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2024/05#ku

五月分自選。



五月分まとめ。


後にしよう。キャラメルナッツだから
鈴虫になるまで初夏の文字を飼う
背けば光る
先んじて影が出口へ伸びている
布団を掛けてあげたような空
みんな囓った後だった、夏草や
待ち合えば春のトンボに耳がない
みんなお花になっちゃったねえ
塩胡椒忘れて鳥たちでした
大小の皿を重ねて初夏の森
青を塗った、緑で塗った、黒に塗った
宝箱を埋めるのにちょうどよい湿地
電話に出たら耳鳴りだった
目端が利くので下位互換
柿の花も咲けばファラオにも呪われる
小鳥が鳴かなくなりました。夜ね。
手に穴、壁に隙間なんてないでしょ葵
比喩ですよ/《粘度》で《詰まる》《螺子》の溝
薔薇ち騾カラを非ひらげてピかる雲
はよ終わらんかね、たんぽぽもゆってた
やわらかい月が今にも訛りそう
のびのびと疎らして田る講義室
ミルクが青い夜更けの饒舌
時は響くよく馭ひすいいろを貫いて
つくねてある布団がごろごろ砂塵
阿弥陀籤なめくじ忸怩ふさざきの薔薇
階段が延びる未明の時鳥
恋猫がルンバに乗って来て去った
膝丈を掻き分け手おい疲れた

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