわれる
驢馬らしく長いところで間違われ
テナーが省く指と白黒
黒幕の横でレーズンそっと捨て
ずたぼろの日差しで窓が暮れてゆく
胡麻豆腐墓なら石を洗うはず
レミング・ハミング・フラミンゴ
青空を見ていただけの花疲れ
杉の木のうしろが薄ら青い
眠っている間の記憶を青鷺
桜の下の四つ足を風が抜けて
右肩に桜なんて植えたのよ
酢橘を搾るルビーの指輪、わ
師匠から潮騒のように繰り返す
線を消すゆびに芯の匂いを移し
ロビーからなかなか出られない地平線
ゆかりりの切れ字らしきを鐘朧
やわらかい子どもがひろい地に満ちて
菫がちらりと咲く疎いって口実
しさは蛇に呑まれている蛇ね
右へずらせば赤く左へ逃がせばバジル
春だものよく震える喉を褒めて
ぽっかりと眠って土筆野がまるい
春の蚊!ここで会ったが百年目!
よく広がるチューリップだもの
手のひらの痒みのようにぬるいお茶
の周りをひと巡りして二度は飽き
春の野の狐と思えば痩せて見え
水をくださいと言われて眩しい
クッションに小さな穴の開く湯切り
テレビを見るように口を開く傘
挨拶をすれば見る間に年老いて
では少し送りますもう数詞でね
シャガールを擬人化された冷蔵庫
ここだここどこだここ蛸だごたつく
毬しゅるしゅるとかわいい顔の蛇
届かなかった。蛇はほどけて光り
でも蒲公英はもういっせいに綿毛
足音が八重山吹のように来る
解いてみれば青空でした
窓辺に置くと椅子でしょう
顔色をいくつ展示し博物館
剥製が躑躅の昼を小道から
花を 見つける 明日も しろい
喪失に似ているものに春の月
矢で水を薄める春の梟
薄い夜手首のうちを蚊に刺され
独活を剥くストッキングは伝線し
鵯がたわんでたわんで去ってゆく
いつから雨いつから雨垂れいつ眠る
味噌ラーメン零しても鳴くよ春の鳥
ウクレレのレレの部分を生きる春
坂の上にたんぽぽ星人現る
森は形容、林は喩、木を思えば
桜が青い、気持ち悪い
俳人は全員自称うららけし


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